子供を持つママ・パパなら「溶連菌」という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。正確には、溶連菌感染症という病気のことを指します。もし、この溶連菌感染症に感染してしまった場合、学校や保育園を休ませなくてはならないのでしょうか?今回は、この溶連菌感染症にかかった場合、学校や保育園を出席停止になってしまうのか、また、もしそうなら休ませる日数や期間はいつまでなのか、などをご紹介します。
溶連菌とは?
病院で診断される「溶連菌」は、正確には「溶連菌感染症」という病気です。溶連菌感染症は、5〜15歳の子供がかかりやすい病気で、発症すると、38〜40度ほどの熱や頭痛、のどの痛み、食欲不振、発疹、吐き気などが出ることがあります(※1)。
溶連菌感染症の特徴的な症状の一つとして、舌の表面にいちごのような赤いブツブツが見られることも多くあります(※2)。
熱が出てから、かゆみのある小さな赤い発疹が全身に現れる「猩紅熱」の症状が出ることがあります。発疹は1週間ほどで無くなりますが、数週間後にわきや手の皮がポロポロと剥けることがあります(※2)。
また、溶連菌感染症はその症状が治まってから1〜2週間たった後に、腎臓のはたらきが低下してむくみや血尿が現れる急性糸球体腎炎や、発熱と関節痛が見られるリウマチ熱などの合併症を引き起こす可能性もあり、完治までは注意が必要な病気です(※2)。
溶連菌にかかると出席停止に?学校に行けなくなる?
溶連菌感染症の原因となるA群β溶血性連鎖球菌は、くしゃみなどの飛沫感染や接触感染で人から人に感染するため、学校や保育園など、集団生活の場では感染しやすい病気とも言えます。
学校を出席停止になる基準については、学校保健安全法では手足口病などと同じく「その他の感染症」に分類されています(※3)。これは、必ずしも出席停止が必要なわけではないものの、必要に応じて出席停止を求められる病気であることを示しています。
そのため、溶連菌感染症の患者が出た場合、感染した子供を出席停止にするかどうかの判断は、学校によって異なります。
溶連菌で出席停止の場合、学校に行けない日数・期間の目安は?
溶連菌感染症は、ペニシリン製剤など、適切な抗菌薬を服用すれば、治療開始後24時間以内に感染力はなくなると考えられています(※1)。
そのため、溶連菌感染症にかかった際の登校の目安は「子供の全身状態が良好」であり、「適切な抗菌薬による治療開始後24時間以降」とされています(※3)。
つまり、子供の溶連菌感染症の症状による辛さがなくなり、抗菌剤を飲んでから丸1日以上経ってからが、学校に登校できる目安になります。
この溶連菌感染症に感染した後の登校の目安は、小学校や中学校などの違いにかかわらず、基本的には同じです。しかし、実際に登校を認めるかどうかは、各学校によって異なる場合があるので、通っている学校に確認しましょう。
溶連菌で出席停止後に学校に行くときは登校許可証が必要?
溶連菌感染症に感染した際、登校許可証を提出する必要があるかどうかは、各学校・自治体によって基準が違うため、確認が必要です。東京都内でも足立区などは、登校許可証を学校に提出することが求められます(※4)。
登校許可証は、必ずしも医師による記入が求められるものではなく、医師の判断を聞いたうえで、保護者による記入で問題ないものもあります。
溶連菌で学校を出席停止にならないための予防策は?
溶連菌感染症で学校を出席停止にならないためには、まず、普段の生活から予防を心がけ、感染を防ぐことが重要です。
家庭でできる溶連菌感染症の予防としては、患者との接触を避けることが最も効果的です(※5)。
溶連菌は感染力が強く、かかりはじめの時期の感染率は、兄弟姉妹間で25%もあります(※5)。そのため、子供が溶連菌感染症にかかった場合は、兄弟姉妹への感染が広がるのを防ぐために、なるべく接触を減らすようにしましょう。
また、うがい、手洗いや、マスクの着用など、一般的な予防法も効果があります(※5)。
溶連菌は出席停止で学校に通えない期間がある病気
これまで紹介してきたように、溶連菌は感染力が高いため、子供が感染してしまうと学校を出席停止になってしまう可能性もあります。小学校や保育園によって、出席停止になる日数・期間は異なるものの、まずは感染しないように心がけることが最優先です。
また、溶連菌感染症は抗菌薬を服用することで、症状は回復しますが、溶連菌が完全に取り除かれる前に服薬をやめてしまうと、再発することが多いやっかいな病気です(※2)。
溶連菌感染症は、自分の子供が何日も出席停止になるだけではなく、他のクラスメイトにもうつしてしまうことがあります。まずは感染を防ぐこと、そしてやむなく感染してしまったら他の人にうつさないために、うがい、手洗い、マスクの着用などの感染対策を徹底しましょう。