女性ホルモンの調子は、体調に大きく影響します。たとえば、何らかの原因でホルモンバランスが崩れてしまうと、月経異常が起こることも。月経異常がひどくなると不妊の原因になるため、早期の治療が不可欠で、その治療にホルモン剤の「ノアルテン」が処方されることがあります。今回は、ノアルテンの効果や副作用、飲み方のほか、服用後の生理についてご紹介します。
ノアルテンとは?
ノアルテンとは、経口黄体ホルモン剤の一種です。服用することで、女性ホルモンの「黄体ホルモン(プロゲステロン)」を補充することができます。
黄体ホルモンは、簡単にいうと「妊娠を助ける」ホルモンです。もう1つの女性ホルモンである、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」の作用によって厚くなった子宮内膜を、受精卵が着床しやすく、育ちやすい状態に整える役割があります。また、体温を少し上げる作用もあります。
ノアルテンを服用することで、体内で不足している黄体ホルモンが補われ、生理のリズムが整うため、月経周期の短縮・延長や、卵巣・黄体機能不全などの改善が期待できます。
ノアルテンの効果は?
ノアルテンを服用している間は、黄体ホルモンが補充されることで、子宮内膜が充実した状態が続きます。そして、ある程度飲み続けた後に服用を止めると、子宮内膜が剥がれ落ちて生理が起こる、という仕組みです。
この作用を活かして、ノアルテンは以下のような症状に対して処方されます。
ノアルテンが効果を発揮する主な症状
● 無月経
● 月経周期異常(稀発月経、頻発月経)
● 月経量異常(過少月経、過多月経)
● 月経困難症
● 卵巣機能不全症
● 黄体機能不全による不妊症
● 機能性子宮出血
製造販売元による臨床データによれば、これらの症状に対してノアルテンは80%以上の有効性を示しています。特に、39日以上のサイクルで生理が起きる「稀発月経」と、重い生理痛に悩まされる「月経困難症」については、ノアルテンの有効率は100%というデータが出ています(※1)。
月経異常や卵巣機能不全症、黄体機能不全が原因で妊娠しづらくなっていると考えられる場合、不妊治療の薬として処方されることがあります。
また、ノアルテンを飲んでいる間は子宮内膜が剥がれにくくなるため、機能性子宮出血の改善に効果があるとされます。
ノアルテンの副作用は?
製造販売元の臨床検査結果によると、ノアルテンを服用した人のうち約18%で下記のような副作用が現れるとされています(※1)。
重大な副作用
● アナフィラキシーショックによる呼吸困難や蕁麻疹
その他の副作用
● 発疹
● 食欲不振、吐き気・嘔吐、下痢、腹痛
● 不正出血、経血量の変化
● 乳房の張りや痛み
● 頭痛、眠気、倦怠感
● 肝機能異常
● むくみ、体重増加
こういった症状が現れた場合には、服用を中止するか、飲む量を減らすなどの適切な対応が必要となります。一人で我慢せず、担当医に相談しましょう。
ノアルテンの飲み方は?
ノアルテンは1日に5~10mg(1~2錠)を1~2回に分けて飲むのが基本です。月経周期をコントロールする場合は、服用のタイミングに注意が必要です。
多発月経が見られ、月経周期を延ばしたいときは、1日5mg(1錠)を生理予定5日前から飲みはじめ、周期延長希望日まで連続で服用します。
逆に、稀発月経で、月経周期を短くしたい場合には、月経周期前半の「卵胞期」に1日5mgを数日間飲み続けたあとに服用をやめます。
ノアルテン服用後、生理がこない?
ノアルテンを服用したあと、「予定日をすぎても生理がこない」と不安に感じる人もいるかもしれません。しかし、そもそもノアルテンは、月経周期を延長したり短縮したりするのに使われる薬です。
先ほどもご説明したとおり、ノアルテンを飲んでいる間は、一時的に黄体ホルモンが補充されます。服用期間中に、子宮内膜が充分厚くなっていれば、ノアルテンを飲むのをやめて数日後に子宮内膜が剥がれ落ち、生理が来ます。
ノアルテンを飲んだことで月経周期が調整され、「いつもより生理が遅れる」ということはありえますが、完全に生理が止まってしまうわけではありません。むしろ、生理不順で悩んでいた人は、ノアルテンの作用で生理リズムが整っていくことが期待できます。
ノアルテンで生理のリズムを取り戻そう
「妊娠したい」と思ったときに、まず心がけたいのが月経周期を整えること。ノアルテンには生理不順を改善する効果があり、比較的安全性が高いといわれる合成黄体ホルモン剤です。
月経周期が正常になることで、排卵のタイミングを把握しやすくなり、妊娠の可能性が上がることが期待できます。ノアルテンの効果や副作用を理解したうえで、適切なタイミングと量を守って服用してください。