新生児や赤ちゃんは体温調節が上手ではなく、動き回ったり気温が高かったりすると、体温が上がりやすくなります。一方で、冷たい外気にも影響を受けやすく、「低体温」になることも。それでは、低体温はそのまま放置しておいていいのでしょうか?今回は新生児・赤ちゃんの低体温の原因や症状、対処法、病院に行くべきかなどをご紹介します。
新生児・赤ちゃんの低体温とは?
赤ちゃんは自律神経が十分に発達しておらず、体温調節がうまくできません。そのため、赤ちゃんの平熱は運動や気温の影響を受け、36.5~37.5度くらいの間で変動する傾向があります。
いわゆる「低体温」とは、体温が36℃より低くなっている状態のことです(※1)。低体温の状態が慢性的に続くと、赤ちゃんの免疫力が下がったり、体温を元に戻そうと体の機能がフル稼働して疲れてしまったりと、さまざまな問題が起こる可能性があります。
新生児・赤ちゃんの低体温の原因は?
新生児や赤ちゃんは、まだ自分で上手に体温の調節ができません。そのため、外の環境に体温が左右されやすいのです。暑い環境であれば体に熱がこもって体温が上がりますし、寒い環境なら逆に熱が奪われて体温が下がりやすくなります。
赤ちゃんが低体温になってしまう主な原因として、体温よりも低い温度にさらされ続け、慢性的に体の熱を奪われていることが考えられます。
例えば、夏場にエアコンや扇風機の風が直接当たることでも、低体温になりえます。冷たい風で室温が低く抑えられていると、赤ちゃんの体の熱が奪われてしまうのです。
他にも、汗っかきな赤ちゃんの汗を拭かずに放置しておくと体温がどんどん奪われる原因になりますし、冷たい飲み物ばかりを飲ませているのも体を内側から冷やしてしまいます。
また、まれに甲状腺機能低下症や敗血症などの感染症疾患で低体温になることもあり、そういった場合は低体温に加えて、便秘や呼吸数の増加、哺乳の低下といった別の症状が現れることが多いです(※1)。
新生児・赤ちゃんの低体温の症状は?
新生児・赤ちゃんが低体温になっていると、いくつかの症状が現れます。低体温になっているかもしれないと感じたときは、以下の症状に注意してください。
母乳やミルクを飲む量が減少する
低体温の影響で体力が消耗していると、母乳やミルクをいつもよりも欲しがらない、飲む量が少ないといった症状が現れる可能性があります。
唇の血色が悪い
いつもより唇の血色が悪いのも低体温の症状のひとつです。特に唇の赤みが薄く、青白くなっているのは体温が低い証拠なので、日頃から注意して観察しておきましょう。また、顔色が悪くなるなどチアノーゼが出現することもあります。
手足が慢性的に冷たい
新生児・赤ちゃんの手足は、体温調節の役割を担っています。手足から熱を放出したり、手足の血流を少なくしたりすることで体温を調節しようとする働きがあるため、手足が冷たくなることはよくあります。
しかし、手足が慢性的に冷たく、さらにお腹を触っても冷たいときは、低体温になっている可能性があります。
新生児・赤ちゃんの低体温の対処法は?
赤ちゃんが低体温になったら、ミトンや靴下、毛糸の帽子を着用させたり、服をもう一枚多く着せたりして、体を温めてあげましょう。おくるみで体を包んであげるのも低体温解消につながります。
しかし、あまりに着せすぎると体が熱くなって汗をかき、体温上昇による哺乳低下やあせもができる可能性があるので、赤ちゃんが汗をかかない程度に体を温めてあげてください。
新生児・赤ちゃんの低体温の予防法は?
赤ちゃんの低体温を防ぐには、基本的に熱を奪う原因を取り除いてあげることが大切です。毎日のケアで赤ちゃんが過ごしやすい環境を整えながら、きちんと体温調節ができるようにサポートしてあげてくださいね。
エアコンや扇風機の風を直接当てない
夏の暑い季節にエアコンや扇風機を使って、室内の温度を26℃~27度くらいに保つと、赤ちゃんにとって快適な環境を作れます。しかし、冷たい風を直接当ててしまうと体温が急激に奪われる原因になるので、風の向きを工夫しましょう。
また、一定の温度を保ちすぎると赤ちゃんの体温調節機能が鈍くなってしまう恐れがあるので、適度に外気に触れて体温調節機能を刺激してあげてくださいね。
汗はこまめに拭きとる
人間は体が暑くなると、汗をかくことで体温を下げます。しかし、汗を放置しておくと必要以上に体の熱を奪ってしまうので、赤ちゃんの汗はこまめに拭いてあげましょう。
赤ちゃんは自分で汗を拭くことができないので、ママやパパが吸水性のいい服を着せてあげたり、こまめに着替えさせたりすると良いですよ。
家の冷たくなりやすい場所からなるべく遠ざける
寒い時期の壁や窓、床は家の中でも特に冷たくなりやすい場所です。赤ちゃんの体温は外気の影響を受けやすいので、寒い場所からできるだけ遠ざけておきましょう。
もし床が冷たく感じる場合は、保温性に優れたマットやカーペットで冷気を遮断してみるのもおすすめです。
冷たい飲み物や食べ物に注意する
暑いからといって冷たい飲み物を飲ませると、体の内側から冷える原因になります。赤ちゃんの時期に飲み物をあげるときは、常温よりもあたたかい状態にしましょう。
離乳食も冷やさずに、あたたかい状態で与えてあげてくださいね。暑い夏の日でも、冷蔵庫でミルクを冷やしたり、氷を入れた麦茶を飲ませたりする必要はありませんよ。
新生児・赤ちゃんの低体温は病院に行くべき?
一時的に低体温の状態になっても、元気に動き回っているようなら、おくるみを巻くなどの対策を取りながら様子を見ましょう。
しかし、ケアをしていても体温が戻らない日が続いたり、元気がなかったりするようであれば、一度小児科を受診してください。特に食欲がなく、四六時中グズって機嫌が悪いときは注意が必要です。
平熱の変化が大きく低体温か判断が難しい場合でも、自己判断せず、病院の先生に診てもらったほうが安心ですよ。
新生児・赤ちゃんはいつ頃に体温調節できるようになる?
新生児・赤ちゃんは生後8ヶ月頃になると、少しずつ体温調節ができるようになっていきます。しかし、大人の体温調節機能と比べるとまだまだ未熟で、また体も小さいため、2歳頃まで赤ちゃんの体温の変化に気を配る必要があります。
少なくとも1歳までは、赤ちゃんの体温が低くなりすぎていないか、高くなりすぎていないかを気にする習慣をつけておきましょう。
新生児・赤ちゃんの低体温には常に注意しておこう
赤ちゃんが低体温になってしまうと、免疫力が落ちたり疲れ気味になったりする恐れがあるので、体温には気を配っておく必要があります。
できるだけ毎日赤ちゃんの体温を測定し、低体温になっていないかを確認するようにしてください。赤ちゃんの体温は時間帯によって変わるので起床時、午前、午後、夜の1日4回測ることができるとベストです。
赤ちゃんの通常の平熱を把握しておくと、急な体温変化にも落ち着いて対処できるようになりますよ。