さまざまな場面で活躍してくれる頼もしい赤ちゃんの栄養源であるミルク。ただし、ミルクによってアレルギー症状が起こることがあるのをご存知でしょうか。
今回はミルクアレルギーの原因や症状、治療法などについてご紹介します。
赤ちゃんのミルクアレルギーの原因は?
アレルギーとは、本来体に害を与えない物質に対して免疫機能が過剰に反応してしまうことをいいます。
ミルクアレルギーは「新生児・乳児消化管アレルギー(新生児・小児食物たんぱく誘発胃腸症)」の一種で、多くの粉ミルクに含まれている「カゼイン」というたんぱく質が主な原因となってアレルギー反応を引き起こします。
少し古いデータですが、2009年に行われた東京都の新生児・乳児消化管アレルギー全数調査では、総出産数に対して発症率はおよそ0.21%と報告されています(※1)。
赤ちゃんのミルクアレルギーの症状は?
赤ちゃんにミルクアレルギーがある場合、粉ミルクを飲ませると以下のような症状が起こります(※1)。
嘔吐
嘔吐は約58%の赤ちゃんにみられます。新生児の場合、嘔吐ならゲップと一緒に出てしまうことも考えられますが、ミルクアレルギーの場合、ミルクを飲んでから大体1〜4時間以内に嘔吐すると同時に顔色が悪くなって、ぐったりした状態になります(※2)。
下痢・下血
下痢は約27%の赤ちゃんにみられます。ミルクを飲んだあと24時間以内(大体5〜10時間)で起こり、血が混じった便になったり、消化管から出血して下血することもあります(※2)。
ミルクアレルギーに気づかずに連日飲ませてしまうと、下痢が続いて体重が増えなくなったりします。
腹部の膨満
約36%の赤ちゃんにお腹のはりが起こります。粉ミルクを飲ませたあとに、お腹がパンパンにはっていないか確認しておきましょう。
湿疹・じんましん
赤いぶつぶつやかゆみが出る湿疹やじんましんような発疹は、約10%の赤ちゃんにみられます。体を動かしてムズムズしているような様子がないか観察してあげてください。
粉ミルクを飲ませてから数時間程度で上記のような症状が起きた場合や、粉ミルクをはじめてから赤ちゃんの体重がなかなか増えない場合は、早めにかかりつけの医師に相談しましょう。
いつミルクを飲ませていたかを記録しておくと、アレルギーかどうかの判断がつきやすくなりますよ。
粉ミルクを飲ませはじめたばかりのころは、飲ませた後に症状がでないか定期的に様子をみるようにしてくださいね。
赤ちゃんのミルクアレルギーの検査・治療方法は?
ミルクアレルギーが疑われる場合、症状が出た経緯を問診で確認され、血液検査や負荷試験を行ってミルクアレルギーかどうかを診断していきます。
血液検査では採血を行い、白血球の成分の確認をしたり、ミルクに含まれるアレルギー反応を引き起こす「カゼイン」などのたんぱく質に対してIgE抗体を測定します。
症状と経過・検査結果などからミルクアレルギーが疑われると、粉ミルクを除去することで改善するかどうかを確認します。
ミルクアレルギーであると診断されると、一般的な治療法として症状を起こす粉ミルクを赤ちゃんに与えないようにします。
赤ちゃんがミルクアレルギーだと粉ミルクは使えないの?
離乳食が始まっておらず、ミルクが唯一の栄養源である場合は、ミルクアレルギーを持つ赤ちゃん用の粉ミルクに切り替えることになります(※1)。
ミルクアレルギー用の粉ミルクは、アレルゲンである牛乳のたんぱく質が分解されているニューMA-1や、牛乳成分を一切使われていないエレメンタルフォーミュラといったものがあります。
ただし、アレルギー用粉ミルクはパッケージの注意書きに「医師の指示によりお使いください」といった記載があるのが一般的なため、使う前にどのアレルギー用の粉ミルクを使用するのか医師に相談するようにしてください。
ミルクアレルギーについて知っておこう
赤ちゃんが「ミルクアレルギーになったらどうしよう」「これからどうしたらいいのかな」と不安な気持ちになるかもしれません。
もし赤ちゃんがミルクアレルギーになっても、専用の粉ミルクが販売されているので、心配しすぎることはありませんよ。
初めて粉ミルクを飲ませるときは、赤ちゃんの体調をしっかりと確認するようにしてくださいね。何か普段と違う症状が起きたら早めにかかりつけの医師に相談しましょう。