おむつ替えのときに、赤ちゃんのうんちに血が混じっていたり、赤いうんちをしていたりすると、慌ててしまいますよね。うんちに血が混ざることを「血便」といいますが、血便が出ても様子をみていいものや、早急に受診が必要なものなど様々です。今回は、赤ちゃん・新生児の血便について、うんちが赤いのは病気なのか、血便が出る原因や考えられる病気をご紹介します。
赤ちゃんの正常なうんちの色とは?
赤ちゃんのうんちの色は、生れたばかりの時期はまだ消化器官が発達していないことから、大人と同じような色ではありません。成長に合わせて次のように変化していきます。
新生児・赤ちゃんのうんちの色
月齢 | うんちの色 |
新生児期~ 生後2ヶ月頃 |
薄い黄色かオレンジに近い黄色 (ミルク育児や便秘傾向の場合は緑色になることも) |
生後3~4ヶ月頃 | 茶色に近い黄色 (緑色となることも) |
生後5〜6ヶ月頃以降 | 大人と同じような茶色 |
新生児期は、便が腸内に溜まっている時間が長いほど、緑色や黒っぽい色になる傾向があります。まだ固形物を摂っていない時期なので、水っぽく酸っぱいにおいがするのが正常な状態です。
生後3~4ヶ月頃でも、まだ消化に慣れていないことからネバネバとして腸の粘液が混ざることがあります。離乳食が始まると、食事内容によってニンジンなら赤色っぽく、ホウレンソウなら緑色っぽくなり、腸内の細菌バランスが変化し、緩い・固いといった変化もみられます。
また、食べたものが消化されておらず、そのまま出る場合もあります。
月齢が低いうちは、うんちの状態が変化しやすいので、その日に何を食べさせたのか、うんちの回数や状態はいつもの同じだったかなど、チェックしておきましょう。
赤ちゃん・新生児は血便が出やすいの?見分け方は?
赤ちゃんのうんちに、ポツポツと点状の血や、糸くずのような細い血が混ざっていたら、血便が出ているサインです。赤ちゃんは、腸粘膜がデリケートなので、ちょっとした刺激で傷ついて、血便が出ることがあります。
また、生後間もない新生児は、生まれるときに飲み込んだママや自分の血液によって、うんちの一部が黒っぽくなることがあります。
このような血便は、2~3日以内に治まることがほとんどなので、嘔吐していたり、顔色が悪かったりしなければ、基本的に心配はいりません。ただし、生後2~3日を過ぎても出続けたり、量が増加したり、赤ちゃんの顔色や機嫌が悪かったりするときは、小児科を受診しましょう。
前述のように、離乳食を始めると飲み物や食べ物がうんちの色に影響することがあります。たとえば、トマトやニンジンを食べた後は赤味のあるうんちが出ることもあるため、血便と勘違いしてしまうことも。
前日や直前に食べたものをメモしておき、血便かそうでないかを見分けられるように備えておきましょう。
赤ちゃん・新生児の血便の原因は?
ここでは、赤ちゃんや新生児の血便の主な原因をご紹介します。
腸内や肛門の傷
赤ちゃんは、下痢や硬い便などで腸内や肛門が少し傷ついただけでも、うんちに血が混ざったり、うんちが出るときに表面に血が付着したりすることがあります。
便秘
便秘でうんちが固くなったときなどは、ふんばってもなかなか出ずに肛門が傷つき、うんちの表面に鮮明な血が付着することがあります(※1)。
細菌感染・消化器系のトラブル
細菌に感染している場合や、腸の中や消化器系に問題がある場合は、血便が出て、下痢を伴うこともあります。
赤ちゃんの血便で考えられる病気は?
赤ちゃんが血便をしたときは、軽い症状か、重い病気に繋がるものかを判断することが大切です。特に嘔吐や痛みで激しく泣くといった、いつもと違う様子が見られた場合は注意して様子をみましょう。
以下に、血便をともなう主な病気をご紹介するので、赤ちゃんの症状と合わせて確認してみてください。
消化管アレルギー
母乳やミルク、食べ物に含まれる成分が胃や腸の中でアレルギー反応を起こすことで血便がでることもあり、「母乳血便」ともいいます(※2,3)。
うんちに微量の血が混じる程度で機嫌が良ければしばらく様子をみて、何度も起きる場合や嘔吐などの体調に異変がある場合は、病院を受診しましょう。症状によっては、ミルクの成分や、ママの食事の献立を再検討するといった対処をしていく必要があります。
裂肛
固いうんちを無理やり出そうとしたときに、肛門の粘膜や皮膚が切れる「裂肛」によって、うんちの表面に血が付着することがあります(※1)。
痛がってうんちをしないと、さらに便秘になって出しにくい状態になり悪循環です。何度も切れるとイボになってしまうこともあるので注意しましょう。水分をたくさんとったり、お腹マッサージや綿棒浣腸をしたり、早めに対処してあげてください。
新生児メレナ
生後1週間以内に、黒くねっとりした便が出た場合は「新生児メレナ」の可能性があります。ビタミンKの不足による腸からの出血で、すぐに病院でビタミンKを補給する必要があります。
うんちはタール状で、悪化するにつれて色が黒から赤へと変化します。吐血を伴うこともあります。
母乳育児の場合は、ビタミンKが豊富な納豆や小松菜などを積極的に食べるようにしましょう(※4)。
腸重積症
イチゴジャムのように赤くねばっとした粘液状の血便が出たときは、「腸重積症」の可能性があります。回腸が大腸に入りこんでしまい、赤ちゃんが激しく泣いたり泣き止んだりを繰り返すのが特徴です。嘔吐や不機嫌、顔色が悪いといった症状も見られます(※5)。
放っておくと腹膜炎など、重症化する恐れがあるので、上記の症状がみられたら、すぐに病院を受診してください。
急性胃腸炎
ロタウイルスによるウイルス性胃腸炎や、カンピロバクター、O‐157などの病原性大腸菌による細菌性胃腸炎などにかかることがあります。急性胃腸炎になると、発熱に始まり、胃への負担から嘔吐や下痢になり、血便をすることもあります(※6)。
ロタウイルスの場合は、便が白っぽくなって酸っぱい臭いがするのが特徴です。下痢や嘔吐を繰り返すと脱水症状になりやすいのでこまめに水分補給をし、早めに病院を受診しましょう。
赤ちゃん・新生児の血便の状態をしっかり見ておこう
赤ちゃんに血便が出ても、うんちに少し血が混ざっている程度で、機嫌が良く食欲もあれば、過度に心配せず様子をみましょう。
しかし、痛そうにして機嫌が悪い場合や、血便の状態がひどいとき、何度も続くときは早めに受診しましょう。
血便のついたおむつを保管したり、写真を撮っておいたりすると、病院で説明しやすく診断がスムーズになることもあります。早めに異変に気づけるよう、おむつ替えのたびにうんちチェックをする習慣をつけられるといいですね。