肌が赤く腫れあがり、虫刺されかと思ったら全身へ広がっていく…。そんな肌トラブルが「蕁麻疹」です。蕁麻疹は小さな子供から大人まで誰でもかかる可能性があり、妊婦さんも例外ではありません。妊娠中に蕁麻疹を発症してしまうと、お腹の赤ちゃんにも影響があるのではないかと不安になりますよね。今回は妊娠中の蕁麻疹の原因や症状のほか、薬で治療できるのか、胎児への影響はあるのかなど、気になるポイントをご説明します。
蕁麻疹とは?症状は?
蕁麻疹とは、突然皮膚の一部が赤く腫れ上がり、かゆみを伴う皮膚の病気です。腫れやかゆみは通常、数時間できれいに消えてなくなります。
ただし症状がひどいと、一部にしか現れていなかった腫れが全身へと広がり、ときには呼吸困難を引き起こすようなこともあるので注意が必要です。
蕁麻疹の原因は?
蕁麻疹の原因は、主に「ヒスタミン」という物質です。
皮膚の下にある肥満細胞がなんらかの刺激を受けると、皮膚の毛細血管を広げる働きがある「ヒスタミン」という物質が放出されます。これによって毛細血管が一気に広がると、皮膚の表面が赤く腫れ上がってかゆみが現れます。
しかし、なぜこのヒスタミンが突然放出されるのかについてはわかっていないことが多く、蕁麻疹の原因はなかなか特定することができません。
特定の食べ物や薬品に対するアレルギー反応、寒さ・日光・水などによる肌への外部刺激、汗や疲労、ストレスなどが原因になる可能性がありますが、そのどれによって蕁麻疹が起こったかは特定できないことのほうが多いといわれています。
妊婦は蕁麻疹を発症しやすい?
妊娠中も、妊娠していないときと同じ仕組みで蕁麻疹が発症します。しかし妊娠中は体質が変化して、ストレスや疲れが溜まりやすくなり、免疫力も低下するので、妊娠前と比べてちょっとした刺激でも蕁麻疹が出てしまうことがあります。
また、蕁麻疹に似た疾患に「妊娠性痒疹」があります。
妊娠性痒疹は妊娠中のホルモンバランスの変化などの影響で現れるものです。腕や背中、胸、お腹などにかゆみを伴う発疹ができます。
妊娠3~4ヶ月頃から起こり、妊娠後期まで続きますが、ほとんどが出産後にはおさまります。妊婦さんの約2%にみられる症状です(※1)。
妊娠中の蕁麻疹の治療方法は?薬の胎児への影響は?
蕁麻疹のほとんどは放っておいても自然に治まるものですが、原因によっては症状が悪化することもあるのできちんと皮膚科で診てもらいましょう。
病院に行くと、ヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミンなどの塗り薬が処方されるのが一般的です。薬を塗るとなるとお腹の赤ちゃんへの影響が心配になってしまう人も多いかと思いますが、皮膚科で処方される軟膏やクリーム、ローションなどの塗り薬は、用法・用量を守って使えばほとんど問題ないとされています(※2)。
症状がひどい場合はステロイド剤などを使うこともあるかと思いますが、ステロイドも同様で、一般的な使用方法であれば問題はありません。ステロイドを使ったことによって赤ちゃんに悪影響を与えたという報告もありません(※2)。
ただし、妊娠中は長期間、または大量に使わない、広範囲には塗らないなどの注意点があるため、皮膚科を受診する際は妊娠中であることを医師に伝えるようにしましょう。
蕁麻疹は、病院で処方された塗り薬を塗っていればすぐに治まることがほとんどです。薬を塗らずにかゆみを我慢すると、かえってストレスが溜まり、お腹の赤ちゃんにも良くないことがあるので、薬を処方されたら医師や薬剤師の指示に従って治療を行ってくださいね。
妊娠中の蕁麻疹は予防できる?
蕁麻疹は突発性のものが多く、予防が難しいことが多いのですが、原因がわかっている場合には予防ができることもあります。たとえば、特定の食物アレルギーによる蕁麻疹ならその食品を食べないようにする、虫や物質による反応ならそれらに触れないようにするなどです。
原因がわからない場合は、日頃から体調を整えておくことで蕁麻疹が現れにくい体を作ることが大切です。
免疫力を高めるために、規則正しい生活や、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。ストレスを溜め込みすぎないようにすることも大切です。
また、妊娠中の肌は敏感になっているので、保湿剤を使うなどしてしっかりとケアしてあげましょう。妊娠前の化粧水やボディークリームなどが体質にあわなくなることもあるかと思うので、妊婦さんでも安心して使えるような、お気に入りのケア商品を探してみてくださいね。
妊娠中に蕁麻疹が出たら体を休めてあげよう
妊娠中に蕁麻疹が出るのは珍しいことではありません。ほとんどは自然に治まるので心配しすぎないでくださいね。
しかし、蕁麻疹が出たということは、疲れやストレスが溜まっている証拠かもしれません。蕁麻疹が出たら、「体を休めたほうが良い」という体からのSOSと考えて、しっかりと体を休めてあげるようにしましょう。