不妊治療で使われる排卵誘発剤の一つに「セキソビット」があります。排卵誘発剤は種類が多く、それぞれ何が違うのかわからなかったり、治療中に薬が変更されて不安を感じたりする人もいると思います。そこで今回は、セキソビットについて、効果や副作用のほか、服用後の排卵日や飲み方などをご説明します。
セキソビットとは?クロミッドとの違いは?
セキソビットは、シクロフェニルという成分を含む、錠剤タイプの排卵誘発剤です。生理がこない「無月経」や生理周期が長い「稀発月経」などの排卵障害に対して、改善効果があります。
同じく経口薬に「クロミッド」があります。セキソビットはクロミッドに比べて排卵誘発効果が少し弱いため、軽度の排卵障害の治療や、不妊治療初期段階のタイミング法で使用されることがよくあります。
また、クロミッドとは異なり、子宮内膜が薄くなる、子宮頸管粘液の産生が少なくなるといったことが起こりにくい、というメリットがあります(※1)。
セキソビットの効果は?
そもそも排卵障害は、体内のホルモン分泌のバランスが乱れていることが原因です。セキソビットを服用することで、ホルモン分泌を活性化し、排卵を誘発することができます。
セキソビットの主成分であるシクロフェニルは、ホルモン分泌を司る脳の視床下部や下垂体に作用し、「卵胞刺激ホルモン(FSH)」と「黄体形成ホルモン(LH)」の分泌を促進します。この結果、卵胞の発育が促され、成熟したのちに排卵が起こります。
製造販売元によると、臨床試験の結果、セキソビット服用者のうち半数以上に排卵が認められ、約80%の確率で稀発月経が改善された、というデータが出ています(※2)。
セキソビットの副作用は?双子が生まれやすくなる?
セキソビットは、クロミッドに比べて排卵誘発効果が弱いので、子宮内膜や頸管粘液への影響も少ないというメリットがあります。ただし、全く副作用がないわけではなく、発熱や倦怠感を伴う肝機能障害や黄疸などが現れることがあります。
そのほか、卵巣が腫れて下腹部痛が起きたり、発疹や不正出血が起こったりすることもあります。セキソビットの服用中に体調の変化があれば、医師に相談しましょう。
また、セキソビットをはじめ排卵誘発剤を使うことで、卵巣が過剰に刺激され、2個以上の卵子が排卵されることもあります。その結果、双子などの多胎妊娠になる可能性が高くなります。
多胎妊娠は、単胎妊娠と比べて流産や早産のリスクが高いので、妊娠期間中も慎重に体調管理する必要があります。
セキソビットの飲み方は?排卵日はいつ?
基本的にセキソビットは、 生理開始5日目頃から、1日400~600mg(4~6錠)を2~3回に分けて服用します。これを5~10日間続けて、症状を見ながら何クールか繰り返します(※2)。
セキソビットを服用して卵胞が十分に成長すれば、服用を止めてから1~2週間以内に排卵が起こります。排卵の状況を確認するためにも、少なくとも服用開始前の1ヶ月間と、服用期間中は基礎体温を記録するようにしてください。
なお、セキソビットの服用を3クール繰り返しても排卵性月経が見られない場合は、服用を中止するのが原則です(※2)。詳しいスケジュールについては、医師にしっかり確認しましょう。
セキソビットを飲み忘れたら?
セキソビットは、継続して服用することで効果を発揮する薬なので、毎日同じ時間に飲むようにしましょう。しかし、旅行先に持って行くのを忘れてしまったり、うっかり飲み忘れてしまうこともあるかもしれません。
飲み忘れてしまった場合の対応方法は、事前に医師に確認しておくと安心です。自己判断で薬をやめたり、一度に2回分の量を服用したりしないようにしましょう。
基本的には、次の分を飲むまで時間があれば気づいた時点ですぐに服用する、あるいは次の分を飲む時間が近ければ、飲み忘れた分の薬は破棄して、次のタイミングに1回分を服用します。
自己判断せず、具体的に「飲み忘れて何時間経った後であれば、服用しても良いか」を病院に確認してください。
飲み忘れを防ぐため、「食後に必ず飲む」「決まった時間に携帯電話のアラームを鳴らす」など、自分にあった工夫をしましょう。
セキソビットの効果と副作用を理解しましょう
セキソビットは、排卵誘発効果がゆるやかで副作用が少ないという特性から、軽度の排卵障害がある人や、不妊治療を始めたばかりの人に処方されることがあります。
排卵障害を改善することは、妊娠するための第一歩です。医師と相談しながら、自分に合った方法で不妊治療を進めていきましょう。