ホッピング反応とはどんな動き?赤ちゃんがしない場合、成長への影響は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

赤ちゃんが生後しばらくして身につける反射の一つに、「ホッピング反応」というものがあります。しかしそれまでその言葉の意味を知らず、乳児健診のときに初めて知ったというママやパパもいるのではないでしょうか?そこで今回は、ホッピング反応とはどのようなものなのか、出現時期はいつなのか、ホッピング反応を見せない赤ちゃんもいるのかなどについてご説明します。

ホッピング反応とは?

赤ちゃん 足
ホッピング反応とは、赤ちゃんが生まれてからしばらくすると自然に身につける姿勢反射の一つです。大人の場合、立った状態から体が前に倒れると、自然に足が前に出てバランスを取ろうとしますよね。この動きがホッピング反応といわれるものです。

赤ちゃんにホッピング反応が見られるかどうかは、以下のように確認します(※1)。

● 赤ちゃんを立たせて体を前に倒そうとすると、左右どちらかの足を前に踏み出して体を支えようとするか
● 赤ちゃんを立たせて体を後ろに倒そうとすると、足の関節を曲げて体を支えようとするか
● 赤ちゃんを立たせて左右どちらかに倒そうとすると、倒れる側とは反対の足を交差するなどして体を支えようとするか

ホッピング反応はいつから?健診で確認?

カレンダー スケジュール 期間 日程
日本小児神経学会によると、ホッピング反応の出現時期は、生後15〜18ヶ月頃だとされています。これは、この時期にホッピング反応を司どる脳の一部が成熟するためです。また、一度現れたホッピング反応は消失することはなく、生涯持続します(※1)。

ただし、生後9〜10ヶ月頃から少しずつ出現し始めるため、生後9〜10ヶ月頃に行う乳幼児健診から、ホッピング反応が見られるかどうかを確認することもあります(※2)。

ホッピング反応がない赤ちゃんもいるの?

赤ちゃん 抱っこ 日本人

ホッピング反応がない赤ちゃんもいますが、ないからといって必ずしも病気というわけではありません。

ホッピング反応は、最初、体が前か左右のどれか一方向に倒れるときだけ現れます。その後、だんだんとそれ以外の方向に倒れるときにも現れるようになり、最終的には後ろへ倒れるときにも出現するようになります。

なお、生後9~10ヶ月の段階では、前後左右のどれか一方向にのみホッピング反応がみられれば正常と判定されます(※2)。

もちろん、つかまり立ちなどと同様、ホッピング反応が出る時期には個人差があります。また、赤ちゃんの成長具合は、ホッピング反応以外の発達状況と合わせて総合的に判断します。そのため、「健診のときにホッピング反応がなかった」ということだけで、心配しすぎる必要はありません。

ホッピング反応はパラシュート反応と違う?

ママ 悩む 考える 日本人

ホッピング反応と同じく、生後9〜10ヶ月頃の乳幼児健診で検査する反射の一つに「パラシュート反応」というものがあります。ホッピング反応が足に関する反射であるのに対し、パラシュート反応は腕と手に関する反射です。

赤ちゃんを抱き上げて前方に落とそうとすると、赤ちゃんは両腕を伸ばし、手を開いて体を支えるような姿勢を取ります。この反応をパラシュート反応といいます(※2)。

パラシュート反応が現れる時期は?

低い位置でのパラシュート反応は生後8ヶ月頃からみられます。一方、抱き上げて高い位置でのパラシュート反応は、約60〜70%の赤ちゃんで生後9ヶ月頃から現れ、生後10ヶ月頃にはほぼすべての赤ちゃんでみられるようになります。

パラシュート反応がない赤ちゃんもいるの?

パラシュート反応があるかどうかは、つかまり立ちができるかどうかの目安になります。

ただし、泣いている赤ちゃんや怖がりで緊張が強い赤ちゃんの場合、腕をぎゅっと縮めてパラシュート反応をみせないことがあります。その場合は、他の反射や検査項目が正常であれば、そのまま様子見となります。

本当にパラシュート反応がない場合は、発達の遅れや脳障害などが疑われます。また、パラシュート反応はあるけれど、手の開き方がおかしいときは脳性麻痺が、一方の手を開かずに握っているときは体の片側の麻痺が疑われます。

ホッピング反応以外に9~10ヶ月健診でチェックするのは?

赤ちゃん はいはい 日本人

生後9〜10ヶ月頃の乳幼児健診では、ホッピング反応やパラシュート反応以外に、次のようなチェック項目があります(※2)。

つかみ方に異常はないか

ママの膝の上で抱いている状態やイスにつかまり立ちしている状態など、赤ちゃんが泣かずに周囲に対して興味を示している状態で、ビー玉や色のついた碁石などを持たせ、そのつまみ方、つかみ方を確認します。

持たせるものの大きさや重さによってつかみ方は変わりますが、指全体でつかんだり、つかみ方がぎこちない場合は注意が必要です。

つかまり立ちができるか

イスやママなどにつかまれば少しの間だけ立っていたり、自分からつかまって立ち上がることができるかを確認します。

ハイハイができるか

床にお腹をつけて、手足を交互に動かして「ずりばい」ができるか、もしくは床に膝をつき四つん這いで移動(ハイハイ)できるかを確認します。ただし、ハイハイをせずに立つ子もいるので、これは一つの目安と考えてください。

愛着が順調に形成されているか

愛着の形成が順調であれば、生後9〜10ヶ月頃の赤ちゃんは、後追い行動や、ママがいなくなると不安になって泣くようになります。

乳幼児健診では、ママがそばにいるときの遊び方と、いなくなったときの様子、ママが戻ってきたときの様子とその後の遊び方で、愛着がどれくらい形成されているのかを確認します。

多くの赤ちゃんは、ママがそばにいると安心して遊び、いなくなると後追いしたり遊ばなくなったりし、ママが戻ってくると嬉しそうな行動を見せたり、遊んだりします。

ホッピング反応は個人差があります

ホッピング反応は少しずつ発達していくもので、現れる時期や発達の程度には個人差があります。また、赤ちゃんの発達はホッピング反応だけでなく、他にも様々な検査を行って総合的に判断します。

赤ちゃんの動き一つ一つに過敏になりすぎず、ゆったりとした心で見守ってあげてください。どうしても気になるときは、気になった点などをメモしておき、乳幼児健診のときに医師に相談してみるといいでしょう。

赤ちゃんが健康に育つように、見守っていきましょうね。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう