「風邪かな?」と思っていたら、実は重症に至ることもある病気だった…という経験はありませんか?今回ご紹介するRSウイルスも、そのような病気の一つといえます。特に1歳未満の赤ちゃんが感染すると、入院が必要なことも。今回は、RSウイルスの検査方法や、診断基準についてご紹介します。
そもそもRSウイルスとは?
RSウイルスという病原体が感染し、主に咳込みや発熱など気道感染による症状が起こることを「RSウイルス感染症」といいます。
RSウイルス感染症は2歳までにほとんどの子供が一度はかかり、生涯のうちに何度もかかる病気です(※1)。従来は冬に流行していましたが、近年は冬以外の季節でも発症例が多く報告されています。
RSウイルス感染症は、ウイルスに感染してから2~8日の潜伏期間を経て、鼻水から始まり、38~39度の発熱や咳が続きます(※1)。多くの場合、RSウイルスに感染しても重症化することはなく、風邪のような症状だけで治まります。
しかし生後6ヶ月未満の赤ちゃんが初めてRSウイルスに感染するときは、重症化することも多く、注意が必要です。
症状が悪化すると、呼吸が苦しくなってきたり、呼吸時にゼイゼイ・ヒューヒューと音がしたり、酸素不足で顔や手足が青紫色になるチアノーゼが見られたりすることがあります。
RSウイルスの感染は検査でわかる?
RSウイルスに感染しているかどうかの検査は、鼻水などを採取して、15分ほどで行うことができます(※1)。
検査方法については後述しますが、下記のいずれかの条件に当てはまり、RSウイルス感染症が疑われる人であれば、検査に保険が適用されます(※2)。
● 入院中
● 1歳未満
● パリビズマブ製剤(シナジス)が適応される乳幼児
「パリビズマブ製剤」は、2002年に日本で承認された注射薬です(※1)。投与することで、RSウイルス感染症の重症化を減らすことが期待できるといわれています。投与に保険が適用されるのは、特にリスクの高い早産児などに限られています。
もちろん、上記に該当しない人でも、自費で検査を受けることができます。
RSウイルスの診断基準は?
RSウイルスを診断するためには、鼻のなかの組織を検体として採取して、検査を行う必要があります。検体の採取方法には、以下の2通りがあります。
● 鼻腔ぬぐい液:綿棒を鼻の奥に挿入し、粘膜を採取する
● 鼻腔吸引液:吸引用チューブを鼻に挿入して、鼻水を吸引する
採取された検体を検査すると、インフルエンザと同様に陽性か陰性かを簡単に判定することができます。陽性の場合、RSウイルス感染症と診断されます。
RSウイルスの検査が陽性だったら?
RSウイルスの陽性反応が出た1歳未満の赤ちゃんの、呼吸状態や全身状態が悪い場合には、そのまま入院での治療が行われます。
RSウイルス感染症が重症化すると、下気道(喉より下の呼吸器)にもウイルスが感染し、気管支、細気管支、肺などに炎症が起こります。
特に細気管支炎になると、呼吸数が多くなり、全身を使って呼吸をするなど、呼吸がしづらくなります。おっぱいやミルクを飲みづらくなったり、眠れなくなったりして、体力が落ちてしまい、脱水症状を起こしてしまう危険もあります。
そのため、症状が悪化しないように、入院して気管支拡張薬や酸素の吸入、点滴を行うことが必要になるのです。
RSウイルス感染症は、一般的に7~12日で症状が治まりますが、入院して治療を行うと、3~4日で症状が改善する傾向があります(※3)。
RSウイルスの疑いがあるときは、まず検査を
RSウイルス感染症は、小さな子供にとって気をつけなければいけない病気の一つです。
しかし最初の症状は一般的な鼻風邪と似ているため、なかなかRSウイルスの感染に気づけないかもしれません。
もし1歳未満の赤ちゃんに鼻水や咳といった症状があらわれたら、注意深く様子を見て、発熱がある、咳がひどいということであれば、早めに小児科を受診しましょう。病院で検査をすれば、RSウイルスに感染しているかどうかは簡単にわかります。
生後1歳未満の場合、RSウイルスに感染して呼吸状態が悪い場合には入院の可能性もあり、ママやパパにも大きな負担となってしまいます。そのため、感染を予防することが一番大切です。
赤ちゃんがいる家庭では、まずはママやパパ、兄弟がRSウイルスに感染しないように気をつけてください。そしてもし感染してしまったら、家のなかでもマスクをするなど、赤ちゃんにうつさないようにしましょう。
RSウイルスが流行しているときは、ネットやテレビで情報が流れることが多いので、その時期は特に感染に注意してくださいね。