「産後は妊娠しやすい」、逆に「産後はなかなか妊娠しない」といったように、産後の妊娠についてはいろいろな噂があるようです。2人目や3人目をできるだけ早くほしい場合でも、次の妊娠・出産を計画していない場合でも、どちらが本当なのか気になりますよね。
そこで今回は、産後は妊娠しやすいのか、生理の再開前に妊娠することはあるのかなどをご説明します。
産後は妊娠しやすいの?
「産後は妊娠しやすい」といわれる理由に、「出産後は子宮や卵管がきれいな状態だから受精卵が着床しやすい」という噂があるようですが、医学的な根拠はありません。
産後は、母乳を作るホルモン「プロラクチン」が分泌され、赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激で分泌量が増えます(※1)。プロラクチンが多く分泌されている間は、基本的に排卵が起こりにくく、妊娠する可能性は低くなります。
完全ミルクや混合育児の場合は、プロラクチンの分泌量が少なくなりやすいため、完全母乳育児よりも早く排卵が再開する傾向があります。
産後の生理はいつから?生理再開前に妊娠することもある?
生理の再開時期の大まかな目安は以下のとおりです。
● 完全母乳育児
約1/3の人が産後4ヶ月までは再開します(※2)。ただし個人差があり、産後6ヶ月以降に再開する人もいます。
● 混合育児
母乳を与える頻度が多いほど完全母乳育児の場合と近い時期に、少ないほど完全ミルク育児に近い時期に、生理が再開します。
● 完全ミルク育児
平均で産後2ヶ月ほどで、9割以上の人が産後4ヶ月までに再開します(※2)。
● 卒乳・断乳後
卒乳・断乳をすると、約9割の人が6週間以内に生理が再開します(※2)。
このように母乳かミルクかなどによって個人差が非常に大きいものの、産後の生理が再開するまでには少なくとも2ヶ月程度はかかります。
しかし、生理が再開してないからといって妊娠しないわけではありません。「産後、生理が再開していないのに妊娠した」というケースもあります。
これは、生理再開前の排卵と性交のタイミングが重なったためです。生理が再開する前に妊娠する可能性もあるので、産後すぐに妊娠を希望していない場合は必ず避妊をするようにしてくださいね。
産後の妊娠に向けた性交渉の時期は?
性交渉自体は、1ヶ月健診で母体が順調に回復していると確認できれば再開できます。
ただし、1ヶ月健診で問題ないといわれても、産後しばらくはまだまだ体の回復期で、さらに赤ちゃんのお世話で体力をたくさん消耗する時期です。そのような状態で次の妊娠をすると、妊娠中や分娩時に体に負担がかかりやすくなります。
次の妊娠に向けた性交渉は、母体への負担や早産の予防などを考慮すると、少なくとも産後1年以上経ってからを目安にするとよいでしょう(※3)。WHOのガイドラインでは、次の妊娠まで、できれば2年間空けることを推奨しています(※4)。
また、生理再開後しばらくは周期が不安定なため、排卵日を把握するのが難しいです。
次の妊娠・出産の適切な時期については、前回の妊娠経過や分娩方法、産後の体調などによって個人差があります。できるだけ早く次の妊娠を望む場合は、出産した医療機関や、かかりつけの婦人科で相談してみてくださいね。
産後の妊娠について考えておこう
出産後、排卵や生理が再開する時期には個人差があります。生理の再開前や母乳育児中でも妊娠する可能性があるということは意識しておきましょう。
産後の性交渉や妊娠について不安や疑問があれば、次の妊娠を望む・望まないに関係なく、パートナーと話し合ったり、婦人科などで相談したりしてみてくださいね。