ふとしたときに子供の肌を見たら、赤いポツポツが…。もしかしたら、それは「蕁麻疹」かもしれません。蕁麻疹は強いかゆみを伴うため、知らず知らずの間に子供がかきむしってしまい、蕁麻疹の範囲が拡大してしまうことも。症状が悪化しないように大人がしっかり対処してあげる必要があります。今回は子供の蕁麻疹について、原因や症状、対処法、病院に連れて行く目安などをご紹介します。
子供の蕁麻疹とは?
蕁麻疹とは、皮膚が赤く腫れてかゆみを起こす病気です。一般的に、蕁麻疹による発疹は短時間で現れ、24時間以内には治まります。
蕁麻疹はたいていはかゆみを伴うものの、チクチクとした痛みを感じたり、焼けるような感じになったりすることもあります。
皮膚の腫れや盛り上がった発疹が特徴的で、腫れの大きさは様々です。1~2mmくらいのこともあれば、手足全体が腫れたり、腫れと腫れがくっついて体全体を覆ってしまったりすることもあります。
子供に起こる蕁麻疹には主に2つのタイプがあり、1ヶ月以内に症状が治まるものは「急性蕁麻疹」、1ヶ月以上続くものは「慢性蕁麻疹」と呼ばれています。
ちなみに、蕁麻疹という名前は、蕁麻疹の症状がイラクサ(蕁麻)という植物の葉に触れた際に現れる皮膚症状と似ていることに由来しているといわれています(※1)。
子供の蕁麻疹の原因は?
子供の蕁麻疹の原因はさまざまで、大きく分けるとアレルギー性と非アレルギー性のものがあります。ただし、子供の蕁麻疹の原因は特定できないことがほとんどです。
アレルギー性
アレルギー性蕁麻疹は、アレルギーの原因となる物質「アレルゲン」に反応して発症します。アレルギー性蕁麻疹には、原因が必ずあります。体内に摂取することにより症状を引き起こすアレルゲンとしては食品や薬があり、具体的には下のようなものが挙げられます。
・食品…そば、エビ、カニ、卵、牛乳、小麦のアレルギー、青魚などの蕁麻疹を起こす毒素を含む食品など
・薬品…抗菌薬、解熱鎮痛剤、降圧剤など
非アレルギー性
非アレルギー性蕁麻疹は、以下のような身体的・精神的な影響を受けて現れます。お風呂上がりや運動のあとに蕁麻疹が出ることもありますが、この場合は30分~1時間でなくなります(※1)。
・摩擦や圧迫などの物理的刺激
・気温の変化
・発汗
・日光
・ストレス
・疲労
子供の蕁麻疹の対処法は?
蕁麻疹が現れたら、子供が患部をかかないように注意しましょう。
活発に動いていると、着ている服との摩擦によりかゆみが強くなることがあるので、安静にさせてください。冷水でしぼったタオルを当てて患部を冷やすことにより、かゆみが和らぐこともあります。
お風呂に入ることはできますが、熱いお湯に浸かったり、タオルでこすりすぎたりすると、血管が拡張し発疹が出やすくなることがあるので、できるだけぬるめのシャワーで済ませるようにしましょう(※2)。
また、どんなに気をつけていても子供が患部をかいてしまうことがあるので、爪を短く切っておくことも大切です。かゆみを和らげるために体を温め過ぎず、たくさん水分摂取をして体内の原因物質の排せつを促しましょう。
子供の蕁麻疹で病院に行くべき?
蕁麻疹は自然に治まることがほとんどなので、重たい症状が出ていなければ、前述の対処法を行いながら、家でしばらく様子を見てみましょう(※3)。
しかし、蕁麻疹の症状がひどく眠れない、呼吸が苦しい、なかなか消えずに長引く、といった場合や、何度も発症する場合は、一度皮膚科か小児科を受診してください。
何をやっていたときに蕁麻疹が現れたか、治まるまでにどのくらいの時間がかかったかなどをメモしておくと、病院での診察がスムーズに進みますよ。また、病院に着く前に蕁麻疹が消えることがあるので、症状が現れたときに患部の写真を撮っておきましょう。
また、蕁麻疹と共にアナフィラキシーショックが起きることがあるので、注意が必要です。呼吸困難や意識障害などのアナフィラキシーショックの症状が見られたら、すぐに救急車を呼んでください。
子供の蕁麻疹の治療法は?
子供の蕁麻疹の治療では、基本的に抗ヒスタミン薬などの抗アレルギー薬を服用します。かゆみや腫れが非常に強い場合は、短期的にステロイドの内服薬が処方されることもあります。
蕁麻疹がアレルギー性の疑いがあると、アレルギー検査を通して原因の特定を行うことがあります。頻度は低いものの、アレルギー検査によってアレルゲンが判明したら、医師と相談しながら、そのアレルゲンと接触しないようにする対策を講じていきます。
子供の蕁麻疹の再発を予防する方法は?
子供の蕁麻疹は繰り返し起きることがあります。また、明らかな原因がわかることは、少ないものです。蕁麻疹の原因がわかっている場合は、食べ物であれば、それを飲食しないこと、物質であれば、それに触れないことが大切です。
また、蕁麻疹は疲労やストレスで発症することもあるので、子供の睡眠時間をしっかりとり、子供の話をきちんと聞く時間を設けるなど、心のケアもしてあげましょう。
汗をかいたら服を着替えたり、毎日のお風呂で体を洗ったりして、肌を清潔に保つことも蕁麻疹の予防につながりますよ。
子供の蕁麻疹はいつまで続く?
蕁麻疹の多くが急性蕁麻疹で、早い場合は数十分、長くても1日程度で治まります。もし発症を繰り返しても、1ヶ月以内に治まっていきます。
しかし、原因が分からない慢性蕁麻疹だと数ヶ月、場合によっては数年にわたって発症を繰り返します。慢性蕁麻疹は、基本的に長期にわたって薬を飲み続けることになりますが、徐々に薬の量を減らしていき、やがては薬の服用を中止できることがほとんどです(※1)。
子供の蕁麻疹に症状が似ている病気は?
発疹が出る子供の病気はいくつかあり、発疹の部位やかゆみ、発熱などの症状によっては、蕁麻疹ではなくほかの病気である可能性もあります(※4)。
子供の肌にブツブツが出たときには下記の病気も疑い、詳しく観察して医師に伝えてみてくださいね。
水疱瘡(水ぼうそう)
全身に赤い発疹が出て、赤く盛りあがったあとに水が溜まって水疱ができ、かさぶたへと変化します。熱が出ることもあれば、出ないこともあります。
手足口病
その名のとおり、手足や口の中に米粒くらいの大きさの水疱ができます。発熱することもあれば、特に熱が出ないこともあります。
突発性発疹
高熱が出て下がったあと、お腹や背中を中心にポツポツとした発疹が全身に広がります。特に1歳未満の赤ちゃんによく見られ、遅くとも2歳くらいまでにかかる子が多い病気です。
子供の蕁麻疹の原因を特定し、再発予防を
蕁麻疹は原因が分からないと、対策にも苦労してしまいます。そのため、蕁麻疹が発症したときに、子供が何をしていたのかを記録しておくことが肝心です。
発症したときのことを記録していくと何かしらの共通点が見えてきて、原因が特定できることがあります。蕁麻疹の再発を防ぐためにも、子供が蕁麻疹を起こしたときはそのときの状況をしっかりと観察しておきましょう。