赤ちゃんの唇や爪の先が青紫色になる「チアノーゼ」が出ると、何かの病気の症状ではないかと驚いてしまいますよね。しかし、一口にチアノーゼといっても原因はさまざまで、心配のないものからすぐに病院へ行くべきものまであります。赤ちゃんがチアノーゼになったときに慌てることがないように、今回はチアノーゼの原因や症状、対処法などをご紹介します。
チアノーゼとは?原因と症状は?
チアノーゼとは、血液中の酸素が不足することで皮膚や粘膜が青紫色になる症状です。青紫色になるのは、血液中で酸素を運ぶ役割を持つヘモグロビンが関係しています。
ヘモグロビンは全身を巡って酸素を届けた後に肺へ戻り、そこで酸素を補給されて再び全身へ送られます。酸素と結合した酸化ヘモグロビンは真っ赤な色であるのに対して、酸素を送り届けた後の還元ヘモグロビンは暗い赤紫色をしています。
なんらかの原因で肺や循環器(心臓・血管)に異常が出て、酸素が不足した状態のヘモグロビンが増加すると、赤紫色のヘモグロビンが増えて、皮膚は青紫色に見えてしまいます。
チアノーゼには、血液を送り出す心臓から遠くにある手足の指などに起こる「末梢性チアノーゼ」と、顔や唇、体に起こる「中心性チアノーゼ」の2種類があります(※1)。
新生児はチアノーゼになりやすいの?
赤ちゃんは、生まれたときは、多血症(血液に含まれる赤血球が多い)であるため、酸欠状態によるチアノーゼになりやすい時期です。特に、激しく泣いたり、鼻づまりになったりした場合は、末梢性チアノーゼになる傾向にあります。
激しく泣く場合
新生児はよく泣くので、新生児にとって泣くことはそれほど大変なことに見えないかもしれませんが、かなりの体力を消耗します。したがって、ひどく泣いてしまうと、酸素不足になり、チアノーゼを引き起こすことがあるのです。
泣いたことによりチアノーゼが起きている場合は、一般的にしばらく様子を見ておけば、自然と治まっていきます。呼吸が早い、止まっている状態が続くなどの症状がある場合は、病院を受診しましょう。
鼻づまりになった場合
新生児の鼻の空気の通り道は小さく、よく鼻づまりを起こします。また、鼻が詰まったままで授乳すると、口から酸素を取り込むこともできなくなるため、チアノーゼになりやすいのです。
鼻づまりによりチアノーゼが起きている場合は、綿棒などで鼻水を取り除いたり、蒸したタオルを鼻の根元にあてれば酸素不足が解消されます。
また、チアノーゼ予防のために、授乳の際に赤ちゃんが鼻づまりしていないか確認することも大切です。
新生児のチアノーゼで病院に行くタイミングは?
前述した通り、新生児は発育がまだ未熟なため、末梢性チアノーゼを引き起こしやすいのですが、末梢性チアノーゼは、時間が経てば自然に回復していき、通常は特別な処置を必要としません(※1)。
しかし、新生児が中心性チアノーゼを起こした場合は注意が必要です。なぜなら中心性チアノーゼは、中枢性呼吸抑制や呼吸器疾患、チアノーゼ性心疾患といった心臓や肺に重篤な疾患が現れているサインの可能性があるからです。
そのため、新生児の顔や唇、胴体部分が青紫色になり、中心性チアノーゼが疑われるときは、すぐに病院を受診してください。また、末梢性チアノーゼでも症状がなかなか改善しない場合や、あまりにも頻繁にチアノーゼが起きる場合も、医師に診てもらうようにしましょう。
新生児のチアノーゼは予防できる?
主な原因が心臓疾患や呼吸器疾患である中心性チアノーゼは予防が難しいのですが、末梢性チアノーゼは少しの工夫で予防することができます。
たとえば、鼻づまりのせいで呼吸がうまくできないままミルクや母乳を飲むと、チアノーゼを引き起こしてしまうので、授乳前に鼻づまりがないかをチェックし、詰まっていたら、綿棒などで鼻水を取り除いてあげましょう。
また、激しく泣き続けるときは、できるだけ早く、抱っこをする、授乳をするなどして泣いている原因を解消してあげましょう。
新生児のチアノーゼには焦らず対処しよう
初めて赤ちゃんの肌の色が青紫色に変わっているのを見ると、焦ってしまう人がほとんどです。しかし、チアノーゼという症状がどういった原因で出るかを理解していれば、焦らずに対処できますよ。
チアノーゼが体のどこに出ているかを見極めて、少しでも中心性チアノーゼの可能性があると判断したら、即座に病院を受診しましょう。
また、自分では判断がつかないという場合も、すぐに病院を受診してください。赤ちゃんからのサインを見逃さないように対処してあげてくださいね。