1歳未満の赤ちゃんに食べさせてはいけないことで知られているはちみつ。そこで気になるのが、授乳中のママがはちみつを食べることで、母乳を通じて赤ちゃんに悪い影響を与えるのではないかということ。今回はそんなママたちの疑問にお答えするべく、授乳中にはちみつを食べてもいいのか、母乳に影響は出ないのか、食べるときの注意点などをご紹介します。
授乳中にはちみつを食べてもいいの?母乳への影響は?
授乳中のママがはちみつを食べたとしても、基本的には問題ありません。
1歳未満の赤ちゃんにはちみつを食べさせていけないと言われている理由は、乳児がはちみつを食べると「乳児ボツリヌス症」という病気に感染することがあるからです。
しかし、授乳中のママが食べたはちみつから、母乳を通じて赤ちゃんに感染したという例はなく、日本産科婦人科学会や日本小児科学会においても、「授乳中にはちみつを食べてはいけない」という注意喚起はされていません。
乳児ボツリヌス症については、下記を参考にしてください。
乳児ボツリヌス症とは?
乳児ボツリヌス症とは、1歳未満の乳児がボツリヌス菌を口から摂取することで発症する病気です。
発症すると、便秘、元気がなくなる、ミルクを飲まなくなる、泣き声が小さくなる、体に力が入らなくなるなどの症状が現れ、重症化すると呼吸ができず、人工呼吸器が必要になる場合もあります(※1)。
2017年には、はちみつを摂取したことが原因の乳児ボツリヌス症によって、赤ちゃんが死亡した例も出ましたが、死に至るケースはまれで、ほとんどの場合は無事に回復します。
授乳中にはちみつを食べるときの注意点は?
前述のように、ボツリヌス菌は食べ物からしか感染しないため、はちみつを摂取したママの母乳から、赤ちゃんにボツリヌス菌が感染することはありません。
そこで気をつけたいのは、赤ちゃんがはちみつの付いたものを口にしてしまうことです。
赤ちゃんには「吸啜(きゅうてつ)反射」という無意識の反射行動が備わっています。これは本来、口に乳首が触れたときに無意識に吸い付くために備わっているものですが、乳首以外のものにも吸い付く行動を見せます(※2)。
そのため、容器のふたやスプーンなど、はちみつが付着しているものが赤ちゃんの手の届く範囲にあると、反射的に吸い付いて、はちみつを摂取してしまう可能性があります。
ママがはちみつを食べるときには、これらを赤ちゃんの近くに置かないことが大切です。
また、赤ちゃん自身がいつのまにか手を伸ばしてはちみつを触ってしまう可能性もあるため、保管をするときは高い場所に置いてフタをしっかり閉めるなど、取り扱いには注意することをおすすめします。
授乳中にはちみつを食べるのはどんなときがいい?
授乳中に薬を飲むと、母乳に成分が多少なりとも分泌されてしまうため、具合が悪くても薬を飲むことをためらってしまいますよね。
そんなときにおすすめなのが、はちみつを食べることです。咳やのどの痛みが出ているときに効果的ですよ。
咳やのどの痛みは、ウイルスや菌がのどに感染し、炎症を起こすことで現れます。はちみつにはウイルスや菌の増殖を抑える効果があるため、これらの症状を止める効果が期待できます。
はちみつは薬と違い、母乳にも悪影響を与える心配がないため、授乳期に咳やのどの痛みが出たらはちみつを食べて、症状を和らげることを試してみてもいいでしょう。
ただし、あまりにものどの痛みや咳がひどい場合や、長く続く場合には、病院を受診することをおすすめします。
授乳中のはちみつは母乳に影響なし!
「乳児にはちみつを与えてはいけない」とよくいわれているため、授乳中に自分がはちみつを食べることで、母乳から病気がうつるのではないか、と心配するママも少なくないでしょう。
しかし、ママがはちみつを食べたとしても、ほとんどの場合、乳児に健康被害を与えるボツリヌス菌はママの腸で死滅してしまうため、母乳を通じて赤ちゃんに感染することはありません。
ただし、赤ちゃんはなんでも口にしたがる傾向があるため、はちみつが付着した容器やスプーンなどは、念のため赤ちゃんから遠ざけておくことをおすすめします。