離婚に至るまでには様々な理由がありますが、夫婦の間に子供がいる場合は、子供を中心とした判断をしてあげることが大切です。しかし、なかなかその後のことまで考えることができない状態がほとんどではないでしょうか。今回は、離婚してシングルマザーになる前に知っておくと良い、お金や手続き、離婚方法についてご紹介します。
そもそも、離婚するにはどんな方法があるの?
「離婚」と一口にいっても、離婚する方法はいくつか存在します。夫婦の関係性、状況によって、以下の4つの方法がとられます。
協議離婚
夫婦2人で話し合い、双方に合意があれば離婚が成立するもので、ほとんどがこの方法をとっています。第三者を立てる必要がなく、離婚の原因も問われません。
調停離婚
夫婦間での話し合いで成立しなかった場合に、家庭裁判所が状況を確認して判断する方法です。しかし、たとえ家庭裁判所が判断しても、夫婦の合意がなければ成立しません。
審判離婚
調停離婚で成立しなかった場合に、家庭裁判所が持つ権限によって判断する方法です。ここで離婚の審判が下りれば、離婚が成立します。
ただし、審判が下りた通達後2週間以内に、夫婦のどちらかが異議申し立てをすれば無効になります。
裁判離婚
審判離婚でも離婚が成立しなかった場合は、家庭裁判所に離婚を訴え裁判をします。ここで離婚の判決がでれば、離婚が成立します。
裁判離婚の場合は、法律上の離婚原因が要求されますが、手続き面・費用面などでも負担が大きい方法です。
離婚してシングルマザーになる前の心の準備とは?
離婚をする理由は様々ですが、緊急な状態ではない場合は、子供のことを考えて気持ちの再確認をすることも大切です。
子供にとって、離婚することが「離婚しないより良い判断」かどうかについて、答えはありませんが、様々な角度から何度も確認してみることが、今後前向きに進むためにも重要なきっかけになります。
また、子供の年齢によっては、離婚をする時期の判断を夫婦で相談する必要もあります。離婚を切り出したのが相手からであれば、すぐに離婚する理由として納得できるものなのか、子供の成長を待ってから離婚するために別の方法をとるのか、話し合う機会を作りましょう。
離婚してシングルマザーになる前に決めておくことは?
離婚をすると決めたら、今後トラブルにならないためにも、事前に決めておいた方が良いことがあります。基本的には「生活」「子供」「戸籍と氏」「お金」の4点です。
これらについては、できるだけ離婚前に明確にしておきましょう。
生活の問題
離婚後の居住地を決める
本人名義の持ち家、公営住宅、公社・公団住宅、借家、親と同居など、離婚後の居住地を決めておきましょう。夫名義の持ち家に住み続ける場合は、離婚時の財産分与として処理する必要があり、その後に所有名義の変更も必要です。
賃貸の場合も、契約者が夫の場合は変更する必要があります。これまでの家を離れる場合は、母子家庭の公営住宅の優遇制度などもあるので、事前に調べておきましょう。
実家に戻るときは、事前に相談しておくことも大切です。
子供の問題
親権
未成年の子供がいる家庭であれば、親権をどちらが持つのか明確にします。協議離婚の場合は話し合って決めることができますが、裁判離婚の場合は夫婦の状況を判断して裁判所が定めます。
親権を得た時点で、子供のお世話や教育の権利義務が発生します。
面会交流権
離婚後に、親権がない方の親が、子供に面会する権利です。法的な権利ではないため、話し合いによって面会するタイミングや時間、条件などを決める必要があります。
面会交流権は子供の福祉にもつながるため、子供の意志も重要です。また、親としての権利でもあり、状況にもよりますが、親権者が一方的に拒否することはできません。
離婚後に決めることもできますが、話し合う機会がなくトラブルになることがあるため、離婚前に決めておきましょう。
離婚後の子供の預け先・学校関係
シングルマザーで働く場合や、子供を養育するためには、離婚後の子供の預け先(保育園・幼稚園)や、学校関係の手続きも考慮しましょう。子供が気持ちの整理をするためにも、急な転校はおすすめできません。
保育園に関しては、地域によっては待機児童になる可能性もあるので、区域は変えずに引っ越すのも方法の一つです。
戸籍と氏の問題
離婚後の親の氏・戸籍
離婚をした女性は、戸籍と氏をどうするか決めておきましょう。離婚が成立した時点で、氏を変えた方が、戸籍から除籍されることになります。
その後は、以下の1~3を選ぶことになります。
1. 旧姓に変え、前の戸籍に戻る
2. 旧姓に変え、自分を筆頭者とした新しい戸籍を作る
3. 結婚した氏を継続し、自分を筆頭者とした新しい戸籍を作る
「3」の姓を相続する場合は、離婚後3ヶ月以内に市区町村で手続きが必要なので注意しましょう。
子の氏・戸籍
母親が親権を持って旧姓を名乗ったとしても、子供の氏が自動的に変わるわけではありません。
子供を母親と同じ旧姓にする場合は、母親は新しい戸籍を作り、家庭裁判所に「子の氏変更許可申立書」を申請します。許可が得られたら、自治体に入籍届を提出します。
婚姻時の名前を子供とともに名乗るときは「婚氏続称の届」を家庭裁判所に提出します。しかし、これで認められても、子供の戸籍には夫が筆頭者となったままの状態なので、新しく戸籍を作る必要があります。
金銭的な問題
財産分与
婚姻時に得られた財産を2人で分けることです。どんな理由であれ基本は平等に分与しますが、話し合いによって片方が多くもらうこともあります。
対象になるのは、主に預貯金・株式・年金・土地・不動産など。未払いになるのが不安なときは、公正証書といって法的に証明する書類を作成することも可能です。
慰謝料
不倫などが原因で慰謝料の対象となる場合は、事実を裏付ける証拠を集めて、不倫相手、または夫に請求することができます。
養育費
満20歳までの子供を養育するための費用です。養育費を払う義務者の年収、権利者の年収、子供の人数や年齢によって金額が変わります。
協議離婚の場合は決められた額はありませんが、目安となるものとして家庭裁判所が作成した「養育費・婚姻費用算定表」を利用するのがおすすめです(※1)。
養育費はあくまでも子供の養育のための費用で、親権者の生活費を含む場合は「婚姻費用分担」を請求します。
年金分割
結婚生活中に納めた厚生年金・共済年金の金額をもとに、将来の年金を分割してもらうことができます。
離婚してシングルマザーになる前に、情報収集しよう
離婚はとてもエネルギーが必要なものです。そのときは面倒だからと、養育費などの必要な費用を「いらない」と判断してしまうケースがありますが、子供のこと、自身のことを考えて、冷静に判断することが大切です。
後悔しないためにも、離婚後にどんなことが発生するのか、事前に情報収集をしておきましょう。