妊娠中に突然奥歯が痛むと、「もしかして親知らずかも…」と心配になりますよね。親知らずは抜歯すれば治るものですが、妊娠中に治療してもいいものなのでしょうか?放置しておくと痛みはどんどんひどくなることがあるので、できれば抜歯したいと思う人もいます。今回は、親知らずが痛み出した妊婦さんのために、そもそも妊娠中に歯科治療を受けてもいいのか、親知らずを抜歯をしてもいいのかなどをご説明します。
妊娠中に親知らずが痛くなるのはなぜ?
親知らずが痛くなる原因はいろいろありますが、生え方が悪かったり、虫歯になってしまったりするのが一般的です。
生え方が悪いだけなら妊娠とは関係なく、ちょうど痛みだすタイミングと妊娠の時期が重なっただけだといえます。しかし、虫歯が原因となると話は別です。
妊娠すると女性ホルモンの増加や唾液の性質が変化して虫歯や歯周病になりやすくなるからです(※1)。親知らずは歯磨きが難しくてケアが疎かになりがちなので、妊娠中はさらに虫歯になりやすくなります。
妊娠中に奥歯に痛みを感じたら、親知らずが原因かどうかは自分で判断するのが難しいので、歯医者で診てもらってくださいね。
妊娠中に歯を治療してもいいの?
妊娠中に歯が痛くても、治療してはいけないのではないかと歯医者に行くのを躊躇する人もいるかもしれませんね。しかし、妊娠中に歯を治療するのは、問題ありません。ただ、時期によって注意すべきことがあるので、時期に合わせて対応しましょう。
妊娠初期(妊娠15週まで)はつわりがあり、体調が安定していないので、急を要しなければ歯科治療は控えたほうが無難です。どうしても治療が必要であれば、妊娠している旨を歯科医に伝えて対処法を検討してください。
妊娠中期(妊娠16〜27週)になれば安定期なので、この時期に歯科検診を受けて歯の治療をすませておくと安心です。妊娠後期(妊娠28週から)に入るとお腹がある程度大きくなっているので治療を受けるのが大変になりますよ。
奥歯に少し違和感があるくらいなら治療は妊娠中期まで待ったほうがいいですが、激しい痛みや腫れがあるときはすぐに歯科医に相談してくださいね。その際は、受付の段階で妊娠していることを忘れずに伝えましょう。
妊娠中の親知らずの治療法は?抜歯はする?
親知らずが痛くなった場合、症状によっては抜歯が検討されます。親知らずの虫歯は治療が難しい上、隣の歯にも悪影響をおよぼすので、痛みだしたときは抜いてしまうのが一番だからです。
しかし、一般的に、妊娠中はできるだけ抜歯をせずに対処します。レントゲンや麻酔、痛み止めの薬など治療が大掛かりになるので、出産が終わるまで対症療法で乗り切ることが多いようです。歯の洗浄と消毒、消炎鎮痛剤や抗生物質などの薬を使って一時的に腫れや痛みに対処して出産後に本格的な治療を行います。
歯科医に妊娠していることを伝えておけば妊娠中に飲んでも問題ない薬を処方してもらえるので安心してくださいね。
妊娠中は親知らずを抜歯してはいけないの?
妊娠中は絶対に抜歯しないというわけではありません。親知らずが痛くてどうしようもなければ抜歯をすることもあります。
妊娠中に抜歯が必要になったら、まず安定期に入るのを待って、体調を見ながら治療法を検討します。局所麻酔ではありますが麻酔の使用量は抑え、レントゲンも放射線量がわずかなものを使用するなど、細心の注意が払われます。
妊娠中の親知らずは赤ちゃんに影響がある?
妊娠中に親知らずになっても、赤ちゃんに影響はありません。しかし、親知らずが原因で歯周病になった場合、お腹の赤ちゃんに影響があるかもしれません。
歯周病によってできた炎症性の物質が、血管を通って胎盤や子宮に伝わり、早産を引き起こしたり、歯周病菌が胎盤や子宮に感染して、赤ちゃんの発育に影響を与えたりするという報告があります(※1)。
歯周病を治すとこうした危険性を下げられるといわれているので、 妊娠中は歯磨きなどの口内ケアを徹底しましょう。痛みや違和感があるときはきちんと歯科を受診し、治療を行ってくださいいね。
妊娠中は親知らずのケアを徹底しよう!
妊娠中は普段から口内ケアを徹底したいですね。しかし、どんなに予防を心がけても虫歯になることはありますし、親知らずが痛くなることも止めようがありません。そのため、口内ケアを徹底するのと一緒に、定期的に歯科健診を受けることも重要です。
歯のトラブルを早期に見つけられれば、痛みだす前に対処することもできますし、痛みが強くならないような処置をしてもらえます。何より「歯が痛いかも…」と虫歯や親知らずへの不安を抱えながらマタニティ生活を送るのは精神衛生上もよくありません。
余計な不安はなくして、落ち着いた気持ちで過ごせるようにしたいですね。