毎月、つらい生理痛に悩まされていませんか?生理痛がない女性や、男性には理解しがたい痛みですが、我慢しながら生活を送るのはとても辛いものです。鎮痛剤に頼ることもできますが、その場しのぎでしかなく、根本的な解決にはつながりません。そこで今回は、ホルモンバランスを整えてくれたり、体を温めてくれたりするなど、生理痛を和らげる効果が期待できる食べ物をご紹介します。
生理痛の症状とは?
生理痛には、様々な症状があり、人によって痛みの感じ方が違うものです。
代表的な症状として、下腹部痛や腹痛、頭痛、腰痛といった身体的な痛みのほか、イライラや倦怠感、憂うつ感などの精神的な不調を感じる人もいます。
痛みが生理初日から始まる人や、2日目の症状が最も重い人など、生理痛の時期や期間も個人差があります。
生理痛は食べ物で改善できるの?
生理痛のメカニズムについては、症状によって以下のように考えられています(※1)。なぜ生理痛が現れるのかを知っておくと、自分の症状に対して効果を発揮する食べ物についても理解しやすくなりますよ。
下腹部痛、腹痛など
原因は?
生理痛の中でも、特に多くの女性が感じる症状が「下腹部痛」や「腹痛」ではないでしょうか。これらの症状が出る主な原因は、「プロスタグランジン」という物質の過剰分泌です。
プロスタグランジンは子宮内膜で作られ、生理のときに、不要になった粘膜を経血と一緒に体外に押し出す働きがあります。プロスタグランジンが過剰分泌されると、子宮が強く収縮し、下腹部やお腹など、骨盤周りの痛み(腰痛)が引き起こされます。
食べ物で改善できる?
プロスタグランジンの作用は、まだはっきりとわかっていない部分も多いですが、体の冷えにより血行が悪くなると、さらに分泌量が増えます。また、プロスタグランジンが滞ることによって、痛みが増すと考えられています。
プロスタグランジンの分泌量を減らすためには、今のところPG合成阻害剤や経口避妊薬(ピル)を服用する方法がありますが、動物性の脂質を減らし、オメガ3系の脂質を増やすなど、食事の脂質をコントロールすることで分泌量を減らすことができるともいわれています。
また、冷えを改善して血行を良くする食べ物を摂ることで、痛みが増すのを抑えられる可能性があります。慢性的に血行不良の人には、貧血を予防する食材もおすすめです。
頭痛、腰痛など
原因は?
生理前後は、女性ホルモンの「エストロゲン」の急激な減少により、脳内の血管が拡張することが原因で頭痛が起きることがあります。
また、生理のときに過剰分泌されたプロスタグランジンが、体循環へと流入すると、頭痛や腰痛といった痛みのほか、めまいや吐き気、疲労感などの全身症状も現れることもあります。
体循環というのは、血液が心臓から出て全身を巡り、毛細血管を通ってまた心臓に戻ってくる流れのことです。プロスタグランジンが体中に流れ込むと、筋肉を収縮させ、骨盤周りだけでなく至るところに痛みが出てしまうのです。
さらに、ストレスが原因でより痛みを強く感じることもあります。
食べ物で改善できる?
エストロゲンと似た働きをする「大豆イソフラボン」を定期的に摂ることで、ホルモンバランスが整い、結果的に生理痛やPMSの軽減につながることがあります。
血行促進に効果がある食材を摂ることで、痛みの軽減が期待できます。さらに、筋肉の疲れをやわらげる働きを持つ食べ物は、腰痛や頭痛の改善につながります。
生理痛に効く食べ物は?
