ポートワイン母斑(単純性血管腫)とは?原因は?治療法はある?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

赤ちゃんに生まれつき赤いアザがあったら、それは「ポートワイン母斑」かもしれません。自然に消えるのか、赤ちゃんの将来に悪影響はないのか、いろいろと不安になってしまいますよね。そこで今回は、ポートワイン母斑とはどのような病気なのか、何が原因なのか、治療法はあるのかなどについてご説明します。

ポートワイン母斑(単純性血管腫)とは?

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ポートワイン母斑とは、別名「単純性血管腫」ともいい、盛り上がりのない平らな赤アザです(※1)。

ポートワイン母斑は生まれたときから存在するものです。そのため、生まれたときにポートワイン母斑がない赤ちゃんには、その後も現れることはありません。

ポートワイン母斑が特にできやすい部位というのはなく、どこにでもできる可能性があります(※2)。

ポートワイン母斑の原因は?

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ポートワイン母斑は、皮膚の血管が増えることが原因で発生しています。

皮膚は上から表皮、真皮、皮下脂肪織の3層からできており、このうち真皮と皮下脂肪織には血管が走り、皮膚に栄養と酸素を供給しています。血管はその中を流れる赤血球により赤く見え、赤血球の数が増えたり、血管が増えたりすると皮膚まで赤く見えるようになります。

ポートワイン母斑は、何らかの理由で皮膚に存在する血管が部分的に増え、皮膚が一部だけ赤く見えるようになった状態なのです(※3)。

ポートワイン母斑は病院で診てもらうべき?

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ポートワイン母斑は自然に治ることはありません。そのため、病院で診てもらい、場合によっては治療をした方がいいとされています。

特に顔や頭にあるポートワイン母斑は、大人になると盛り上がってくることがあるため、盛り上がる前に治療を行うべきだとされています。

また、上まぶたにできたポートワイン母斑は、眼圧が高くなって視力に障害をきたす可能性があるので、できるだけ早く医師に相談し、治療を行う必要があります(※1)。

ポートワイン母斑の治療法は?

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ポートワイン母斑は、レーザーによる治療を行います。一般的に顔や首にあるポートワイン母斑のうち、レーザーが有効なのは70〜80%です。一方、手足、特に足にできたポートワイン母斑にはあまり効果がないこともあります。

このように、ポートワイン母斑はできた場所によってレーザーの効き目が異なります。

そのため、ポートワイン母斑の治療では、まず従来から使われている赤アザ用のレーザーで治療し、もうそれ以上は効果がないとなったら、今度はVビームというレーザーに切り替えて治療を受けた方がよいとされています(※1)。

また、レーザー治療には痛みを伴うので、子供の場合は暴れてレーザーが目に入ってしまう危険性があります。そのため、子供がレーザー治療を受けるときは全身麻酔をする場合があります(※4)。

ポートワイン母斑に似た病気は?

子供 顔 アザ

ポートワイン母斑に似た病気として、イチゴ状血管腫と正中部母斑というものがあります(※1,5)。

イチゴ状母斑

イチゴ状母斑は、通常、生後2〜3週間以内、遅くとも生後3ヶ月以内に現れ、1〜2週間で急に大きくなって盛り上がる赤アザです。その後、半年から1年で最も大きくなりますが、それを過ぎると真ん中あたりから縮小していき、最終的にはほとんどわからなくなります。

しかし、場合によっては、小さくなっても皮膚の表面に細かい血管が浮き出たり、ブヨブヨしていたり、皮膚が萎縮したり、跡が残ったりすることもあります。

7歳を過ぎても存在するイチゴ状母斑は、以降も小さくならないため、母斑を切除して皮膚を縫い合わせたり、皮膚を移植したりして治療します。また、細かい血管が浮き出ている場合は、レーザーによる治療の効果が期待できます(※6)。

正中部母斑

正中部母斑とは、新生児の20〜30%でみられる赤アザの一種です。

正中部母斑は、新生児期から乳児初期にかけて、眉間やひたいの真ん中、上まぶたの内側、鼻と上唇の間の溝(人中)、うなじなどにみられます。ポートワイン母斑と同じく平らですが、境界が曖昧で、色にムラがあります。

正中部母斑は生後1年半以内にその大部分が自然に消えるため、治療する必要はありません。しかし、うなじにできた正中部母斑(別名「ウンナ母斑」)の場合、その半数は生後1年半を過ぎても残り、大人になっても薄く残ることがあります。

そのため、赤ちゃんに正中部母斑らしきものがあった場合、生後1年半ほど様子をみて、消えないものに対してはレーザーによる治療を行った方がよいとされています(※1)。

ポートワイン母斑があったら病院へ

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ポートワイン母斑は、見た目に影響したり、できる場所によっては視力などにも影響を及ぼすことがあるため、治療をした方がよいとされています。そのため、子供にポートワイン母斑らしきものがあったら、まずは医師に診てもらいましょう。

ポートワイン母斑だと診断されたらレーザー治療を受けることになります。ただし、全身麻酔が必要になることもあるので、医師と相談しながら治療を進めた方がいいでしょう。

もしポートワイン母斑があったら、赤ちゃんが将来苦労しないように、早めに治療に取りかかりたいですね。

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