毎年流行を繰り返すインフルエンザ。一気に感染者が増えることが多く、気がつくと周りはインフルエンザにかかった人だらけ…という状況になることも。さまざまな症状があるインフルエンザですが、今回は喉の痛みに焦点を当て、喉が痛いときはどう対処すべきか、喉の痛みからインフルエンザの症状が始まることがあるのか、といったことをご紹介します。
インフルエンザってどんな病気?
インフルエンザは、日本国内で毎シーズン約1500万人が感染している病気です(※1)。
病原体であるインフルエンザウイルスには、A、B、C型があります。C型は流行することがほとんどないものの、A型やB型は大きな流行を繰り返します。またA型は変異を繰り返しており、今でも新たな型が生まれ続けています。
インフルエンザの一番の特徴は、全身の症状が強く出ることです。多くの場合、悪寒を伴う38~40度の高熱や、全身の倦怠感、関節痛、筋肉痛などの症状があらわれます(※2)。
肺炎やインフルエンザ脳症などの合併症がなければ、症状は2~3日で治まることがほとんどですが、発熱が5日ほど続くこともあります(※2)。
インフルエンザは喉が痛くなる?
インフルエンザにかかると、前述したような全身の症状のほか、多くの場合で喉の痛みや腫れもみられます。そのほかにも、鼻水や咳、くしゃみなどといった、風邪のような症状もあらわれます。
これらの症状は、一般的には発熱のあとに起こります(※2)。
インフルエンザは喉の痛みから始まることもあるの?
前述したとおり、インフルエンザは発熱から症状が始まることがほとんどです。もし喉の痛みから始まった場合は、以下の2つの可能性があります。
インフルエンザの予防接種を受けた影響
インフルエンザが流行する冬に向けて、毎年ワクチンが用意されています。予防接種を受けると、100%感染を防ぐことはできないものの、感染したときに症状が軽くなります(※3)。
そのため、予防接種を受けたうえでインフルエンザにかかったときは、発熱は微熱程度で、のどの痛みだけがみられたり、いわゆる風邪のような症状しか起こらなかったりすることもあります。
インフルエンザではない病気を発症している
インフルエンザが流行しやすい冬は、空気が乾燥していて気温が低く、ウイルスや細菌による感染症が起こりやすい季節です。
熱より前に喉の痛みが現れた場合、インフルエンザと他の病気を併発している、もしくはインフルエンザかと思ったら別の病気だった、という可能性もあります。
以下の病気は、喉に強い痛みが生じることがあります。
アデノウイルス
アデノウイルスに感染すると、咽頭炎や結膜炎を引き起こすプール熱(咽頭結膜熱)を発症し、喉の痛みが強く出ることがあります(※4)。
主に夏に流行することが多いウイルスですが、それ以外の季節に感染することもあります。
溶連菌感染症
A群溶血性連鎖球菌を病原体とする感染症で、多くの場合、発熱や喉の痛みが強くあらわれます。
また、溶連菌感染症の一つで、5~10歳で発症することが多い猩紅熱(しょうこうねつ)にかかると、喉の痛みや発熱に加え、舌がイチゴのように赤く腫れます(※5)。さらに体に発疹がみられることもあります。
インフルエンザの喉の痛みの対処法は?
インフルエンザに限ったことではありませんが、喉の痛みがつらかったり、なかなか治らなかったりする場合には、以下の対処を行うことで痛みを和らげられるかもしれません。
部屋の湿度を上げる
喉の粘膜が乾燥すると、喉の痛みが強くなったり、咳が出やすくなったりします。加湿器や濡れタオルなどで、部屋の湿度を高めましょう。
食事を工夫する
はちみつや大根には、抗菌作用があり、喉の炎症を抑える効果があります。これらを食事に取り入れることで、喉の痛みを軽減する効果が見込めます。
ただし、はちみつは乳児ボツリヌス症を引き起こす可能性があるため、1歳未満の赤ちゃんには与えないようにしましょう(※7)。
水分を摂る
喉が乾燥しないよう、少しずつでも、水分を定期的に摂るようにしましょう。冷たいもの、炭酸が含まれているもの、辛みがあるものなどは、刺激で喉の痛みが強くなってしまう可能性があるので、できるだけ避けましょう。
インフルエンザの喉の痛みは家庭で対策を
インフルエンザにかかったとき、喉の痛みを感じるのはよくあることで、それが重症化することはあまりありません。
インフルエンザによる喉の痛みは、基本的に家でできる対策を行うことで、時間の経過と共に治ります。しかし喉の痛みがつらいときや、なかなか治らないときは、他の病気にかかっている可能性もあるので、病院を再度受診してくださいね。