妊娠中に離婚したいと思ったら?親権や慰謝料はどうなる?

妊娠中の女性は、お腹の赤ちゃんを守るために、体だけでなく心にまで変化が現れます。妊娠前と比べてホルモンバランスが大きく乱れ、イライラすることや何気ない言葉に傷ついてしまうこと、夫とのスキンシップに嫌悪感を抱いてしまうこともあり、それが理由で夫婦仲が険悪になることも珍しくありません。そこで今回は、妊娠中に離婚したいと思ってしまうことについて、理由や予防法、もし離婚となった場合、親権や慰謝料はどうなるのかなどについてご紹介します。

妊娠中に離婚したいと思う理由とは?

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妊娠中に離婚したいと思う理由は、妊娠に伴う妻の変化に夫がついていけず、すれ違いが生じてしまうことが主だと考えられます。また、すれ違う中で妻のことを理解する術がなく、夫が浮気をしたことがきっかけで離婚に至るケースもあるようです。

妊娠すると、妻・夫、それぞれに変化が現れます。以下に主な例をまとめたので参考にしてみてください。

妊娠したことによる妻の変化

● つわりなど急な体調の変化で気持ちがナイーブになる
● お腹の中の赤ちゃんの成長を体で感じ母性が生まれる
● ホルモンバランスが乱れイライラしてしまう
● 体毛が濃くなる・匂いに敏感になる・味覚が変わる
● 赤ちゃんを守るために男性(夫)を寄せ付けなくなる
● 夫の近くに座ることや肩に手を置くことなど、スキンシップに嫌悪感がある
● 安定期に入るまで性行為が望ましくない状態になる(感染症の危険・母体への負担から)
● 満足に家事ができない・寝たきりの状態になることもある

妻が妊娠したことによる夫の変化

● 体に変化がないので「父になる」という実感が湧きにくい
● 妻の体調の変化についていけず、不満を感じる
● 妊娠の変化が理解できず、蚊帳の外にいる感覚を味わう
● 妻のお腹が日増しに大きくなることに恐怖感を覚え、セックスレスになる
● 妊娠後の妻の言動にギャップを覚え、耐えられなくなる
● 妻が構ってくれない・妻の気持ちがわからないなど、接し方に迷う

妊娠中に離婚する前に知っておきたいこと

妊娠中に離婚する場合、離婚したら困ることや大変になることをあらかじめ知っておくことも大切です。妊娠中の離婚は思っていたよりも厳しい状況になることが多いです。

例えば、子供一人を成人まで育てるには、一般的に5,000万円ほどのお金が必要といわれています。自分の生活費や、老後の貯蓄のことも考えると、とても簡単な金額ではないですよね。

昨今の不景気から、ひとり親世帯の貧困化も問題視されています。核家族化も進み、子供が病気のときに預ける先がなく、仕事を休まなくてはならないことも。仕事に行くとしても、病児保育などで出費がかさむのが現実です。

離婚したい理由にもよりますが、一度冷静になってみましょう。

しかし、夫の暴力やアルコール依存症などで、母体や赤ちゃんが危険な状態にある場合には、早急な対応が必要です。自治体やボランティア団体に相談し、ときには母子生活支援施設に入ることも検討してください。

妊娠中の離婚、親権や慰謝料はどうなる?

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妊娠中に離婚する場合、子供の戸籍や親権のこと、そしてお金のことについての手続きを行う必要があるので、知っておきましょう。

特に意識したいのは、手続きをするタイミングです。離婚届を提出するタイミングによって、子供の戸籍と親権の扱いに違いが出るので、よく確認をしましょう。

子供の親権と戸籍について

● 離婚届の提出から300日以内に赤ちゃんが生まれた場合、親権は母親、戸籍は別れた父親側に入ります(※1)。離婚届の提出から300日以内は、仮に別れた父親の子供でない場合でも、出生届を提出すると法律によって夫の子供と推定されます。

父親が自分の子供として認めない場合は、父親が子供が生まれたことを知ってから一年以内に嫡出否認の調停を申し立てる必要があります(※1)。また、母親の戸籍に移す場合、家庭裁判所を通じて子の氏変更申請をしましょう。

● 離婚届の提出から301日以降に赤ちゃんが生まれた場合、生まれてきた赤ちゃんは非嫡出子(実子ではない)と判断され、親権も戸籍も母親となります。

慰謝料や養育費の申請について

夫に過失がある場合は請求しましょう。子供一人を成人するまで育てるのは簡単なことではありません。不払いになった場合も考え、弁護士を通して申請しておくと安心です。後になって書類不備がないよう手続きを完了させておきましょう。

国の手当や助成金の申請について

最近はひとり親世帯が増加傾向にあり、母子家庭に限らず、父子家庭も申請対象になっている助成金などの制度があります。児童手当や児童扶養手当、児童育成手当など、様々な手当があり、いずれも子供が産まれた後の申請ですが、事前に調べておくと良いでしょう。

妊娠中の離婚を避けるための予防策は?

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妊娠中の離婚を予防するには、お互いの状態を知ることが大切です。

妊娠中は、普段の状態では予想できないことばかりが起こりますが、そのことに夫婦で気づくだけでも、予防はもちろん、壊れかけた関係性を修復することもできるかもしれません。

妊娠中に夫婦で意識しておきたいこと

● 喧嘩の勢いであっても赤ちゃんを否定する言葉は避ける
● 付き合っていた頃のように2人でデートをしてみる
● 今しかできないマタニティライフを夫婦でどのように送るか話す
● 話をする時間がないときは、メールや手紙で状況を伝え合う

妊娠中に妻が意識しておきたいこと

● 妊娠中の体調の変化を夫に伝える
● 妊娠中のイライラや夫を拒絶することが妊娠中特有のものだと伝える
● 夫婦で子供の話をする機会を作り、父親としての意識を芽生えさせる
● 体調により家事が満足にできないときがあることを伝える

妊娠中に夫が意識しておきたいこと

● 妻の体を労わり、家事を任せきりにしない
● 性交渉を無理強いしない
● 自分の赤ちゃんを「命がけで産んでくれる」という認識を持つ
● 体の変化に困惑する妻を労う
● 妻の態度の変化が一時的なものだと理解する

妊娠中の離婚の判断は赤ちゃん最優先で

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妊娠中は、お互いを思いやる気持ちがいつも以上に必要です。もともとの夫婦の関係性もあるかと思いますが、もし険悪な状態になった場合は、その理由を考えてみることも大切ですよ。

妊娠中は、妻は日々変化する体の状態に気持ちが追い付かず、つい夫に不安や不満をぶつけてしまいますが、それでも子供がお腹の中にいることを体で感じることができます。

夫は通常の生活を送ることができるものの、父親になるという感覚をなかなか実感できないことに悩んでいるということもあります。

これから家族になる新しい命のために、どうしたらベストな状態になれるのか、夫婦で相談する時間を作ることが最も重要なことかもしれませんね。

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