生理中は、多くの女性が下腹部や腰の痛みなど、いわゆる「生理痛」に悩まされます。生理痛は通常、生理が終わると治まるものですが、生理が終わってからも、生理のときのような下腹部の痛みが続くことがあります。生理後の下腹部痛は、生理痛とは違った原因が隠れている可能性もあるので、注意が必要です。今回は、生理後の下腹部痛の原因や対処法、妊娠の可能性があるのかなどをご説明します。
生理後に下腹部痛が起こる原因は?
生理中に起こる下腹部痛の主な原因は、「プロスタグランジン」という、経血の排出を促す働きがある物質の分泌です(※1)。プロスタグランジンは生理が終わると分泌が少なくなるため、一般的に生理後は下腹部痛が消失するはずですが、生理後にも下腹部痛が続くのはどうしてなのでしょうか。
生理後の下腹部痛は、以下の3つが主な原因として考えられます。
1. ホルモンバランスの乱れ
生理周期は「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンの影響を受けています。このホルモンのバランスが崩れると、生理が終わっても生理中のような体の状態が続き、下腹部痛が起こる可能性があります。
ホルモンバランスの乱れは、ストレスや過度なダイエット、不規則な生活などの影響で起こります。
2. 排卵痛
生理が終わってから、1週間から10日ほどで排卵が起こります。
排卵するときは、卵巣が腫れたような状態になり、卵子が飛び出す衝撃もあるので、人によっては痛みを感じることがあります。痛みの感じ方は様々ですが、一般的に、下腹部全体が重くなったり、片方の卵巣付近が痛んだりします。
症状が強い場合は、排卵時や排卵後の卵巣から出血を起こしている可能性があります。これは「卵巣出血」と言われ、多くの場合は経過観察で問題ありませんが、腹腔内の出血が多い場合には手術が必要になることもあり、注意が必要です。
3. 婦人科系の疾患
婦人科系の疾患がある場合、生理後にも下腹部痛を感じることがあります。
下腹部痛を伴う主な病気には、下記のようなものがあります。
子宮の病気
・ 子宮内膜症
・ 子宮頸管炎、子宮内膜炎
卵巣の病気
・ 卵管炎、卵巣炎
・ 骨盤腹膜炎
・ 卵巣腫瘍
性感染症
・ 性器クラミジア感染症
女性特有のがん
・ 子宮体がん
・ 卵巣がん
生理後の下腹部痛の対処法は?
生理後の下腹部痛は、原因によって対処法が異なります。
ホルモンバランスの乱れで生理痛が続いているのであれば、時間の経過とともに症状は治まります。また、排卵痛も一時的なものなので、多くの場合は数日様子を見ていれば自然と治まります。
問題は、婦人科系の病気が原因の場合です。
数日様子を見てもよくならない、我慢できないほど痛いというときは、病気が隠れている恐れがあります。
また、生理後の下腹部痛以外に、生理痛がいつも以上にひどくなる、性行為後に痛みを感じる、不正出血が起こる、月経量が多くなる、おりものが変化するなどの症状がみられたときにも、注意が必要です。早めに婦人科を受診してください。
婦人科で検査を受けて痛みの原因となる疾患がみつかれば、それにあわせた治療が行なえますし、疾患がなかったとしても、下腹部痛を抑える鎮痛剤を処方してもらえることもあります。
不安があれば、早めに病院を受診するようにしてください。
生理後の下腹部痛が妊娠の可能性もある?
生理後に下腹部痛があるときは、妊娠している可能性もゼロではありません。というのも、生理だと思っていた出血が、着床出血などの不正出血だったという可能性もあるからです。
妊娠すると、女性ホルモンの影響で下腹部がチクチクしたり、お腹が引っ張られるような痛みを感じたりする人がいます。
たとえ生理後でも、妊娠している可能性に思い当たることがある人は、妊娠検査薬を使ってみることをおすすめします。陽性反応が出た場合は、産婦人科を受診するようにしてください。
また、周期的な痛みや激しい痛みがあるときは、子宮外妊娠や流産の可能性もあります。子宮外妊娠は、毎年数名の死亡者が出ている重要な疾患です(※2)。不安があれば、早めに検査を受けましょう。
生理後の下腹部痛は早めの対処を
生理後の下腹部痛は、問題ないこともあれば、婦人科系の疾患が隠れていることもあります。自分で原因を判断するのは難しいですが、日頃から基礎体温を測っておくと、排卵日や妊娠の可能性を把握しやすくなりますよ。
ただし、自分では問題ないと思っていても、痛みが続くようなら疾患の可能性もあります。痛みがなかなか治まらないときや、下腹部痛以外にも気になる症状が現れたときは、早めに病院を受診してくださいね。