乾燥肌だったり、湿疹が出たり…赤ちゃんや子供に皮膚の悩みはつきものです。なかには「病院でステロイド剤を出されたのだけど、副作用が不安…」という声もあるようです。そこで今回は、ステロイドという薬がどういうもので、外用薬(軟膏、塗り薬)と内服でどう違うか、強さのランクがあるのかなどについてご紹介します。
ステロイドとは?
「ステロイド」とは、ステロイド骨格という構造を持つ化合物の総称で、体の脂肪成分であるコレステロールから、ステロイドという炎症を抑える物質が作られます。
しかし、一般にステロイドと呼ばれているのは、薬として使われているステロイド剤のことです。ステロイド剤は、外傷や感染による炎症反応を抑制する糖質コルチコイドというホルモンを含んでいます(※1,2)。
ステロイドを用いた薬には、主に以下のようなものがあります。
● 軟膏、塗り薬(主に皮膚の病気に対して)
● 内服(皮膚の病気やぜんそくなどに対して)
● 目薬(結膜炎などに対して)
● 吸入薬(ぜんそくなどに対して)
● 点鼻薬(花粉症に対して)
ステロイド外用薬と内服の違いとは?
前述したとおり、ステロイドと一口に言っても様々な薬があります。ここでは、特に皮膚の悩みに対するステロイド剤の使用についてご説明します。
子供の皮膚の悩みとして多いのが、肌荒れや湿疹。それが悪化すると慢性化し、アトピー性皮膚炎になってしまうこともあります。アトピー性皮膚炎はかゆみがひどく、治るまで時間がかかることも多い病気です(※3)。
その症状を軽減させるために、よくステロイド剤が使われます。また赤ちゃんの顔や体に湿疹が出る乳児湿疹がなかなか治らない場合にもステロイド剤が処方されることがあります。
外用薬は軟膏や塗り薬のことで、内服は飲み薬のことです。外用薬はかゆみのある個所だけに塗りますが、飲み薬は体内に取り込まれるため、より体に吸収されやすいのが特徴です。
そのため外用薬より内服の方が薬の効果が高くなりますが、同時に副作用も大きくなってしまいます。現在は、ステロイドの内服処方は必要最低限にとどめられています(※3)。
ステロイド外用薬には副作用がある?
ステロイドに限らず、薬には副作用があります。ステロイドの外用薬による副作用は、皮膚が薄くなることや、お酒を飲んだように顔が赤くなる「酒さ様皮膚炎」になることなどが挙げられます(※3)。
このような副作用は、1ヶ月以上と長期で使い続けることにより起こりやすくなります。
しかし、特に気をつけたいのは内服薬のステロイドの副作用です。ステロイドの内服薬を長期間服用すると、身長が伸びなかったり、免疫力が落ちて感染しやすくなったり、骨が弱くなり骨折しやすいことがあります(※3)。
強さのランク別!ステロイド外用薬の種類は?
日本で処方・販売されているステロイド外用剤には、強さに応じて5つのランクがあります(アメリカでは7ランクに分類)。
以下に一覧表を記しますので、ステロイド外用剤が処方されたときは確認してみてください。I群が最も強く、V群が最も弱い特性を持ちます。
I群(strongest)
● デルモベート(0.05% クロベタゾールプロピオン酸エステル)
● ジフラール、ダイアコート(0.05% ジフロラゾン酢酸エステル)
II群(very strong)
● フルメタ(0.1% モメタゾンフランカルボン酸エステル)
● アンテベート(0.05% ベタメタゾン酪酸エステル、プロピオン酸エステル)
● トプシム(0.05% フルオシノニド)
● リンデロンDP(0.064% ベタメタゾンジプロピオン酸エステル)
● マイザ̶(0.05% ジフルプレドナート)
● ビスダーム(0.1% アムシノニド)
● テクスメテン、ネリゾナ(0.1% ジフルコルトロン吉草酸エステル)
● パンデル(0.1% 酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン)
III群(strong)
● エクラー(0.3% デプロドンプロピオン酸エステル)
● メサデルム(0.1% デキサメタゾンプロピオン酸エステル)
● ボアラ、ザルックス(0.12% デキサメタゾン吉草酸エステル)
● ベトネベート、リンデロンV(0.12% ベタメタゾン吉草酸エステル)
● プロパデルム(0.025% ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)
● フルコート(0.025% フルオシノロンアセトニド)
IV群(mild)
● リドメックス(0.3% プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)
● レダコート、ケナコルトA(0.1% トリアムシノロンアセトニド)
● アルメタ(0.1% アルクロメタゾンプロピオン酸エステル)
● キンダベート(0.05% クロベタゾン酪酸エステル)
● ロコイド(0.1% ヒドロコルチゾン酪酸エステル)
V群(weak)
● プレドニゾロン(0.5% プレドニゾロン)
● グリメサゾン軟膏(0.05% デキサメタゾン)
引用:日本アレルギー協会「新版よくわかるアトピー性皮膚炎」(※3)
ただし、出された薬が強かったから副作用が出てしまうのではないか、とすぐに怖がる必要はありません。治療開始時は強めのステロイドを集中的に使い、症状が軽くなるに従って、弱い薬に変えたり回数を減らすなどの処置がとられます。
ステロイドの塗り薬は正しく使いましょう
ステロイド剤には副作用がありますが、これはステロイド剤に限ったことではありません。
必要なことはステロイド剤を恐れることではなく、医師の指示に従って正しい分量を正しい箇所に、正しいタイミングで使用することです。
また肌の悩みはステロイド剤だけで治るわけではありません。スキンケアなどもしっかり行うことで症状を緩和することができますよ。