わたしたちの体は、日々の生活で食べるものによって作られています。生理痛を和らげるために、栄養バランスと脂質の摂りすぎに気をつけたうえで、次の効果がある食材を摂るようにしましょう(※2)。
効果には個人差がありますが、長期的な体質改善を目指していけるといいですね。
生理中の下腹部痛・腹痛・頭痛・腰痛に効く食べ物
冷え性を改善し、血行を促進する食材
寒い地域や季節にとれる食材や、根菜類は、体を温める性質を持つ傾向にあります。
たまねぎ、にんにく、生姜、にんじん、小松菜、ごぼうなどの野菜や、さくらんぼ、桃などのフルーツがおすすめです。
また、辛い料理が苦手でなければ、香辛料を適度に摂り入れるのも良いですね。唐辛子やターメリック、からしなどは、血行を促進して冷え性改善に一役を買ってくれますよ。
貧血を防ぐ食べ物
生理中の女性は、どうしても貧血になりがちです。豚レバーや牛もも肉、アサリ、マグロ、カツオなどの動物性食品は、吸収性に優れた「ヘム鉄」を多く含んでいます。
小松菜やひじき、大豆などの植物性食品が含む「非ヘム鉄」は、吸収率が低いものの、ビタミンCや動物性のたんぱく質などと一緒に摂取することで吸収率が上がります。ピーマンや菜の花、ブロッコリーなどの野菜や、オレンジやグレープフルーツなどの果物と合わせたり、肉類・魚類と合わせたりして摂取しましょう。
生理中の頭痛・腰痛に効く食べ物
ホルモンバランスを整える食べ物
大豆イソフラボンは、豆腐・味噌・醤油・納豆・豆乳など、大豆食品から摂取できます。ただし、過剰に摂りすぎると逆にホルモンバランスを崩してしまう恐れもあるので、食べる量に気をつけましょう。
内閣府の食品安全委員会では、大人の場合、イソフラボンの摂取上限量を1日70~75mgとしています(※3)。豆乳1パック(200ml)、納豆1パック、豆腐150g、きなこ大さじ4杯分にはイソフラボンが約40㎎含まれます。
筋肉の疲れをやわらげる食べ物
血流が悪くなることで疲労物質である「乳酸」が大量発生すると、筋肉の中に溜まり、凝りが発生します。そこで、末梢血管を広げて血行を促進させる「ビタミンE」と、代謝を高めて乳酸を分解する「ビタミンB1」を摂取すると、筋肉の凝り解消につながります。
ビタミンEを多く含む主な食材は、アンコウ肝やウナギ、かぼちゃやアーモンドなど。ビタミンB1は、豚ヒレや豚もも肉などに豊富に含まれますが、水に溶けやすく熱に弱い栄養素なので、食品を水洗いする際はずっとつけ置きするのは避けて、汁物にした料理は汁ごとすべて食べるようにしましょう。
にんにくやにら、玉ねぎなどを包丁で切ったときに発生する「アリシン」という成分がビタミンB1と反応すると、B1の吸収効率が高まります。調理の方法を工夫して、上手に摂取しましょう。
生理痛があるときに気をつけたい食べ物は?
生理中は血行が悪くなりやすいので、体を冷やす食材の食べすぎには注意しましょう。
たとえば、きゅうり、なす、トマト、バナナ、オレンジなど、熱帯でとれる食べ物や夏が旬の食べ物は、体を冷やす傾向にあります。
食べ物で生理痛が改善されるかどうかには個人差があり、即効性が期待できるものではありませんが、体質改善をするために、長い目で取り組んでいきましょう。
生理痛に効く食べ物を試してみましょう
生理痛が起こる原因は、日常生活の中にあることが多いものです。生理痛の大敵である「冷え」に気をつけて、体を温めてくれる食べ物を取り入れてみましょう。また、食事だけでなく、冷房が効いている室内ではカーディガンを羽織る、ブランケットを膝にかけるなどの工夫も大切です。
つらい生理痛をすぐに和らげたい場合には、鎮痛剤を飲むのも一つの方法です。薬に頼らない方法を探りつつ、どうしても必要なときは、無理せず市販薬の服用も検討しましょう。
色々試してみても、ひどい生理痛が治まらないようであれば、婦人科系の病気が潜んでいる可能性もあるので、一度産婦人科で相談してください。