育休中に過労で倒れた僕が「男性の育休は最低でも2週間」を勧める理由

初めまして、ninaru babyでエンジニアをしている古谷と申します。

2018年末、第一子が生まれるにあたり、男性ながら育児休暇…もとい、育児休業を取得しました。

この記事では、僕がなぜ育休を取ったのか、育休はどんなことが大変で、どんな経験をしたのかお話ししたいと思います。

最初に結論を言ってしまうと、世の男性は育休を取った方が絶対にいい、と思います。少なくとも僕は、育休を取って良かったと、育休から時間を経た今でも強く感じています。

なぜそう感じているかも含め、お話しさせてもらいますね。

男性の僕が育休を取った理由

古谷さとき 育休

僕は現在27歳、妻は25歳で、結婚5年目です。

僕は割と子供好きの方だと思っていますが、若くして結婚していることもあり、「すぐに子供が欲しい」とは思っていませんでした。いいタイミングで子供ができたなあ、という感じです。

正直、妻の妊娠がわかってからしばらくは、父親の自覚はイマイチありませんでした。実感がわいたのは、エコー写真で赤ちゃんの顔が見えたとき。

「あ、子供が産まれるんだ!僕はパパになるんだ!」と強烈に思いました。現金なものですが…。

それから「この子となるべく一緒にいたいな」と思うようになって、育休を取ることを考えるようになりました。

決め手になったのは、以下の2つの理由があります。

育休取得の理由1:
里帰り出産のメリットがない

僕が育休を取ろうと思った理由のひとつは、妻の両親がまだバリバリ共働きで仕事をしていること。

つまり、里帰り出産を選択した場合、産後の日中は妻の実家に赤ちゃんと妻だけということになります。もし日中に何かあったとしても、義両親が帰ってくるまでは、妻が一人でなんとかしなくてはならないんです。

我が家の近くにはいい病院があるけれど、実家の近くにはいい病院がなさそう…という事情もありました。

育休取得の理由2:
赤ちゃんの近くにいたい

すみません、2つの理由があると言いつつ、本当はこれが最大の理由。というか、ほぼこれしかありません(笑)。

妻の両親からは、それとなく里帰り出産をすすめられていたんです。「出産のときはうちに帰ってくる?」って。

それを言われたとき、想像してしまったんです。里帰り出産の間に妻の両親から「ほら、パパも赤ちゃん触ってみなよ~」って言われるのを。もう、それを思い浮かべたら寂しい気持ちになっちゃって。

父親なのに一人蚊帳の外ってのが耐えられないなと。

幸いうちの会社には育休を取った男性もいるので、余計な引け目をあまり感じることもなく、会社に育休を取りたいという旨を伝えることができました。

さて、ここからは、育休を取得した男性を代表して、どんなことで悩んだか、なぜ取得したほうがいいと思うのかなど、僕の体験談をお話しさせていただきます。

男性が育休を取るとこんなことで悩む

古谷さとき 育休
赤ちゃんが産まれたのは11月17日。出産予定日より3日早く生まれました。そして僕が育休を取ったのは、妻と子供が退院した11月末からの約1ヶ月。年末年始のお休みを含めると、約1ヶ月半ほどになりました。

その1ヶ月半は、大きく3タームにわけることができます。

第1ターム(育休1週目)
父親として進化しない自分に苦しむ

育休が始まったばかりのころは、半ば自分のわがままで妻を里帰り出産させなかった、という強いプレッシャーを自分に掛けていました。

会陰切開をしたこともあり、退院直後の妻はとにかく疲れていました。授乳は3時間おき、しかも一回に1時間もかかりました。「1回に1時間を1日に8回、つまり1日に8時間も授乳しているのか…!」と驚かされました。

おっぱいからの授乳は、どんなに頑張っても僕が代わることはできません。だからこそ、3食の炊事・洗濯・掃除と、1時間おきのおむつ交換、そして沐浴など授乳以外の赤ちゃんのお世話を完璧にこなさなければいけない、と思っていました。

本当にストレスだったのが、「赤ちゃんのお世話が上手くこなせるようにならないこと」「毎日に変化がないこと」でした。

仕事であれば、一度失敗したことを二度としないように心がけ、改善するのは当たり前のことです。でも育児ではそれができないもどかしさ。

例えば、赤ちゃんを沐浴させているときにうんちをされるなんてことは、避けようがないわけです。だから2回・3回と同じことを繰り返してしまう。

今となっては笑い話ですが、育休中の僕はそのようなことを「失敗」「父として進化できていないせい」と捉えていたんです。

エンジニアは、毎日違うコードを書いたり、頻繁に新しい技術を身につける必要があります。前日と全く同じ作業をする、ということはなかなかありません。

ところが育児は、同じことの繰り返し。赤ちゃんのためにミルクを作り、おむつを替え、泣いたらあやす。

この時期、眠いのに仕事に関係する参考書を読んだりしていたんですが、あれは「自分は進化できるんだ」という確認作業だったのかもしれません。

「育児は自分の思い通りにはいかないんだ」と悟るまでは、本当につらいものがありました。

第2ターム(育休2週目)
自分を勝手に追い込み、倒れる

退院&育休2週目に入り、妻の体調は少しずつ良くなってきました。しかし、授乳が痛くて耐えられないということで、搾乳器を使うことに。3時間おきの授乳は、僕と妻の交代制になりました。

相変わらず僕の中には「里帰り出産させなかったのだから、自分が完璧にこなさなければ」というプレッシャーがありました。そのため、土日にお互いの両親が手伝いにきてくれて「ご飯作っとこうか?」と言ってくれたときも「いや、僕が作るんで大丈夫です」と虚勢を張っていました。

