おしるしは、破水・陣痛とともによく知られた出産兆候の一つで、出産に向けた心の準備をする合図になります。おしるしのおかげで出産準備を整えられたという妊婦さんも多くいる一方、「もうすぐ予定日だけど、おしるしがない…大丈夫なのかな?」と不安になる人もいます。今回は、おしるしがない場合や、おしるしが鮮血や茶色だった場合は大丈夫なのかなどをご紹介します。
おしるしとは?
おしるしとは、子宮口が開いたり、子宮が収縮したりすることによって、卵膜の一部が子宮壁から剥がれたときに出た血液と、経管粘液栓が共に排出されることで、おりものに似たものです(※1)。
おしるしは胎児が子宮内で大きく成長し、徐々に下りてきている証拠であり、体の異常を知らせるものではありません。
おしるしは医学用語で「産徴」と言い、分娩のしるしであることを意味していますが、おしるしがあったからといってすぐに陣痛が始まるというわけではなく、おしるしの数日後に分娩が始まることもあります(※1)。
おしるしがないのは大丈夫?その確率は?
おしるしは分娩が始まる合図といえますが、おしるしがないまま分娩が始まる場合もあります。
おしるしの色や量にも個人差があり、卵白のような半透明なおしるしが現れる人もいれば、鮮血のように真っ赤なおしるしを体験する人もいます。また、量も下着に少しつく程度のこともあれば、月経と同じくらいたくさん出ることもあります。
おしるしがおりものに似た半透明で、量が少ないと、これがおりものなのか、おしるしなのか、自分で判断するのは難しいですよね。しかし前述のように、おしるしがあったからすぐに陣痛が始まるというわけではないので、おしるしが来たかどうかがわからなくても、特に問題はありません。
おしるしは一人一人でかなり違いますし、ない場合でも、出産に影響はありません。逆に、「おしるしが来ないけど、どうしよう?」と神経質になり、ストレスを感じてしまう方が心配です。落ち着いた気持ちで出産に臨めるよう、あまり気にしすぎないでくださいね。
おしるしが鮮血でも大丈夫?
おしるしの色には個人差があります。すぐに止まる場合は問題ないものの、真っ赤な血らしきものがいつまでも止まらない場合は、おしるしではなく、どこかから出血している可能性があります。
妊娠後期に出血があると、常位胎盤早期剥離や前置胎盤、切迫早産など、赤ちゃんに何らかのトラブルが起こっている可能性も考えられます。
鮮血が出たり、量が多いという場合は、体の異変によって起こっている可能性があるので、早めに病院を受診するようにしましょう。自分で判断できないときは、病院に電話して、症状を伝えてみてください。
ただし妊婦健診の内診後に出血が起きた場合は、内診によって腟壁が傷つき、出血している可能性もあります。その場合はじきに治まるため、問題はありません。
おしるしが茶色でも大丈夫?
おしるしの色は、赤、うすピンク、茶褐色などさまざまです。血に由来するような色で、粘り気がある状態であれば「おしるし」である可能性が高いといえます。
しかし茶色の場合は、おりものの可能性もあります。おしるしとおりものは似ているので、自己判断は難しいものです。
どちらか分からないときは、「おしるし」だと考えて準備しておく方が、いざというときに慌てずに済みます。入院準備品をもう一度チェックしたり、食事を済ませたりと、いつ出産が始まっても大丈夫なようにしておきましょう。落ち着いて、心の準備を整えることも大切です。
経産婦はおしるしがないって本当?
「経産婦はおしるしがない」という噂を耳にしたことがあるかもしれませんが、医学的な根拠はありません。「1人目のときはおしるしがなかったけれど、2人目のときはあった」という人もいれば、「1人目と3人目はおしるしがあったけれど、2人目のときはなかった」という人もいます。
経産婦さんは、上の子の妊娠のときと違うことがあると、「自分はおかしいのかな?」「赤ちゃんに異常があるのかな?」などと心配してしまうかもしれませんが、おしるしは人によって色や量、タイミングが異なるので、心配する必要はありませんよ。
おしるしが茶色でもないときも気にせずに
妊娠・出産がマニュアル通りに進むことはほとんどありません。どんな事態にも対応できるように、「いつ何が起こってもおかしくない」という心構えでいることが大切です。
おしるしの色や量、タイミングは様々なので、おしるしの状態や有無を心配する必要はありません。出産まであと少しだと考えると、不安に感じたり、つらかったりするかもしれませんが、あともうひと踏ん張りすれば、今まで感じたことのない幸せに出会えるはずです。
産まれてきた赤ちゃんを自分の腕に抱いたときの喜びを想像しながら、残り少ない妊娠生活を楽しんでくださいね。