ホルモンバランスを整える「プラノバール」という薬は、一定期間継続して飲み続けることが必要です。しかし、仕事などで忙しくしていると、うっかり飲み忘れてしまうこともあるかもしれません。そういった場合、どう対処すればいいのでしょうか?今回は、プラノバールの適切な飲み方や、飲み忘れたときの対処法についてご説明します。
プラノバールの効果とは?
プラノバールは、「黄体ホルモン(プロゲステロン)」と「卵胞ホルモン(エストロゲン)」という2種類の女性ホルモンを配合した経口薬です。
プラノバールを飲むことで、体内の女性ホルモンが補われ、ホルモンバランスを人工的に調整することができます。
そのため、ホルモンバランスが崩れることによって起きる生理不順や卵巣機能不全、子宮内膜症などの治療に使われることがあります(※1)。
プラノバールの飲み方は?
プラノバールを飲みはじめるタイミングや期間は、処方の目的によって異なりますが、たとえば生理不順や卵巣機能不全などの治療の場合、生理5日目から1日1錠を約3週間飲み続けます(※1)。
一定期間、プラノバールを毎日飲み続けると、黄体ホルモンと卵胞ホルモンが補われていきます。この2つのホルモンの作用によって、子宮内膜の厚さが維持されます。
そしてプラノバールの服用をやめると、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの量が減るため、子宮内膜が剥がれ落ちて生理(消退出血)が起こります。
このように、プラノバールを「飲み続ける・休む」というサイクルを繰り返して人工的に生理周期を作り出し、少しずつ体内のホルモンバランスを整えていきます。
プラノバールの効果を最大限得るためにも、処方時の医師の指示に従って、適切に飲みましょう。
プラノバールを飲み忘れたら?
プラノバールは、処方の目的によっては約3週間、毎日飲み続ける薬ですが、うっかり飲み忘れてしまうこともあるかもしれません。
基本的には、飲み忘れに気づいた時点ですぐに服用することとされていますが、次に飲む時間が近いときは、飲み忘れた分は飲まずに、次のタイミングでいつもどおり1回分を飲むよう医師から言われることもあります。
飲み忘れたからといって、複数回分のプラノバールをまとめて飲んだりしないようにしましょう。気づいた時点ですぐ飲むべきかどうか迷ったときは、プラノバールを処方した医師に確認をとってくださいね。
なお、通常は最後の1錠を飲み終えたあと、3~5日ほどで生理(消退出血)が起こりますが、途中でプラノバールを飲み忘れることが続くと、生理がくるタイミングがずれることもあります。
その場合も、自己判断でプラノバールを飲むのをやめたりせずに、今後の服用スケジュールについてかかりつけ医に相談しましょう。
緊急避妊でのプラノバールの飲み方は?
緊急避妊とは、避妊なしで性交を行ったあと、妊娠を回避するために事後的に薬を服用する方法です。
最近は、緊急避妊薬として「ノルレボ」という薬が処方されることが多くなりましたが、プラノバールも緊急避妊用に処方されることがあります。
緊急避妊を目的とする場合、性交から約72時間以内にプラノバールを1回2錠服用し、その12時間後にさらにもう2錠飲むのが一般的です(※2)。
なお、プラノバールによる緊急避妊がうまく行った場合、服用したタイミングにもよりますが、3週間以内には生理(消退出血)がきます(※2)。
なお、医師の指示どおり適切にプラノバールを飲んだとしても、約2~3%の確率で妊娠する可能性もあるということは覚えておきましょう(※2)。
プラノバールの飲み方の注意点は?
プラノバールは、体内のホルモンバランスを強制的に変化させる作用があるため、体にある程度負担がかかります。
どんな目的で飲むにせよ、次のことに注意して服用しましょう。
婦人科系疾患の治療の場合
生理不順などの治療で、プラノバールを長期間飲む場合、最低でも半年に一度は婦人科で検査を受け、異常がないか確認することとされています(※1)。
また頻度は低いですが、足のむくみや頭痛、息切れなどの副作用が現れることもあります(※1)。プラノバールを飲んで体調の変化を感じたら、すぐに病院を受診しましょう。
緊急避妊の場合
緊急避妊を目的にプラノバールを飲む場合、半数以上の人に吐き気が現れ、嘔吐する人も1割以上いるというデータがあります(※2)。
そのため、緊急避妊のためにプラノバールを何度も繰り返し飲むことは推奨されていません。
プラノバールによる緊急避妊はあくまでも最終手段として考え、妊娠を望まない場合はプラノバールよりもホルモン量の少ない低用量ピルを定期的に飲んだり、コンドームを使ったりしてきちんと避妊しましょう。
プラノバールの飲み方を工夫しよう
プラノバールは、処方の目的によって飲むタイミングや期間が決められています。飲み方を間違えて効果が減ってしまわないように、ランチなど、毎日決まった時間に行うこととセットで飲むようにしたり、携帯電話でアラームをかけたりして、飲み忘れを防ぎたいですね。
飲み方で迷うことがあれば、自己判断せずにかかりつけの婦人科医に相談しましょう。