赤ちゃんの身長が伸びない!成長曲線から外れていても問題ない?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

日に日に成長する赤ちゃんの姿を見ると嬉しい気持ちになりますよね。しかし、赤ちゃんの身長が思ったほど伸びず、平均より低いために、ついつい心配になってしまうママやパパは多いのではないでしょうか。そこで今回は、赤ちゃんの身長が伸びない・低いときの原因についてご説明します。

赤ちゃんの身長の測り方は?

赤ちゃん 身長 日本人

赤ちゃんの身長は、寝かせたままの状態で使える測定器で測るのが一般的です。1ヶ月健診や3〜4ヶ月健診、6〜7ヶ月健診などで測定器を目にしたことのあるママも多いのではないでしょうか。

最近は、商業施設のベビールームや授乳室にも測定器が置かれていることがあるので、見かけたときはぜひ赤ちゃんの身長を測ってみましょう。

自宅で赤ちゃんの身長を測るときは、メジャーを使いましょう。

赤ちゃんの身長を測るときのコツは?

赤ちゃん 身長 日本人

身長を測ろうとすると、赤ちゃんは嫌がって暴れることが多いため、スピーディーに行うことがポイントです。測定器に赤ちゃんを置いたら、ひざを抑えて足をピンと伸ばした状態で測りましょう。

自宅で赤ちゃんの身長を測る場合は、ママひとりでは難しいので、パパや家族に協力してもらうといいですよ。

まず、赤ちゃんを床の上に寝かせます。ひとりがおもちゃで赤ちゃんの注意を引いている間に、もうひとりが頭から足までをメジャーでさっと測って完了です。

赤ちゃんが暴れてうまく測れないときは、仰向けで昼寝をしているときに測りましょう。赤ちゃんを起こさないように、股関節の部分からそっと膝を閉じて、足をピンと伸ばしてから測ってあげてくださいね。

赤ちゃんの身長が伸びない・低いと判断する基準は?

母子手帳

赤ちゃんの身長を測った後に、母子手帳の成長曲線グラフに結果を記録をするママも多いですよね。成長曲線グラフには、標準的な成長の度合いを示す帯が描かれていて、赤ちゃんの身長がこの帯の範囲内に収まれば成長の度合いが標準的だと見なせます。

赤ちゃんの身長が帯の下の方に位置するときや、帯の下にはみ出して、それがだんだん広がるときは、赤ちゃんの身長が平均より低いと考えられます。

赤ちゃんの標準的な身長は?

厚生労働省が平成22年に行った調査によると、赤ちゃんの標準的な身長は次の通りです(※1)。

男の子

  • 出生時:44.0〜52.6cm
  • 生後1ヶ月:50.9〜59.6cm
  • 生後3ヶ月:57.5〜66.1cm
  • 生後6ヶ月:63.6〜72.1cm
  • 1歳:70.3〜79.6cm

女の子

  • 出生時:44.0〜52.0cm
  • 生後1ヶ月:50.0〜58.4cm
  • 生後3ヶ月:56.0〜64.5cm
  • 生後6ヶ月:61.7〜70.4cm
  • 1歳:68.3〜77.8cm

上記の範囲内に収まらないと、標準よりも身長が伸びない・低い方だといえますが、赤ちゃんの成長には個人差があるため、必ずしもこの範囲内に収まらなくても、順調に成長していれば問題ありません。

身長が低くて心配なときは、生後1ヶ月・4ヶ月・6ヶ月健診やワクチン接種の際に、医師や保健師に相談しましょう。特に指摘を受けなければ、体格は小さくても順調に成長しているということなので、過度に心配をしないでくださいね。

赤ちゃんの頃の身長の伸び方は早ければいいというわけではありません。乳幼児期に身長が伸びたけれどその後はあまり伸びない子供もいます。成長には個人差があるものだと考えましょう。

赤ちゃんの身長が伸びない・低い原因は?

グッズ メジャー メモ

前述のとおり、赤ちゃんの成長には個人差があるので、身長が平均よりも低くても心配し過ぎる必要はありません。ただし、同性同月齢の平均身長と比べて著しく低く、1年間の身長の伸びがほとんどみられないときは、「低身長」が疑われ、下記の原因が考えられます(※2)。

体質や遺伝

赤ちゃんの身長が伸びない原因は、赤ちゃんの体質や、パパとママからの遺伝によることがほとんどです。2歳を過ぎてから、急激に身長が伸びる子供もいるので、医師から問題がないといわれていれば、あまり心配し過ぎる必要はありません。

栄養不良

母乳やミルクの飲みが悪い、離乳食を食べないといった理由で、成長が遅れている可能性もあります。赤ちゃんの月齢に適した母乳・ミルクの量、離乳食の量を摂取できているか、こまめにチェックするようにしましょう。

心配な場合は、体重が標準的かどうかも合わせて確認してください。

成長ホルモンや甲状腺ホルモンの病気

仮死状態で生まれたり事故で脳に外傷があったりして、脳の下垂体に障害があると、成長ホルモンが分泌されず、身長の伸びが悪くなることがあります。

この場合は、成長するにつれて低身長の傾向が明らかになり、治療が必要となります。

染色体の病気

染色体の本数が足りなかったり異常があったりすると、低身長になるケースがあります。その多くは体の奇形や内臓の病気、発達が遅いといった傾向があります。

子宮内胎児発育不全

早産で小さく生まれた赤ちゃんに、低身長がみられることもあります。多くの赤ちゃんは3歳ごろまでに身長が伸びますが、伸びないときは成長ホルモン治療を行うこともあります。

軟骨異栄養症

骨や軟骨に異常があって身長が伸びず、胴体に比べて手足が短い、O脚といった体のバランスに特徴が出ます。

臓器の異常

心臓、肝臓、腎臓といった重要な臓器に異常があると、十分な栄養を取り込むことができず、身長が伸びなくなることがあります。

赤ちゃんの身長が低くて心配なときは医師に相談を

女性 ノート 記録 メモ

赤ちゃんの身長の伸びが悪いと、ついつい心配になってしまいますが、背の高さは遺伝による部分が大きく、個人差があるものです。あまり神経質にならずに温かく成長を見守ってあげられるといいですね。

赤ちゃんの身長が低く、どうしても心配な場合は、小児科医に相談を。問題がない範囲なのか、それとも治療が必要なのか、判断してもらいましょう。

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