「妊娠前や妊娠中に葉酸サプリを摂取した方がいい」と聞いたことはあっても、明確な理由を知らない人もいるのではないでしょうか。葉酸サプリは、食品だけでは必要量を摂取するのが難しい葉酸を手軽に摂取できるので、その効能や効果を知ったうえで積極的に飲みたいですね。今回は、葉酸サプリの成分が持っている働き（効能）により、どんな結果（効果）が期待できるかについてご紹介します。
妊婦さんは葉酸サプリを摂取した方がいい？
葉酸はビタミンB群の一種で、妊娠前や妊娠初期に特に必要とされる栄養素です。通常の食品や食材から摂れる天然の葉酸と、サプリメントなどの栄養補助食品に含まれる合成された葉酸の2種類があります。
厚生労働省によると、天然の葉酸は体内に消化吸収されるまでの代謝過程で様々な影響を受けるため、利用効率が50%以下と推定されています。また、水に溶けやすいため、調理による損失も大きいという特徴があります。
一方、合成された葉酸は、天然の葉酸とは構造が違うので、より安定的かつ効率的に体内に摂り入れることができるとされています（※1）。
この後に説明する、胎児の神経管閉鎖障害が発症するリスクを下げるため、厚生労働省は、妊娠を計画している、もしくは妊娠中の女性に対し、食品からの葉酸摂取に加えて、サプリメントなどの栄養補助食品から1日400µg（0.4mg）の葉酸を摂取するよう推奨しています。
ただし、厚生労働省は1日当たりの上限摂取量を1,000μg（1mg）としているので、過剰摂取には注意しましょう（※2）。
葉酸サプリの効能は？
葉酸サプリには、主に以下のような効能があります。
細胞の生成やDNA形成に役立つ
葉酸は、タンパク質の合成や細胞の新生に必要なDNAを作るのに重要な役割を果たします。DNAは遺伝情報を保有しているので、受精卵が細胞分裂を繰り返す妊娠初期や、胎児が発育する妊娠期間全般において必要不可欠です（※3）。
赤血球の生成を助ける
葉酸はビタミンB12とともに、赤血球を作るのを助ける働きがあります。赤血球は4ヶ月で死滅しますが、新しい赤血球を作るときに葉酸やビタミンB12が足りないと正常な赤血球ができず、貧血を引き起こす可能性があります（※3）。
葉酸が持つこうした働きにより、妊活中や妊娠初期・中期・後期において、いくつかの効果が期待できます。それでは、次からは葉酸サプリを摂取することで期待できる効果を一つずつ見ていきましょう。
葉酸サプリの効果その1. 神経管閉鎖障害の発症リスクを減らす
妊娠初期は、お腹の赤ちゃんの細胞増殖が活発に行われる時期です。この時期に適切な量の葉酸サプリを摂取することで、赤ちゃんが「神経管閉鎖障害」を発症するリスクを低減することができます。
神経管閉鎖障害とは、脳や脊髄を作るもとになる「神経管」が塞がらず、脳や脊髄が正しく成長できなくなる疾患です。神経管閉鎖障害の一つである「二分脊椎症」の主な原因はいくつかありますが、そのうちの一つが葉酸の摂取量不足だとされています（※4）。
葉酸サプリの効果その2. 流産が起きるリスクを下げる
1992～2009年にアメリカのハーバード公衆衛生大学院が実施した調査によると、葉酸を全く摂取していないグループの流産リスクを「1」とすると、葉酸サプリを最も多く摂取していたグループの流産リスクはそれよりも低い「0.8」でした（※5）。
初期流産のほとんどは妊婦さんの努力や医学で防ぐことができないものの、この調査結果を踏まえると、葉酸サプリを摂取することは自然流産のリスク低下と関連していると考えられます。
葉酸サプリの効果その3. 貧血を予防する
妊娠中は、血液を通じてお腹の赤ちゃんに酸素や栄養を送り込むため、貧血に悩まされる妊婦さんが多くいます。
貧血の予防には鉄分が有効だということはよく知られていますが、先述のとおり、葉酸も赤血球の生成に役立ちます。貧血予防のために妊娠中期・後期にも葉酸サプリを摂り続けることをおすすめします。
葉酸サプリの効果で健康な赤ちゃんを！
今回ご紹介したとおり、妊活中から妊娠初期、後期にわたって、葉酸サプリを摂取することで得られる効能・効果は色々あります。
また、葉酸サプリには、ビタミンB6やB12といった妊娠を望む女性や妊婦さんにとって重要な栄養素も含まれていることが多いので、お腹の赤ちゃんの健康を守るために上手に活用しましょう。
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