妊婦の体やお腹が痒い原因は?妊娠中に痒み止めの薬は使える?

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

妊娠してから、なんだか体が痒くて仕方ない…。そんな悩みを抱えてはいませんか?妊婦さんの肌の状態は敏感で、体の痒みは妊娠中によく見られるマイナートラブルのひとつ。特にお腹が痒くて仕方がないという人が多いようです。今回は、妊娠中の体の痒みについて、原因や対策、治療法などをご説明します。

妊娠中の痒みがつらい!原因は?

かゆい 女性 痒み 腕

妊娠中に現れる痒みは「妊娠性皮膚掻痒症」と呼ばれます。

主な原因として、妊娠中は基礎代謝が上がるため、汗腺の機能が活発になり、汗が増えて皮膚が敏感になりやすいことが考えられています(※1)。

また、妊娠による体内のホルモンバランスの変化なども、痒みの原因のひとつである可能性がありますが、詳しくは明らかになっていない部分も多いです。

痒みの現れ方や程度は人それぞれですが、全身にムズムズ、チクチクするような強い痒みが現れることがよくあります。

いずれにしても、「体が痒い」というだけで、ほかに目立った症状がなければ、妊娠による生理的な現象と考えられるため、大きな心配はいりません。

しかし、かゆみを我慢できずにかき壊すと肌を傷つけてしまうので、悪化させないための対策が必要です。

妊婦のお腹が痒いのはなぜ?

妊娠線

妊娠中の痒みが現れる部位は、胸や背中、腕、足など様々ですが、特に「お腹が痒い!」と悩んでいる妊婦さんが多いようです。この理由として、お腹に妊娠線ができやすいことが挙げられます。

お腹が大きくなっていく過程で皮膚が引っ張られて、皮膚の内側にある真皮や皮下組織と呼ばれる部分に亀裂が入ったものが「妊娠線」です。簡単にいうと傷と同じで、かさぶたができたあとに痒くなるように、妊娠線ができた部分にも痒みが現れることがあります。

そのため、妊娠性皮膚掻痒症の痒みと妊娠線の痒みが合わさって、お腹は特に痒みを感じやすくなっていると考えられます。

妊娠中の痒みの対処法は?

お風呂

妊娠中の肌は敏感なので、かき壊して肌を傷つけないためにも、次のような対策で痒みを抑えてみてくださいね。

● クリームやオイルで肌を保湿する
● 肌ざわりの良い下着・衣服を身につける
● 汗をたくさんかいたらシャワーを浴びる
● 濡れタオルや氷などで一時的に冷やす

また、一度痒みが現れると我慢するのも大変です。できれば痒くなる前から、予防の観点でも上記の対策を行いましょう。

妊婦は痒み止めを使ってもいいの?

塗り薬

肌の保湿などを工夫しても痒みが治まらない、どんどん痒みが増してきた、といった場合には、皮膚科を受診するのも一つの方法です。

妊娠中の痒みを根本的に治療することは難しいため、対症療法として湿布やかゆみ止め、ステロイドの塗り薬などを処方されることがあります。

お腹の赤ちゃんへの影響を考えると、薬を使うことに抵抗がある妊婦さんもいるかもしれませんが、妊娠していることを医師に伝えていれば、胎児への影響が少ない薬を処方してもらえるので、安心して使ってくださいね。

自己判断で市販のかゆみ止めの薬を使うことは避け、薬局で市販薬を購入したい場合は薬剤師に相談してからにしましょう。

湿疹のある妊娠中の痒みには要注意!

記号 注意点 電球

痒みだけが現れるのであれば大きな心配はいりませんが、赤い湿疹も伴う場合は「妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)」や「蕁麻疹(じんましん)」などが原因の可能性もあります。

妊娠性痒疹は、妊娠3~4ヶ月頃から現れる生理的なもので、出産を終えると自然と治ることがほとんどです(※2)。ただし、放っておくと痒みが増し、湿疹が体中に広がることもあります。

また、免疫力が低下している妊婦さんは、ちょっとした刺激やストレスで蕁麻疹が現れやすいとされます。自然に症状が治まることも多いですが、原因によっては放っておくと症状が悪化する恐れもあります。

いずれにせよ、痒みだけでなくポツポツと湿疹が現れたときには、念のため皮膚科を受診してくださいね。

妊娠中の痒みで悩んだら医師に相談を

妊娠後期 妊婦 受診 病院

「肌が痒い」というだけで病院に行くのは気が引けるという妊婦さんも多いと思います。しかし、痒みが気になってイライラする、寝ているあいだに無意識にかき壊してしまうといった場合は、皮膚科で相談してみるのも良いかもしれません。

なお、妊娠中にデリケートゾーンの痒みがあるときは、「カンジダ腟炎」にかかっている可能性があります(※3)。出産のときまでに治療しないと、生まれてくる赤ちゃんに感染する恐れがあるので、できるだけ早く産婦人科で検査を受け、治療を始めてくださいね。

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