ほぼ月1回のペースでやってくる生理。イライラや腹痛といった症状を伴うこともあるため、生理の時期が憂鬱な人も多いですよね。そんな生理でいつもと違う症状が現れたら、なおさら不安になってしまうと思います。今回は、「生理が止まらない」というトラブルについて、出血の原因や病気の可能性、対処法や治療法などをご説明します。
そもそも生理ではなぜ出血があるの?
女性の体内では、だいたい25~38日周期で生理(月経)が繰り返され、受精卵の着床、つまり妊娠に向けた準備が行われています。
生理周期における「卵胞期」では、卵胞から分泌される「エストロゲン」という女性ホルモンの働きによって、受精卵が着床しやすいように子宮内膜が増殖して厚くなっていきます。
やがて卵巣から排卵された卵子は、卵管を移動しながら精子との出会いを待ちます。「黄体期」に入ると、もう一つの女性ホルモンである「プロゲステロン」の作用で、子宮内膜は受精卵が着床しやすい厚い状態が維持されます。
しかし、受精卵が着床しなかった場合、子宮内膜は必要なくなるので、次の排卵に向けて子宮内は一度リセットされます。このリセット時に、女性ホルモンの分泌が減ることで子宮内膜が剥がれて、血液と一緒に体外に排出されるのが「生理」です。
生理が来たあと、再びエストロゲンが上昇しはじめると、子宮内膜が再生して出血が止まります。
「生理が止まらない」の目安は?正常な期間は?
子宮の入り口はとても細いので、生理の血(経血)が一気に出てくることはなく、数日かけて少しずつ排出されます。正常な生理の期間は3~7日間で、平均すると5日間程度です(※1)。
しかし、生理の出血がダラダラと続く場合があり、8日間以上続くものは「過長月経」と呼ばれます。過長月経は、経血量が極端に多い「過多月経」を伴うこともあり、その影響で貧血になりやすくなります。
生理が止まらない原因は病気のせい?病院に行くべき?
生理は、精神的・身体的なストレスなど、体調に左右されるので、生理期間の異常が一時的な場合もあります。しかし、以下のような原因が隠れていることもあります。
ホルモンバランスの乱れ
生理は、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンが関係しており、これらのホルモンの分泌バランスによって生理周期が作られています。
女性ホルモンはストレスの影響を受けてバランスが崩れやすく、ホルモンバランスが乱れると生理周期や生理期間に異常をきたす場合があります。
子宮の病気
子宮筋腫や子宮腺筋症といった病気が隠れていると、生理の量が増えるだけでなく、不正出血も見られます。そのほかの自覚症状として、生理のときに下腹部や腰に激しい痛みが現れたり、貧血や動悸、息切れを起こしたりすることも。
子宮筋腫や子宮腺筋症は、放置しておくと受精卵が子宮内膜に着床しづらい状態になってしまい、不妊を招くリスクもあります。
更年期の生理不順
日本の女性の平均的な閉経年齢はおよそ50歳で、閉経の前後10年間、45~55歳くらいが更年期にあたります(※2)。更年期に入り、卵巣機能が低下してくると、ホルモン分泌量のバランスが崩れ、生理期間が長くなる場合があります。
閉経を迎えると生理がなくなるため、「生理が止まらない」という問題は解消されますが、「年齢的に仕方ない」と自己判断するのは禁物。更年期のせいではなく、子宮の病気の可能性もあるので、ダラダラと出血が続く場合は、念のため婦人科を受診しましょう。
妊娠初期の流産・子宮外妊娠
妊娠初期は15週までの期間を指し、流産への注意が最も必要な時期です。
妊娠初期の流産は、兆候や症状を見つけることが難しいとされますが、茶褐色や鮮血の不正出血がダラダラと続くこともあります。妊娠に気づかないまま流産してしまった場合、「生理が止まらない」と感じる人もいるかもしれません。
また、受精卵が子宮内膜以外の場所に着床してしまう「子宮外妊娠(異所性妊娠)」の場合も、不正出血が見られることがあります。
もし流産や子宮外妊娠だった場合は、手術で子宮内容除去を行う必要があります。
妊娠の心当たりがあって出血が見られるときは、産婦人科を受診して検査を受けましょう。
生理が止まらないときの治療法は?
生理が止まらない原因によって治療法は異なります。ホルモンバランスの乱れによる場合は、不足しているエストロゲンやプロゲステロンを補うため、ホルモン剤が投与されます。漢方が処方されることもあります。
子宮の病気が見つかった場合、その原因や症状の進行度合いによって治療法が選択されます。薬物療法で症状を抑えたり、根治のために子宮そのものや患部のみを手術で摘出することもあります。
生理が止まらないときは放置せず病院へ
生理が止まらないと、いつまで続いてしまうのかと不安になりますよね。ただ、女性の体はデリケートなので、ストレスが原因で生理期間が長くなったり、短くなったりするなど、生理に関するトラブルは決して珍しいものではありません。
生理が止まらない原因によっては、不妊を招くリスクもあるので、特に妊娠を望んでいる人は、放置せず、早めに婦人科を受診しましょう。病院では、生理開始日や生理周期、出血が続いている期間などを聞かれるので、できる範囲で記録して医師に伝えてください。