「おりもの」は、下着が汚れる、においが気になるなど、あまりいいイメージを持っていない人もいるかもしれません。しかし、おりものの変化を見ることで排卵日をある程度予測することができるため、妊娠したい女性にとっては見逃せない体のサインでもあります。今回は、排卵日前後のおりものの特徴や、チェックの方法についてご説明します。
おりものが排卵日前後で変化する理由は?

「おりもの」とは、子宮や腟、汗腺などからの分泌物や、古くなった細胞などが混ざり合った粘液のことです。
おりものは、主に2つの役割を担っています。
一つは自浄作用です。おりものが分泌されることで、細菌や雑菌が腟内に入りにくい状態を作ってくれています。
もう一つは、受精のサポートです。排卵日が近づくとおりものの状態が変化し、精子がおりものの中をスイスイ泳いで腟内を進めるような状態になります。この結果、精子が子宮内へとたどり着きやすくなるのです。
このようにおりものは時期によって役割が変わるため、生理周期に合わせて量や色、状態が変化します。
排卵期のおりものの量や色、粘り気は?

排卵日を含む2~3日間の「排卵期」のおりものには、次のような特徴があります。
排卵期のおりものの特徴
● 量が最も多い
● 透明
● 卵の白身のようなとろみ
● 水っぽい
● 粘り気がある
● 臭いはあまり強くない
おりものにこのような変化が見られたら「排卵が近いんだな」ということがわかりますね。とろみのあるおりものが多くなってきたこの時期に性交をすると、妊娠の可能性を高めることができます。
おりものは排卵日前後でどう変わるの?

それでは、排卵前後のおりものはどのように変化するのでしょうか?次のとおり、「生理後~排卵まで」と「排卵~次の生理開始前まで」の2つに分けて見てみましょう。
生理後~排卵まで
生理が終わったばかりの時期は、おりものの量が最も少なく、サラサラしています。
排卵日が近づくにつれてだんだんとおりものの量が増えていき、とろみを増します。そして前述のとおり、排卵期におりものの量はピークを迎えます。
排卵~次の生理開始前まで
排卵を終えると、おりものの量がだんだん少なくなっていき、ドロッとした状態になります。
次の生理が近くなるとベタベタとしてきて、酸っぱいにおいが少し強くなります。
排卵日をおりもの以外で予測するには?

先述のとおり、「おりものの量が増えて水っぽくなり、指でつまむと伸びる」ようなら、排卵日が近いと考えられます。
他にも、排卵日の当日やその前後に「排卵痛」を感じることや「排卵出血」が起きることもあるため、こうした体の変化を排卵日の参考にすることはできます。
ただし、おりものの観察や排卵痛などだけで排卵日を見極めるのは至難の業です。おりものの変化をチェックするのにあわせて、基礎体温をつけたり、排卵検査薬を使ったりすると、より正確に排卵のタイミングを知ることができますよ。
基礎体温をグラフにつけてみると、上図のように「低温期」と「高温期」の二相に分かれます。低温期の終わりにガクッと体温が落ちる日があり、この日を中心として2~3日間のあいだに排卵が起こると考えられます(※1)。
排卵検査薬は、排卵直前に分泌量が増える「LH(黄体形成ホルモン)」を感知すると陽性反応を示すもので、陽性が出たタイミングで性交をすると妊娠の可能性が高まりますよ。
排卵日以外に、おりもので病気もわかる?

女性にとって、おりものは健康のバロメーターです。おりものの色やにおい、状態を日々チェックすることで、排卵だけでなく病気のサインも見つけられるかもしれません。
おりものからわかる異常のサインには、次のようなものがあります(※1)。当てはまるものがあれば、なるべく早めに婦人科を受診してくださいね。
おりものの色
正常なおりものは、透明か、少し白っぽい色をしています。おりものが黄色、緑色、灰白色などをしている場合は、腟炎や感染症の恐れがあります。
おりもののにおい
少し酸っぱいにおいがするくらいであれば、通常のおりものですが、生臭い場合は腟トリコモナス症など性感染症が原因の可能性もあります。
おりものの状態
おりものに膿(うみ)が混じる、カッテージチーズのように白くポロポロとする、細かく泡立っているなどの状態が見られるときは、腟カンジダ症など性感染症が潜んでいる場合もあります。
おりものをチェックして排卵日を把握しよう

月に一度の排卵日なので、より正確にタイミングをつかみたいですよね。その手掛かりのひとつとして、日頃からおりものの状態を意識して見ておくと、排卵日をある程度予測できるようになるかもしれません。
おりものの色やにおい、状態などに気になる変化があるときは、そのまま放っておかず、早めに婦人科を受診してくださいね。