東京都で保活をしているママやパパなら、認証保育所という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、「認可の別称?」「認可なの?無認可なの?」など、認可保育園や無認可保育園とのはっきりとした違いがわからないという声も。そこで今回は、認証保育所の規定や料金、認可・無認可との違いについてご紹介します。
認証保育所とは?
認証保育所とは、東京都独自の制度で設置されている保育所のことです(※1)。認証保育所には、基本型といわれるA型と、小規模・家庭的保育所といわれるB型の2種類が存在します。
認可保育園・無認可保育園と明確に違う点は、認証保育所では全施設で0歳児保育を行うこと、13時間以上の開所が定められていることです(※1)。認証保育所の運営は無認可と同じく各民間施設で行っており、入園申し込みなども保護者と各施設で直接行います。
認証保育所の保育料は、収入に関係なく各施設で一律ですが、上限があり、区によっては一部助成金を受け取ることができます。
認証保育所ができた背景には、現在の認可保育園の設置基準を都内で満たすことが難しいため、新しく認可保育園を増やすのが困難なことがあります。
東京都の特性に合った認証基準を設定することで、大都市ならではの保育ニーズに応えることのできる「新しいスタイルの保育園」として設置されるようになりました。
認証保育所の料金は?
認証保育所の料金は、「東京都認証保育所事業実施要綱」により、原則として、月220時間以下の利用をした場合の月額は、3歳未満児で80,000円、3歳以上児で77,000円を超えない料金設定とされています(※2)。
保育料の月額には、基本の保育料のほか、給食代及びおやつ代、保育に直接必要な保育材料費、光熱水費、年会費(12分の1の額)及び、これらにかかる消費税相当分が含まれます。
また、長時間保育の際に提供する2食目以降の給食代・おやつ代・入会金は含まれません。この条件を満たす範囲で、各施設が保育料を設定します。
また、助成金は自治体により異なるので、気になる場合は自治体の窓口かウェブサイトなどで確認しましょう。
認証保育所・認可保育園・無認可保育園を徹底比較!
認証保育所について、これまでの説明を踏まえて、認可保育園と主な無認可保育園との違いを比較してみました(認定こども園除く)(※3,4)。保育園選びの参考にしてみてくださいね。
認証保育所 | 認可保育園 | 無認可保育園 | |
運営 | 各施設が運営 A型 民間企業等 B型 個人 |
国や各自治体 | 各施設が運営 |
保育料 | 各施設で一律だが、月220時間以下場合の月額は、3歳未満児は80,000円、3歳以上児は77,000円を超えない料金設定であること。 区ごとに一部助成金あり。 |
所得税額により各家庭で異なる | 各施設で一律 |
条件 | 在住・在勤・在学の地域にかかわらず入園可能。 | その地域に在住・在勤・在学。0歳~小学校就学前の児童がいて、保護者の都合で日中保育に欠ける家庭。 | 在住・在勤・在学の地域にかかわらず入園可能。 就労義務がないことが多い。 |
対象年齢 | A型 0~5歳 B型 0~2歳 |
0歳~小学校就学前で、受け入れられる乳児の月齢、 幼児の年齢は各施設により保育士の人数などに合わせて設定。 |
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申し込み | 各施設に直接。 年度途中・4月入園問わず、各施設が状況に合わせて設定。 |
各自治体。 年度途中は随時、4月入園は11~12月を目途に一斉受付け。 |
各施設に直接。 年度途中・4月入園問わず、各施設が状況に合わせて設定。 |
保育時間 | 13時間の開所が基本。 | 1日8時間~最大11時間(朝7時半~18時半)。 朝7時半から18時半が一般的。 |
施設ごとに異なる 24時間営業の施設もある。 |
延長保育 | 各施設により、時間・料金・延長が適用される条件等が異なる。 | その地方における乳幼児の保護者の労働時間その他家庭の状況等を考慮して、保育園の長がこれを定める。※遅くて20時までのところが多い。 | 延長保育は長いことが多く、22時頃まで預けられる場所や24時間営業の施設もある。 |
保育内容 | 都独自の基準を設定し、適切な保育水準を確保。 | 国が定める「保育所保育指針」に沿って各施設が年齢にあった保育内容を決める。 | 「認可外保育施設に対する指導監督要綱」に定める基準を満たす必要がある。 |
保育士の雇用 | 運営する企業や機関に在籍する社員等。 | 公務員。 公設民営は、運営は自治体で、保育士は委託先の社員等。 |
運営する企業や機関に在籍する社員等。 |
保育士の人数 | 認可保育所と同様の配置基準。 ただし、常勤職員(保育士等)は6割以上とする。 |
乳児おおむね3人につき1人以上、 満1歳以上満3歳に満たない幼児おおむね6人につき1人以上、 満3歳以上満4歳に満たない幼児おおむね20人につき1人以上、 満4歳以上の幼児おおむね30人につき1人以上とする。 ※ただし、保育所1につき2人を下ることはできない。 |
1日に保育する乳幼児数が6人以上の施設は認可保育所と同じ基準。 1日に保育する乳幼児数が5人以下の施設は2人以上。有資格者の場合は、乳幼児の数が3人以下までは1人 |
定員 | A型 20~120人 B型 6~29人 |
最低定員は20人以上。 ※上記を基準に地域により異なる。 |
各施設による。 |
面積基準 | ● 0、1歳児に対しする乳児室又は ほふく室: A型 3.3㎡/人、年度途中は2.5㎡/人まで弾力化 B型 2.5㎡/人 ● 2歳以上児を入所させる場合の保育室又は遊戯室:A・B型ともに1.98㎡/人 (内法面積) 以上。屋外遊戯場: |
● 0、1歳児を入所させる保育園: 乳児室1.65㎡/人 ほふく室3.3㎡/人 ● 2歳以上児を入所させる保育所: |
施設側が独自の判断で保育園などの施設を運営。 |
保育士は基本的に保育士の資格を有していることが条件ですが、認可保育園でも無認可保育園でも、資格を持たないパートタイムの職員もいます。ただし担任やリーダーとなる先生には、保育士の資格が必要だといわれています。
認証保育所独自の制度を理解して選択肢を増やそう
認証保育所は、少しでも待機児童を減らすために作られた新しい保育園の形です。東京都独自の制度をしっかりと理解して、幅広い選択肢から保育園選びをしましょう。
信頼できる保育園に預けることは、ママやパパが安心して仕事をするために大切なこと。施設規模・時間・料金等、保育園選びをするうえで、どこにメリット、デメリットを置くかはそれぞれの家庭次第です。
その判断をするためにも、実際に保育園を見学することはもちろん、料金システムをはじめ、契約内容を書面でもしっかりと確認するようにしましょう。