【産後の尿漏れ・子宮下垂に】話題の膣トレーニングがおすすめ!やり方は?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

妊娠・出産によって骨盤底筋がゆるむことが原因で、産後の尿漏れや子宮脱に悩んでいる女性も少なくありません。その対策として、最近注目されているのが「腟トレーニング」。一体、どのようなトレーニングなのでしょうか?

今回は、腟トレーニングのやり方や、産後の尿漏れや子宮脱に効くといわれている理由についてご説明します。

腟トレーニングとは?

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腟トレーニングとは、子宮や膀胱、内臓をハンモックのような形で下から支えている「骨盤底筋」を鍛えるトレーニングのことです。

骨盤底筋は、骨盤の一番下にある筋肉です。普段意識していないかもしれませんが、尿道や腟まわりをきゅっと締めたときに、股下でグッと持ち上がるように動くのが骨盤底筋です。トイレを我慢しているときを想像するとイメージしやすいですよ。

骨盤底筋は「鍛える」という意識があまりない部分なので、いつのまにかゆるんでいることも珍しくありません。特に、デスクワークなど座っている時間が長い場合は、下半身に力を入れることが少なく、骨盤底筋が衰えやすいといわれています。

また、女性は妊娠・出産によって骨盤底筋がゆるみやすくなります。骨盤底筋は、妊娠中にホルモンの影響でゆるんだ骨盤や靭帯を支えるために負荷がかかるほか、出産のときに引き伸ばされるためです。

腟トレーニングは産後の尿漏れに効く?

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前述のとおり、妊娠・出産を経て骨盤底筋がゆるんでしまう女性は多いものです。その結果、下記のようなトラブルが起きることがあります。

尿漏れ

産後の尿漏れに悩まされているママは3分の1以上という報告もあるくらい、よく見られるトラブルです(※1)。

骨盤底筋がゆるむと、支えきれなくなった膀胱や尿道が下がるため、物を持ち上げる・くしゃみをする・赤ちゃんを抱っこするなど、お腹に力が入ったときに尿漏れが起こりやすくなります。

腟トレーニングを習慣にすることによって、尿道の締まりが良くなり、尿漏れが改善されることもよくあります。

子宮下垂・子宮脱

子宮脱 子宮下垂

骨盤底筋がゆるむことで、子宮が正常な位置よりも下がる状態を「子宮下垂」、それが進行して腟から出てしまうことを「子宮脱」といいます。

子宮下垂の段階であれば、腟トレーニングによって症状が改善されることもあります。

子宮脱になると、子宮を腟のなかに押し戻す必要があるため、腟トレーニングだけでなくペッサリーの挿入や手術が必要になることもあります(※2)。

妊娠中・産後の腟トレーニングはいつから?

妊婦 ママ 日本人

妊娠中の腟トレーニングは、必ず体調の良いときに行いましょう。できれば安定期に入ってから、妊娠の経過が順調であることを条件に、医師の許可を得たうえで始めてみてくださいね。

特に後述する「花輪のポーズ」は安産のポーズともいわれていて、骨盤底筋を引き締めながら柔軟にすることでお産を進みやすくするといわれています。ただし、お腹が張るなど体調に異変を感じたときは腟トレーニングを中断し、ゆっくり休みましょう。

産後しばらくは、大きくなった子宮が元の状態に戻るまで、無理しないことが大切です。1ヶ月健診で体が順調に回復していることを医師に確認してから、腟トレーニングに取り組んでみてくださいね。

腟トレーニングのやり方は?

膣トレーニング 橋のポーズ 女性 日本人

腟トレーニングは教室などに通わなくても、自宅で簡単に行うことができます。産後ヨガやピラティスにも骨盤底筋を鍛えるポーズがあるので、スポーツスタジオに通ったり、DVDや動画を見て取り入れてみたりするのも良いかもしれません。

ポイントは、腟を締める感覚を覚えること。腟を締める感覚がわかりにくい場合は、肛門に力を入れてみましょう。肛門を締めると腟も同時に自然と締まるので、肛門に意識を持っていくとスムーズですよ。

ここでは、自宅で気軽にできる方法をいくつかご紹介します。

初心者向けの腟トレーニングのやり方

骨盤底筋体操 立ったまま引き締める eversense

1. 姿勢を正して立ち、息を吸いながら5秒間かけて腟をぐっと締めていく
2. 締めたままの状態で5秒間静止する
3. 5秒間かけて息を吐きながら腟をゆるめていく

● ポイント
立ちながら行う方法は、外出時に電車などでもできます。椅子に座ったままや、床に寝転がったままでもできるので、リラックスタイムに気軽に行ってみましょう。血行が良くなっている入浴中に行うのもおすすめです。

上記とほぼ同様の方法で、肛門をキュッと締めたらすぐに力を抜き、またキュッと締めるのをリズミカルに10回続け、10回目は少し長めに5~10秒締めたままにする方法も効果的。1日2~3セット行ってみましょう。

ヨガのポーズで行う腟トレーニングのやり方

橋のポーズ

安産体操 骨盤底筋を鍛える eversense

1. ヨガマットの上で仰向けに寝そべる
2. 両膝を立てて、肩幅に開き、手のひらを床につける
3. 床を押すようにして、お腹を突き出すように腰を持ち上げる
4. そのままお尻をキュッと締めて、ゆっくり呼吸をしながら5~10秒キープする
5. 背中、腰、お尻の順番にゆっくりと床に降ろす

● ポイント
お尻と太ももの筋肉を使う「橋のポーズ」は、骨盤底筋を鍛えると同時に血行を促進したり、内臓を引き上げたりという効果も。ヒップアップにもつながりますよ。

花輪のポーズ

骨盤底筋体操 しゃがみこみのポーズ eversense

1. 姿勢を正して立ち、両足を肩幅に開く(つまさきは外側に少し開く)
2. 胸の前で合掌し、背中をまっすぐに伸ばしたまま、ゆっくりとしゃがむ
3. 足はM字になるように、開いた両膝の間に合掌した状態の両肘を入れるようにする
4. 両肘でさらにグッと両膝を開く
5. そのまま息を吸いながら腟を胃の方に引き上げるイメージで締める
6. 5~10秒キープして力を抜く

● ポイント
骨盤の歪みを整える効果も期待できます。お腹周りの内蔵の働きを活発にしたり、足首やふくらはぎを引き締めたり、股関節周りを柔軟にしたりする効果もありますよ。

腟トレーニングで骨盤底筋を鍛えよう!

妊娠・出産に限らず、座りっぱなしの姿勢が続いたりすることで、骨盤底筋が衰えやすくなります。

腟トレーニングをすることで、産後の子宮脱や尿漏れはもちろん、下半身太りを解消する効果も期待できるので、すきま時間を上手に活用して実践してみてくださいね。

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