新生児けいれんとは?どんな症状が出る?対処法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

「新生児けいれん」という言葉をご存知でしょうか。脳の発達が未熟な新生児はけいれんを起こすことがあり、病気が関わっていることもあるため早期発見・早期対処が重要になります。

そこで今回は、新生児けいれんが起きたときに早急に気づいて対応できるように、どんな症状がみられるのかや対処法などをご紹介します。

新生児けいれんとは?症状は?

赤ちゃん 泣く 泣き顔 

新生児けいれんとは、生後1ヶ月未満の新生児期に起こるけいれんのことです。けいれんというと、体を強張らせて小刻みに震える、意識を失うといった姿を想像しがちですが、新生児の場合は以下のような症状があらわれます。

● まばたきを繰り返す
● 口を、もぐもぐ口を動かす
● 自転車をこぐような動きをする など

新生児けいれんの発症率は?

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新生児けいれんの発症率は、正期産(妊娠37週0日~41週6日)で生まれた赤ちゃんの1.4%、早産(妊娠37週0日未満)で生まれた赤ちゃんの20%とされています(※1)。

特に、早産で生まれたときの体重が2,500g未満であると、新生児けいれんが起きる確率が高くなりやすい傾向があります。

新生児けいれんの原因は?

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新生児けいれんには、早期診断・治療が必要である重症なケースと、観察のみでも問題ないケースがあります(※2)。

前者の場合、赤ちゃんの中枢神経の機能に異常が生じることで起こります。その原因はさまざまですが、代表的なものとして、生まれたときの代謝異常や感染症、頭蓋内出血、低体重児、ママが飲んでいた薬の影響などがあげられます(※1,2)。

新生児けいれんが起きたときの対処法は?

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新生児けいれんが起きて症状が長引くと後遺症が残ることもあるので、早期発見・早期治療が重要です。

疑われる症状に気づいたら、まずは以下の対処をしてください(※3)。

● 赤ちゃんを仰向けに寝かせて、顔を横に向かせる
● 着ている服をゆるめる

その後、救急車を呼ぶか救急外来を受診しましょう。新生児けいれんかどうかはっきりわからなかったり救急車を呼ぶべきか迷ったりしたら、小児救急電話相談(#8000)に電話をして指示に従ってください。

赤ちゃんにけいれんが起こると焦ってしまうものですが、その後の治療をスムーズに進めるためにできるだけ落ち着いて、以下のようなことを観察し、書き留めておいてください。

● けいれんは全身に現れていたか、部分的に表れていたか
● どのような状況でけいれんが現れたか(沐浴の後、授乳の後など)
● どのくらいの時間、けいれんが続いたか
● 発熱や嘔吐など、けいれん以外の症状が現れていたか

けいれんが起きているときの様子を動画で撮影して、医師に見せてもいいでしょう。

新生児けいれんの検査方法や治療法は?予後は?

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病院では、体温や呼吸の状態、心拍の管理をしたうえで、血液検査や髄液検査、CTなどの画像検査、必要に応じて脳波検査を行います。

新生児けいれんと診断された場合は、原因に応じて必要な治療が行われます。

例えば、低血糖や低カルシウム血症など電解質またはその他の代謝性疾患が原因である場合には、入院して治療します。

けいれん発作が持続する場合には、検査を行った上で、けいれんを抑える薬が使われることもあります(※1)。

脳炎や髄膜炎などの感染症が原因の場合には、抗菌薬や抗ウイルス薬などが使われます。新生児けいれんの治療後の経過はそれぞれで、全く問題なく治ることもいれば、合併症を発症したり再発したりすることもあります。

新生児けいれんが起きても慌てず冷静に対処しよう

生まれたばかりの赤ちゃんが突然けいれんを起こしたらパニックを起こしてしまうかもしれませんが、今回ご紹介した対処法や受診の目安を参考にして、落ち着いて対応しましょう。

早期発見ができるように、普段から赤ちゃんの様子をよく観察しておいてくださいね。

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