子供の便秘の解消法は?食事や薬で対処できる?病院へ行くべき?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

トイレで頑張っても、なかなかうんちが出てこない。大人でもつらい便秘は、小さな子供に起こることもあります。お腹を痛がったり、うんちのときに苦しそうにしたりする子供を見て、多くのママやパパが「早く治してあげたい」と思うことでしょう。それでは、子供の便秘はどのように解消すれば良いのでしょうか?今回は子供の便秘について、原因や症状、病院へ行く目安、解消法などをご紹介します。

子供の便秘とは?原因は?2歳でもなる?

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便秘とは、排便の回数が少なかったり、排便がスムーズにできなかったりする状態で、腹痛など日常生活に支障がある場合をさします。明確な定義はないので、便秘かどうかを自己判断するのはなかなか難しいものです。

日本内科学会の定義によると、便秘は「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」で、日本消化器病学会の定義では「排便困難や腹部膨満感など症状を伴う便通異常」とされています(※1)。

子供が便秘になる原因としては、主に以下のようなものがあります。

食事の影響

便は飲食したものによって主にできているので、食事内容が原因で便秘になることがあります。

緑黄色野菜やいも類など、食物繊維を多く含む食品を食べず、食物繊維の摂取量が少ないと、便秘になりやすくなります。また、水分の摂取不足や、お菓子・肉類を多く摂取するといったことも便秘を引き起こす原因になります。

精神的な影響

精神的な影響を受けて、便秘になることがあります。子供が精神的な影響で便秘になりやすいのは、トイレトレーニングの時期や小学校の環境などです。

トイレトレーニングを始めたばかりの2歳頃は、トイレ自体が怖くて、なかなか排便できないことがあります。また、トイレトレーニングに失敗して、親に怒られることも、排便に対する恐怖心を生み出す原因になります。

そして、小学生になると、周りの目を意識して、トイレで便をすることを恥ずかしく感じる傾向にあります。

これらの精神的な影響によって、便をするのを我慢していると、便秘になってしまいます。

子供の便秘の症状は?

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便が大腸内に溜まって便秘になると、腹痛やお腹の張りが症状として現れます。場合によっては、硬くなった便によって肛門が傷つき、便に血が混ざることがあります。

腹痛やお腹の張りが見られなくても、以下のような症状が見られるときは便秘の疑いがあります。

・出てきた便が硬く、途切れ途切れでコロコロしている
・うんちをするときに、苦しそうにしている
・便やおならの臭いが普段より強い

子供の便秘で病院へ行くべき?市販の薬で対処できる?

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便秘が原因で腹痛や食欲減退などの症状が現れている場合や、食事内容や生活習慣を改善しても便秘が続くような場合は、小児科を受診しましょう。

小児科では、症状に合わせて、排便を促す薬が処方されることがあります。便秘薬を内服するのに不安がある場合は、漢方を処方してもらえることがあるので、医師に相談しましょう。

便秘薬の一部には、腸を刺激する成分が含まれており、飲み続けると、効き目が低下したり、腹痛を起こしたりする恐れがあります。自己判断で市販の便秘薬を与えるのは避け、まずは医師に診てもらうようにしましょう。

子供の便秘解消法は?食事はどうする?

子供の便秘解消には、周囲の大人の協力が必要です。早寝早起きの規則正しい生活と、1日3食の栄養バランスのとれた食事を心がけながら、以下のことに注意してあげてください。

食物繊維を摂る

食事は、食物繊維を多く含む食品を中心にしたメニューを考えましょう。ただ、食物繊維には水溶性と不水溶性があり、これら両方をバランスよく摂取することが大切です。

便を柔らかくする効果を持つ水溶性食物繊維はバナナやりんご、いちご、ひじき、わかめ、ごぼうなどに含まれています。また、便のかさを増やす不水溶性食物繊維は青菜類、いんげん豆、あずき、おからに多く含まれています。

ヨーグルトやプルーンといった便通を良くするものも、積極的に食べましょう(※2)。サプリメントをとることもおすすめします。

運動する

運動すると、腹筋を使い、腸の働きも活発になるため、お通じが良くなるとされています。運動するのが嫌いな子供は、まずは散歩や掃除など軽い運動から始めてみると良いでしょう(※3)。

たくさん汗をかいて、体内の水分が不足すると、便秘が悪化する恐れがあるので、運動する際は水分補給をこまめに行ってください。

精神的なケアをする

精神的な原因によって、便秘になっているときは、その原因を取り除いてあげてください。トイレトレーニングを始めて、トイレを怖がっているようなら、ママやパパが先に入り、トイレ内でおもちゃで遊ぶ様子を見せるなどして、「トイレは安全なところだよ」と子供に安心感を与えましょう。

また、トイレトレーニングでうんちやおしっこに失敗しても怒らずに、「次、がんばろうね!」と前向きな声がけをするのもいいですね。

トイレへ行く時間を作る

学童期で、学校でうんちすることに恥ずかしさを感じている子供には、家でゆっくりトイレに行けるよう、朝にトイレの時間をしっかり確保してあげましょう。

毎朝トイレに行く習慣をつけることで、便秘も徐々に解消していきます。

子供の便秘は体からのSOS

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便秘は体からのSOSです。子供が便秘になっているときは、「たかが便秘だ」と軽視せず、その原因をきちんと探ってあげてください。

生活習慣の改善や精神的なケアを行い、子供がうんちを気持ちよく出せるように、サポートしていきましょう。また、症状が改善しない場合やひどく苦しんでいる場合は、早めに病院を受診してくださいね。

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