赤ちゃんに生まれつき赤いアザがあったら、それは「ポートワイン母斑」かもしれません。自然に消えるのか、赤ちゃんの将来に悪影響はないのか、いろいろと不安になってしまいますよね。そこで今回は、ポートワイン母斑とはどのような病気なのか、何が原因なのか、治療法はあるのかなどについてご説明します。
ポートワイン母斑(単純性血管腫)とは?
ポートワイン母斑とは、別名「単純性血管腫」ともいい、盛り上がりのない平らな赤アザです(※1)。
ポートワイン母斑は生まれたときから存在するものです。そのため、生まれたときにポートワイン母斑がない赤ちゃんには、その後も現れることはありません。
ポートワイン母斑が特にできやすい部位というのはなく、どこにでもできる可能性があります(※2)。
ポートワイン母斑の原因は?
ポートワイン母斑は、皮膚の血管が増えることが原因で発生しています。
皮膚は上から表皮、真皮、皮下脂肪織の3層からできており、このうち真皮と皮下脂肪織には血管が走り、皮膚に栄養と酸素を供給しています。血管はその中を流れる赤血球により赤く見え、赤血球の数が増えたり、血管が増えたりすると皮膚まで赤く見えるようになります。
ポートワイン母斑は、何らかの理由で皮膚に存在する血管が部分的に増え、皮膚が一部だけ赤く見えるようになった状態なのです(※3)。
ポートワイン母斑は病院で診てもらうべき?
ポートワイン母斑は自然に治ることはありません。そのため、病院で診てもらい、場合によっては治療をした方がいいとされています。
特に顔や頭にあるポートワイン母斑は、大人になると盛り上がってくることがあるため、盛り上がる前に治療を行うべきだとされています。
また、上まぶたにできたポートワイン母斑は、眼圧が高くなって視力に障害をきたす可能性があるので、できるだけ早く医師に相談し、治療を行う必要があります(※1)。
ポートワイン母斑の治療法は?
ポートワイン母斑は、レーザーによる治療を行います。一般的に顔や首にあるポートワイン母斑のうち、レーザーが有効なのは70〜80%です。一方、手足、特に足にできたポートワイン母斑にはあまり効果がないこともあります。
このように、ポートワイン母斑はできた場所によってレーザーの効き目が異なります。
そのため、ポートワイン母斑の治療では、まず従来から使われている赤アザ用のレーザーで治療し、もうそれ以上は効果がないとなったら、今度はVビームというレーザーに切り替えて治療を受けた方がよいとされています(※1)。
また、レーザー治療には痛みを伴うので、子供の場合は暴れてレーザーが目に入ってしまう危険性があります。そのため、子供がレーザー治療を受けるときは全身麻酔をする場合があります(※4)。
ポートワイン母斑に似た病気は?
ポートワイン母斑に似た病気として、イチゴ状血管腫と正中部母斑というものがあります(※1,5)。
イチゴ状母斑
イチゴ状母斑は、通常、生後2〜3週間以内、遅くとも生後3ヶ月以内に現れ、1〜2週間で急に大きくなって盛り上がる赤アザです。その後、半年から1年で最も大きくなりますが、それを過ぎると真ん中あたりから縮小していき、最終的にはほとんどわからなくなります。
しかし、場合によっては、小さくなっても皮膚の表面に細かい血管が浮き出たり、ブヨブヨしていたり、皮膚が萎縮したり、跡が残ったりすることもあります。
7歳を過ぎても存在するイチゴ状母斑は、以降も小さくならないため、母斑を切除して皮膚を縫い合わせたり、皮膚を移植したりして治療します。また、細かい血管が浮き出ている場合は、レーザーによる治療の効果が期待できます(※6)。
正中部母斑
正中部母斑とは、新生児の20〜30%でみられる赤アザの一種です。
正中部母斑は、新生児期から乳児初期にかけて、眉間やひたいの真ん中、上まぶたの内側、鼻と上唇の間の溝(人中)、うなじなどにみられます。ポートワイン母斑と同じく平らですが、境界が曖昧で、色にムラがあります。
正中部母斑は生後1年半以内にその大部分が自然に消えるため、治療する必要はありません。しかし、うなじにできた正中部母斑(別名「ウンナ母斑」)の場合、その半数は生後1年半を過ぎても残り、大人になっても薄く残ることがあります。
そのため、赤ちゃんに正中部母斑らしきものがあった場合、生後1年半ほど様子をみて、消えないものに対してはレーザーによる治療を行った方がよいとされています(※1)。
ポートワイン母斑があったら病院へ
ポートワイン母斑は、見た目に影響したり、できる場所によっては視力などにも影響を及ぼすことがあるため、治療をした方がよいとされています。そのため、子供にポートワイン母斑らしきものがあったら、まずは医師に診てもらいましょう。
ポートワイン母斑だと診断されたらレーザー治療を受けることになります。ただし、全身麻酔が必要になることもあるので、医師と相談しながら治療を進めた方がいいでしょう。
もしポートワイン母斑があったら、赤ちゃんが将来苦労しないように、早めに治療に取りかかりたいですね。