さらに、これも今となっては自分で自分がよくわからないのですが「育休を取らせてもらってるのだから、いつもの仕事で起きてる時間帯は起きていないといけない」という思い込みがありました(もちろん、会社の誰から言われたことでもありません)。

育児休業をもらっている身なので、それらを完璧にやらなければいけないという意識がどこかにあったのでしょう。だから、赤ちゃんがぐっすり寝ている朝7時でも、自分は起きてなきゃいけないんだと思い、やることがなくても起きていました。

その結果、ベッドから起き上がれないくらい体調が悪くなり、病院で「働きすぎ」という診断を受けてしまいました。育児休業中なのに(笑)。

第3ターム(育休3週目~)
プレッシャーから解放され、育休を楽しめるように

妻をサポートするために育休を取ったのに過労で体調が悪くなる、という本末転倒な事態を経験したおかげで、気持ちが吹っ切れることができました。自分に無意味なプレッシャーをかけていたことに気づき、それらから解放されたんです。

3食を毎回ゼロから作ることはやめて作り置きをするようにしたり、適度に手を抜いてバランスをとることを覚えました。

そこからの育休は、とても充実したものでした。

男性が育休を取るメリット

古谷さとき 育休

僕が育児休業を取った期間は約1ヶ月間。妻に比べればはるかに短く、「育休を取って育児に積極的に参加しました!」と自信をもって言えるほどでは到底ありません。それでも、育休を経験したことで大きな実りがあったと思います。

僕が感じた、男性が育休を取るメリットは以下の3点です。

ママの体調不良に対応できる

出産からしばらくの間、妻は会陰切開の影響で体調があまり良くなかったんです。産後の体調不良は、妊娠中には予測できないことですよね。

我が家の場合はたまたま僕が育児休業を取得することになっていたので良かったのですが、そうじゃなかった場合、家事や生まれたばかりの赤ちゃんのお世話を体調の悪い奥さんがやらなくてはいけないことに。

だから結果として育児休業を取得しておいて、すごく良かったと思っています。

育児に対して同じスタートラインから
夫婦で一緒に成長できる

育休をとって一番良かったと感じたことに、「分からないことを妻と一緒に試行錯誤して、喜怒哀楽を共有して、一緒に経験を積んでいける」ということがありました。

「なんで泣き止まないんだろうね」
「げー、おむつ替えた瞬間にうんちした!」
「あ、笑った!笑うとえくぼが出るんだね」

もし男性が育休を取らなければ、ママのほうがどんどん成長していくことになるはず。ですが、男性も育児休業を取得すれば、ママとパパが一緒に試行錯誤して助け合って、育児のやり方を身に付けていくことができます。

2人でゼロの状態から一緒に成長していく経験は、育休の期間だけでなく、その後の家族関係にもいい影響を与えてくれるかもしれないと感じました。

妻とのコミュニケーションが進化

子供がいないときって、夫婦ともども疲れていることって、あまりないですよね。片方が疲れているだけなら、お互いに助け合えるけれど、育児は2人とも疲弊するので、お互いのことを思いやりにくくなってしまうと思うんです。

赤ちゃん中心の生活になってから、僕と妻との会話のなかに「ごめんね」という言葉が増えていることに気づきました。

おむつ交換の多さや、ミルクの時間の長さ。お世話に長時間拘束されることで、夫婦とも一番疲弊していた時期だったんでしょう。

「ごめんね、深夜に起きてもらって」
「ごめんね、疲れているのに」
「ごめんね、寝ちゃってて」
「ごめんね…」

そんなとき「ごめんね」から始まるコミュニケーションは、お互いにとってあまり良い効果がなさそうだと気づきました。言った方も、言われた方も、うれしい気持ちにはならないというか。

そこで、「ごめんね」の代わりに、「ありがとう」と言うことにしたんです。すると、なんだかハッピーな日々に変わった気がしました。

お互いに大変なときこそ、使う言葉を選ぶことって大切だなあと感じました。

育休中に過労で倒れた自分が、それでも男性が育休を取った方がいいと思う理由

古谷さとき 育休

育休を取ってから早4ヶ月が経ちました。最近は仕事がけっこう忙しいので、1日1時間くらいしか妻と会話したり赤ちゃんと触れ合える時間がありません。

でも、なんか大丈夫なんです。言葉にするのが難しい感覚なんですが、育休中に密な関係をつくれたという経験のおかげで、不安にならないんですよね。

赤ちゃんのことも、妻が育児で大変だということも、ある程度肌でわかったということが、本当に良かったなあと思います。

妻が育児でどれだけ大変な思いをしているかわかるから、家に帰ったときに「仕事お疲れ様」って言ってくれたとき「いやいや、育児の方がお疲れ様」と心底から言えるようになりました。

赤ちゃんが生まれてから最初の2週間は妻の体調もあまり良くなく、本当に大変でした。ただ、その大変な最初の2週間を、最初からずっと3人で体験できたのは何事にも変えられない経験だと思います。

一緒に大きな山を乗り越えたことで、妻との絆も深まったと思いますし、今後の生活で大変なことがあっても、この2週間を思い出せば、協力して乗り越えられそうな気がします。

育休中なのに過労で倒れたり、毎日同じことの繰り返しでモヤモヤすることもありましたが、今振り返れば育児休業を取ったことは大正解だったと思っています。

そして、もし男性で育児休業を取得しようかと悩んでいる人がいたら、絶対に取ったほうがいいです。

「育休1ヶ月」と聞くと結構大変そうなイメージがあるかもしれませんが、例えば育休2週間ならちょっとした海外旅行くらいの感覚で取れます。ぜひ、2週間でもいいので育休を取ることをおすすめします。

その2週間の経験が、今後の家族での50年、60年を幸せなものにするかもしれないですから。

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