黄体期とは?出血やおりものが出る?妊娠しやすい過ごし方は?

監修医師 産婦人科医 山本 範子
山本 範子 日本産科婦人科学会専門医。平成5年、日本大学医学部卒。日本大学附属病院および関連病院で産婦人科医として経験を積み、その間に日本大学総合健診センターで婦人科検診にも力を注いできました。現在は港区の日野原... 監修記事一覧へ

女性の体には生理周期があり、一定のリズムでホルモンバランスが変化しています。妊娠を望んでいる人にとっては、受精卵が着床する可能性がある「黄体期」は大切な期間です。今回は、黄体期について、おりものや出血が現れる症状や期間、おすすめの過ごし方についてご紹介します。

黄体期とは?

基礎体温表 グラフ 女性ホルモン 卵胞期

生理周期は「月経」のほか、「卵胞期」「排卵期」「黄体期」に分けられます。黄体期は、排卵が終わってから次の生理が始まるまでの約14日間を指します。

一つの生理周期は、生理期間である「月経」からスタートし、生理が終わると、卵巣にある卵胞が成長する「卵胞期」に入ります。卵胞の発育にともなって「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が分泌され、子宮内膜が厚くなり始めます。そして、「排卵期」に入ると、最も成熟した一つの卵胞から卵子が飛び出します。これが排卵です。

卵子を排出したあとの卵胞は「黄体」という組織に変化し、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」を分泌します。プロゲステロンによって子宮内膜が着床に適した状態に維持されるのが、「黄体期」です。

うまく卵子と精子が受精すれば、作られた受精卵が細胞分裂を繰り返しながら、子宮内膜への着床を始めます。妊娠を望む人にとって、黄体期はとても大切な時期といえますね。

黄体期の症状は?おりものの状態は?

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月経前症候群(PMS)

黄体期には基礎体温が上がるので、「高温期」とも呼ばれます。黄体期に分泌されるプロゲステロンは、妊娠を維持しやすいようにする働きがあり、体温を上昇させる作用をもつからです。これに伴ってだるさや眠気を感じやすくなります。

排卵が終わり、黄体期の前半にプロゲステロンが増える一方で、エストロゲンは減少していきます。PMSの原因には諸説ありますが、正確には原因不明とされています。しかし、プロゲステロンが誘因となっているということはわかっています(※1)。

そのため、この時期になると気持ちが落ち込みやすくなったり、腹痛や腰痛、頭痛、吐き気、めまい、むくみ、便秘、乳房の張り、肌荒れが現れたりと、「月経前症候群(PMS)」の症状が現れる人もいます。

おりものの変化

おりものの量は、排卵期にピークを迎えますが、黄体期の後半になると減少します。黄体期のおりものは白濁していて、細菌などを腟内に侵入させないようにネバネバした状態になるのが特徴です。

妊娠が成立しなかった場合には、不要になった子宮内膜が剥がれ落ちはじめるため、黄体期後半~生理前になるとおりものの中に少し血が混じることがあります。

黄体期の過ごし方は?妊娠可能性は高まる?

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黄体期は、排卵後の受精・着床(妊娠)の鍵を握る重要な2週間。「できるだけ妊娠の可能性が高まるような過ごし方をしたい」という人もいるかもしれませんね。

しかし、「これをすれば妊娠確率が上がる」と医学的に証明されているアクションがあるわけではありません。無事に妊娠が成立することを願いつつ、基本的には普段どおり過ごしましょう。

先ほどもご説明したとおり、黄体期は月経前症候群(PMS)の症状が現れる人もいるので、次に挙げるポイントは意識しておくのがおすすめですよ。

冷え対策を万全に

黄体期に限らず、妊娠を希望する女性にとって冷えは大敵。特に腰回りや足元は冷やさないように気をつけましょう。できるだけ、1日の最後には湯船につかって体を温めると良いですね。

デスクワークなどで椅子に座って過ごす時間が長い人は、ひざ掛けやレッグウォーマーを活用するのがおすすめ。むくみやすい時期でもあるので、血行が悪くならないように、1~2時間に一度は立ち上がって体を伸ばすのも大切ですよ。

あまり無理しない

黄体期は、月経前症候群(PMS)の影響で、イライラしたり落ち込みやすくなったりしてしまう人も。「なんだか気分が乗らない…」と思っても、「この時期だからある程度は仕方ない」と割り切りましょう。

友達や家族と美味しいごはんを食べたり、お気に入りのアロマを焚いたりと、自分に合った方法で気分転換をはかり、うまくストレスを発散させてくださいね。

睡眠と食事をしっかりとる

ストレスだけでなく、睡眠不足や過度な疲労もホルモンバランスが乱れる原因になります。特に黄体期は、眠気やだるさを感じやすいので、あまり夜更かしせず良質な睡眠をとるようにしましょう。

ホルモンバランスを整えるには、栄養バランスの良い食事を規則正しくとることも大切です。そのうえで、次に紹介する食材も意識してみると良いですね。

黄体期におすすめの食事は?妊娠しやすくなる?

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黄体期の過ごし方と同様に、「これを食べれば妊娠の可能性が高まる」と言えるものはありません。ただし、妊娠しやすい体作りには血行をよくすることが大切なので、体を温める食材を意識的に取り入れるようにしましょう。

一般的に、寒冷な地域や季節にとれる食べ物や、根菜類などは、体をあたためる性質が多いといわれています。

たとえば、玉ねぎ・にんにく・しょうが・にんじん・小松菜・ごぼうなどの食材がおすすめです。血行促進効果のあるビタミンEもしっかり摂りましょう(※2)。

黄体期は気負わずリラックスして過ごそう

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黄体期は、妊娠が成立するためには重要な時期です。妊娠を望んでいる人にとっては、妊娠したかどうか気になって仕方がないかもしれません。

ただ、過度に意識しすぎてストレスになると、逆に妊娠しづらくなってしまう恐れも。黄体期は気負うことなく、リラックスして過ごすようにしてくださいね。

なお、黄体期は2週間程度あるのが一般的ですが、もし高温期が10日未満しかない場合には、黄体ホルモンの分泌が不十分な「黄体機能不全」の可能性があります。

基礎体温をつけてみて、高温期が短い状態が2~3周期続くようなら、早めに婦人科を受診するようにしましょう。

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