カウフマン療法とは?妊娠への影響は?副作用で太るの?

監修医師 産婦人科医 浅川 恭行
浅川 恭行 1993年東邦大学医学部卒業。2001年同大学院医学研究科卒業後、東邦大学医学部助手、東邦大学医療センター大橋病院講師を経て、2010年より医療法人晧慈会浅川産婦人科へ。東邦大学医療センター大橋病院客... 監修記事一覧へ

不妊治療のひとつに「カウフマン療法」があります。これは、生理不順や無月経などに悩んでいる人が、正常な生理周期を取り戻すための治療法です。今回は、カウフマン療法の治療方法や効果、副作用についてご説明します。

カウフマン療法とは?

女性 医師 受診 診察 婦人科

カウフマン療法とは、女性の体内で起こる月経周期を、ホルモン剤を周期的に投与することで人工的に整える治療法です。

月経周期は「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンの働きでコントロールされていますが、このバランスが崩れると月経周期が乱れます。

その結果、「月経がない(無月経)」、「月経期間が長い(稀発月経)」といった生理不順が起きてしまうので、それを正常な状態に戻すためにカウフマン療法が行われます。

カウフマン療法の治療方法は?

女性 選ぶ 選択 疑問 不安 謎 クエスチョン

月経周期が正常な場合、月経が始まるとエストロゲンの分泌量が増えて卵胞を成長させます。排卵後には、エストロゲンに代わってプロゲステロンの分泌量が増え、受精卵が着床しやすい状態が作られます。

このように、2つの女性ホルモンがバランス良く分泌されることで、月経周期が作られ、妊娠しやすい子宮環境が整えられます。

カウフマン療法では、人工的にエストロゲンとプロゲステロンのホルモン剤を投与することで、正常な月経周期と似たホルモンバランスを作り出し、周期的な性器出血を起こすことができるのです。

ホルモン剤を投与する方法はいくつかありますが、錠剤を使った「内服法」が一般的です。1週目から3週目にかけて「プレマリン」などエストロゲンのホルモン剤を、2週目の途中(12日目頃)から「デュファストン」などプロゲステロンのホルモン剤も追加投与します。

これらのホルモン剤を飲み終えて2~3日以内に消退出血が起き、1週間は薬を服用しない休薬期間となります。このサイクルを何周期か繰り返すことで、月経周期を正常な状態に戻していきます。

カウフマン療法の効果は?

女性 妊娠検査薬 喜び 妊娠 うれしい ベッド

カウフマン療法を3~6ヶ月程度継続することで、体が正常な月経周期を覚えて、その後はホルモン剤を投与しなくても自然に排卵が起こるようになることを目指します。

ただし、治療を受けたすべての人の月経周期が元通りになるというわけではないので、周期が正常に戻らない場合は、継続するのか他の治療法を行うのかを医師と相談するようにしてください。

また、カウフマン療法により、低エストロゲン状態を防ぐことで、骨塩量を維持できるので、骨粗しょう症の予防にもつながります(※1)。

カウフマン療法の副作用は?

副作用 薬 虫眼鏡 

カウフマン療法は、月経不順や排卵障害に対して効果がある治療法ですが、人工的にホルモンバランスに影響を与えるので、副作用が出ることもあります(※2,3)。

もっとも重い副作用が血栓症で、極めてまれですが、体のどこかに血栓ができて血管を詰まらせる恐れがあります。服用期間中に手足がしびれる、息切れがするというようなことがあれば、血栓症の初期症状の可能性があるので、かかりつけ医に相談しましょう。

そのほか、軽い副作用として胸の痛みや頭痛、吐き気、めまいなどが現れることもあります。生活に支障をきたすほど症状がつらいときは、医師に相談してください。

カウフマン療法で太ることがあるの?

記号 女性 疑問 クエスチョン

「カウフマン療法で太る」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。

これは、プレマリンやデュファストンなど、カウフマン療法で使われる薬剤が、電解質代謝に影響を与えることで「むくみ」や「体重増加」といった副作用が出ることがあるためだと考えられます(※2,3)。

電解質とは、ナトリウムやカリウムなど体液に含まれる電気を通す物質で、電解質代謝が正常に作用しないと、体液が体に溜まってしまうのです。

どのくらいの頻度で電解質代謝に影響が出るかは不明ですが、むくみや体重増加は一時的な変化です。あまりに気になる場合は、担当医に相談してみてください。

カウフマン療法で妊娠できるようになる?

妊婦 クエスチョン

カウフマン療法を行っている間は、排卵が抑制されるので、妊娠することはありません。しかし、何周期か治療を継続して、正常な月経周期を取り戻すことができれば、カウフマン療法をやめたあとに妊娠できる可能性は高まるといえます。

カウフマン療法の継続期間や、その後の治療の進め方は人によって異なりますが、たとえばカウフマン療法を2~3周期続けたあと、クロミフェン療法やゴナドトロピン療法による排卵誘発を行い、自然妊娠や体外受精で妊娠をした、というケースもあります。

正常な排卵や月経は、妊娠にとって不可欠な条件です。カウフマン療法は、それを整えるための準備だと考え、辛抱強く治療に取り組みましょう。

カウフマン療法で妊娠できる環境を整えましょう

女性 天気 晴れ 健康 元気 リラックス

カウフマン療法は、人工的にホルモンバランスを正常な状態に近づけ、月経周期を整えることを目的とした治療法です。もともと生理不順に悩んでいて、今後の妊娠を望んでいる人は、カウフマン療法によって将来の妊娠率を高めることができるかもしれません。

効果と副作用の両方を理解し、医師やパートナーとよく相談したうえで、治療を受けるかどうか検討してください。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう