冬に流行することが多いインフルエンザは、突然あらわれる高熱が特徴的な病気です。しかしそれ以外にもさまざまな症状があり、場合によってはくしゃみが出ることもあります。今回は、インフルエンザにかかったときに出るくしゃみについて、その症状や、止まらないときの対処法についてご紹介します。
インフルエンザってどんな病気?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染によって起こる病気です。冬を中心に流行することが多いものの、ウイルスは1年を通して存在しており、夏に感染することもあります(※1)。
インフルエンザウイルスにはA、B、C型がありますが、A型は変異しやすく、30年程度を目安に、さらに新しい型のウイルスが生まれ続けています。
1918~1919年に流行したスペインかぜや、1968年に流行した香港かぜ、最近では2009年に流行した新型インフルエンザ(A/H1N1 2009pdm)がその代表例で、世界的な大流行を起こすこともあります(※1)。
インフルエンザの症状は、インフルエンザウイルスに感染してから48~72時間の潜伏期間を経て、急な発熱から始まることがほとんどです(※1)。その後、筋肉痛、全身の倦怠感、頭痛、食欲不振、関節痛、腰痛など、全身につらい症状があらわれます。
また肺炎や心筋炎、まれにインフルエンザ脳症などを合併することもあります。インフルエンザ脳症は、重度の後遺症が残ることもある、注意したい病気です。
インフルエンザの発熱は2~5日ほど持続しますが、合併症がなければ、多くの場合は発症後48~72時間で自然に快方に向かっていきます(※1)。
インフルエンザになるとくしゃみが止まらないこともある?
インフルエンザにかかると、人によってはくしゃみなどの呼吸器症状が出ることもあります。くしゃみの他に、鼻水やのどの痛み、クループ(ケンケンという咳が出たり、声が枯れたりする)などの症状があらわれることもあります。
このような呼吸器の症状は、多くの場合は発熱の1~2日後にあらわれ、解熱後もなかなか止まらないことがあります(※1)。
インフルエンザのくしゃみは感染力がある?
インフルエンザは、くしゃみや咳、鼻水などにウイルスを含んでいるため、くしゃみの飛沫にも感染力があります。
インフルエンザにかかると、大人は発症前日から発病後5日まで、子供は発病数日前から10日以上にわたり、周囲の人に感染させる力があります(※2)。
そのため熱が下がっても、くしゃみが止まらないときは、周りの人にうつしてしまう可能性があります。くしゃみが出ている間は、ウイルスを飛散させないための対策が必要です。
なお、インフルエンザにかかったら、学校や保育園には、発症の後5日、かつ解熱後2~3日経たなければ登校・登園することができません(※2)。これは、インフルエンザを周りの人にうつしてしまう可能性があるからです。
この期間を過ぎれば、くしゃみが残っていても登校・登園はできますが、解熱後もしばらくは感染力がわずかながら残っているということは覚えておいてくださいね。
インフルエンザのくしゃみはどう対処する?
前述したとおり、インフルエンザにかかったときのくしゃみには、人にうつしてしまう感染力があります。
1回のくしゃみや咳により、約200万個の粒子が、秒速30~50mの速さで数メートル先まで飛びます(※1)。大きな粒子は数秒以内に地面や机などに付着しますが、小さな粒子は数分~数時間、空気中を浮遊します。
インフルエンザウイルスは、くしゃみによる飛沫に触れるだけでなく、空気中に浮遊する飛沫を吸い込むことでも感染する可能性があるので、感染が広がらないように対策することが大切です。
インフルエンザでくしゃみが出る場合には、下記のような対策を行い、周りにうつさないようにしましょう(※3)。
● 人に向かってくしゃみをしない
● くしゃみが出るあいだはマスクをする
● マスクをしていないときのとっさのくしゃみは、ティッシュや腕の内側などで口を覆う
● 手の平でくしゃみを受け止めたら、すぐにその手を洗う
● 飛沫を含んだティッシュはすぐに捨てる
インフルエンザはくしゃみの対策が大切!
インフルエンザにかかったとき、くしゃみが重症化することはほとんどありません。ただしくしゃみで排出される飛沫には、解熱後も感染力が残っていることもあります。熱が下がったからといって油断せず、家族や周囲の人にうつさないための対策が必要ですよ。
またくしゃみは、寒暖差があったり、空気が乾いたりしているときに出やすくなるので、早く治すためには、部屋を暖かくして湿度を適度に保ちましょう。水分補給も忘れないようにしてくださいね。