卵巣年齢とは?実年齢と関係しているの?若返りはできる?

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

妊活中の女性は、「卵巣年齢」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、「卵巣の中に残っている卵子の数」を表すものですが、実年齢と関係しているのでしょうか?また、若返らせることはできるのでしょうか?今回は、卵巣年齢が何で決まるのか、また卵巣年齢が高い場合にどうすればいいのかなどをご説明します。

卵巣年齢とは?

一般的に「卵巣年齢」とは、卵巣に残されている卵子の数(卵巣予備能)を表したものです。わかりやすく言うと、次のようになります。

● 卵巣年齢が低い=卵子が多く残っている
● 卵巣年齢が高い=残っている卵子が少ない

妊娠するためにはまず、卵子と精子が受精する必要があるため、卵巣年齢が低い(卵子が多く残っている)ほど妊娠に至るチャンスが多いということになります。

逆に、卵巣年齢が高いと、残っている卵子が少ないので排卵がうまく起こらず、妊娠しづらくなる可能性が高いといえます。

卵巣年齢は実年齢と関係があるの?

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実は、卵胞(卵子が入った細胞)の数は生まれたときから決まっており、生まれたあとに増えることはありません。卵胞の数は年齢を重ねるごとに自然と減っていき、一生のうちに排卵される卵子の数は、最初に決まっていた卵胞の数と比べるとごくわずかです。

一般的に、女性の年齢が35歳を超えると卵胞が減るスピードが加速し、閉経を迎えるときにはゼロになります。つまり、どんなに見た目が若々しい女性であっても、「卵巣年齢は実年齢とともに高くなっていく」といえます。

なお、加齢だけでなく、子宮内膜症や卵巣腫瘍の手術、ガン治療などの経験や、喫煙習慣などによっても、卵巣がダメージを受け、卵子の数が少なくなります(※1)。

卵巣年齢が高くなっているサインとは?

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前述のとおり、卵巣年齢は閉経が近くなるにつれて高くなっていきます。日本人女性の平均閉経年齢は50.5歳で、一般的には閉経をはさんで前後5年間、だいたい45~55歳を「更年期」と呼びます(※2)

次のような更年期障害が見られはじめたら、閉経が近い、つまり卵巣年齢がかなり高くなっているサインと考えられます(※2)。

● のぼせ・ほてりがあり、よく汗をかく
● 手足が冷えやすい
● 動悸がする
● 怒りっぽい
● 憂うつになりやすい
● 頭痛やめまいがする
● よく眠れない
● 腰痛・関節痛・肩こりがひどい
● 疲れやすい
● 吐き気・食欲不振が続く
● 皮膚が乾燥し、かゆい
● トイレが近い
● 性交痛など陰部に違和感がある

卵巣年齢は若返りできるの?

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加齢や卵巣腫瘍手術などのライフイベントによって一度少なくなった卵子は、ふたたび増えることはありません(※1)。つまり、卵巣年齢が若返ることはないと考えてください。

年を重ねること自体は決して悪いことではありませんが、実年齢が卵巣年齢に影響を与えることを考えると、妊娠・出産に関してはタイムリミットを意識した方が良いでしょう。

卵巣年齢だけでなく卵子の質も大切!

妊娠するためには、卵子の数(つまり卵巣年齢)だけでなく、「卵子の質」も大切な要素です。

いくら卵巣内に卵子が多く残っていても、その卵子の質が悪いと、妊娠につながらない恐れがあります。逆に、卵子が少なくなっていても、卵子の質が良ければ、不妊治療で妊娠できる可能性があるかもしれません。

卵子の質は、実年齢が高くなるにつれて下がっていくことがわかっていますが、生活習慣に気をつけることで、老化のスピードを遅らせることはできると考えられています(※1)。

具体的には、次のようなことに気をつけてみましょう。

● しっかり睡眠をとる
● 適度な運動をする
● ストレスをこまめに発散する
● 禁煙する
● お酒を適量に抑える
● ビタミンA・C・Eを摂る

卵巣年齢を正確に知るには検査を受けよう

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年齢が上がるにつれて、卵巣年齢も高くなり(卵子の数が減り)、卵子の質が下がっていってしまうのは、生理的な現象なので仕方ないことではあります。

卵巣年齢を正確に把握したい人は、産婦人科で「抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査」を受けるのもひとつの方法です。発育途中の卵胞から分泌される抗ミュラー管ホルモンを測定することで、卵巣内に残っている卵子の数の目安や排卵障害の可能性を調べることができます。

卵巣年齢は「高いから妊娠できない」「高いから悪い」というものではなく、あくまでも妊娠のタイミングや不妊治療の方針を決める際の目安となるものです。検査結果に一喜一憂しすぎる必要はありませんよ。

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