子供が熱を出すと、「悪い病気だったら…」と心配になることもありますよね。そんなときは、熱と一緒にどんな症状が現れているのかに着目しましょう。今回は、熱と一緒に鼻血が出たときや、発疹、痙攣、頭痛、下痢・嘔吐が現れた場合にどんな病気の可能性が考えられるかを、症状別に分けてご説明します。
子供は熱を出しやすいもの
子供の体温は、大人に比べて高いのが特徴です。子供の平熱に個人差はありますが、一般的には37.5度以上あるか、普段の平熱よりも1度以上高い場合には熱が出ていると考えましょう。
子供のうちは免疫力がまだ低いので、風邪を引きやすく、熱を出すことは良くあります。熱が出ていても子供が元気そうだと油断してしまうかもしれませんが、発熱以外の症状が現れていないかどうかを注意深く見ることが大切です。
子供が熱と鼻血を出したときに考えられる病気は?
子供は鼻腔内の粘膜が薄く、敏感なので、ちょっとした衝撃で鼻血が出ます。特に発熱して体温が上がると血管が拡張するので、出血しやすいといえます。
発熱とともに鼻血を出しただけでは、特定の重い病気である可能性は低いので、過度に心配する必要はありません。それ以外の症状が一緒に出ていないかどうかは、注意深く見てあげましょう。
普段からちょっとしたケガで出血が止まりにくい、何のきっかけもないのに自然に鼻血だけが出やすい、歯磨きで出血が多い、あざが多いといった場合は、何らかの血液疾患がある可能性もあります。念のため病院を受診して、医師に相談するようにしましょう。
子供に熱と発疹があるときに考えられる病気は?
熱と発疹が出るタイミングによって、考えられる病気が次のように異なります(※1)。
発熱とほぼ同時に発疹が出る
・水疱瘡:全身に発疹が出て、水疱、かさぶたへと変化
・風疹:細かい発疹が全身に出て、リンパ節が腫れる
・ヘルパンギーナ:喉の奥に痛みのある水疱ができる
・手足口病:手足と口内に米粒大の水疱ができる
・単純ヘルペス発疹症:口や喉、外陰部に痛みのある水疱ができる
発熱したあとに発疹が出る
・突発性発疹:高熱が下がったあと全身に発疹が出る
・麻疹:発熱後、4~5日で全身に不規則な発疹が出る
・川崎病:高熱が5日以上続き、全身の発疹といちご舌、目の充血が現れる
・溶連菌感染症:高熱が出ていちご舌になったり、手指の皮がむける
子供に熱と痙攣が出たときに考えられる病気は?
子供が急に38℃以上の熱を出し、全身がガタガタと震える痙攣を起こした場合は、「熱性けいれん」が疑われます。突発性発疹など発熱が3~4日続くウイルス感染症にかかったときなど、生後6ヶ月~3歳の赤ちゃんや幼児に起こりやすい病気です。
熱性けいれんは、ほとんどの場合5~10分程度で収まり、後遺症の心配もありません。しかし、本当に熱性けいれんなのか確認した方が良いため、はじめて子供が痙攣を起こしたときは病院を受診し、痙攣の様子を医師に報告しましょう。
痙攣が10分以上続いた、1日に2回以上起こった、熱がないのに痙攣した、意識がない、顔色が悪いといった症状がある場合、てんかんや、次に紹介する髄膜炎や脳炎など脳の病気である可能性もあるので、すぐに病院で診察と検査を受けましょう。
子供が熱も頭痛もあるときに考えられる病気は?
高熱とともに頭痛も続いている場合は、髄膜炎や意識障害、麻痺があれば脳炎の可能性があります。
髄膜炎は、おたふく風邪、麻疹、風疹などにかかったあとの合併症として見られることがあります。脳炎には、インフルエンザの合併症として発症する「インフルエンザ脳炎」や、蚊を媒体として感染する「日本脳炎」などがあります。
赤ちゃんの場合、言葉で頭痛を訴えることができないので、機嫌が悪くてぐずりっぱなしであったり、食欲がなく嘔吐したりといった様子が見られたら、すぐに小児科を受診しましょう。
子供に熱と下痢・嘔吐があるときに考えられる病気は?
発熱だけでなく下痢・嘔吐もあるときは、ウイルス性胃腸炎または細菌性胃腸炎にかかっている可能性が考えられます。
ウイルス性胃腸炎は秋から冬にかけて、細菌性胃腸炎のうちキャンピロバクター、サルモネラ、病原性大腸菌(O-157など)が原因のものは夏に起こることが多いので、注意が必要です。
下痢や嘔吐を起こすと、体の水分がどんどん排出されて脱水症状を起こす恐れがあるため、水分をこまめに少量ずつ取らせましょう。
子供が夜間に熱を出したときの対処法は?
夜間に子供が発熱した場合は、すぐに病院に行くべきか、しばらく様子を見て翌朝病院に連れて行くかを判断する必要があります。基本的に、動き回る元気がある、食欲がある、通常どおりコミュニケーションがとれる、顔色がいつもと変わらないといった状態であれば、急いで病院を受診しなくても問題ないでしょう。
逆に、元気がなくてぐったりしている、何かを口に入れることができない、意識がもうろうとしていてコミュニケーションが取れないなどの様子が見られるときはすぐに夜間の緊急外来を受診してください。
どう対処すればいいのか、病院に連れて行くべきか判断に迷ったときは、まず「小児救急電話相談」を利用するのも一つの方法です。全国どこからでも「♯8000」に電話をすれば、小児科医師や看護師に相談することができます。
都道府県によって対応時間が異なりますが、基本的に、病院の診療受付が終わった夜から朝方にかけて対応してくれますよ。
子供が熱を出したらほかの症状もよく見ましょう
子供が急に熱を出すと、どうしても慌ててしまうこともありますよね。しかし、そんなときこそ落ち着いて、発熱以外の症状がないか確認するようにしましょう。
機嫌が良く、食欲があれば、熱があってもそれほど心配はありませんが、痙攣や嘔吐などが見られる場合、油断は禁物です。すぐに病院へ連れていってあげてくださいね。