生まれたばかりの赤ちゃんの乳首から、白、もしくは半透明の液体が出てくることがあります。「赤ちゃんから母乳が出てきた!?」と驚くことがあるかもしれません。このような症状は「魔乳」「鬼乳」「奇乳」などと呼ばれるものですが、病気なのでしょうか?それとも放っておいていいのでしょうか?今回は、新生児になぜ魔乳が出るのか、原因や対策についてご紹介します。
魔乳とは?原因は?
「魔乳」とは、生後2日~1週間くらいの期間に、新生児の乳首から出てくる液体のことを指します。
「なぜ赤ちゃんから母乳が!?」と驚くママ・パパもいるかもしれませんが、この液体は、妊娠中に、お母さんの女性ホルモンが赤ちゃんへ移行して、そのホルモン作用の影響を受けて新生児の乳腺が刺激されて出てくるものです。色は、白、もしくは半透明で、症例は女の子のほうが多いですが、男の子にも出ることがあります。
なぜ「魔乳」と呼ばれるのかというと、古くヨーロッパでは「魔女が薬を作るために、赤ちゃんの乳を搾りにくる」と信じられていたためで、欧米では「Witch’s Milk」と呼ばれています。
魔乳が新生児に見られたら、病院に行くべき?
もし赤ちゃんから魔乳が出ていたとしても、1週間ほどでおさまるものですが、まれにもっと長く出続ける場合もあります。
しかし、魔乳が出ているからといって、赤ちゃんに何か問題があるというわけではありません。対策は特に必要なく、乳が出てきたら綺麗に拭き取ってあげる程度で良いでしょう。
「魔乳が出たら搾って出してしまったほうがいい」という話を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、無理に搾る必要はありません。この考えは、前述した欧米での「魔女が搾りに来る」という言い伝えによるものです。
乳が出るからといって新生児の乳首を刺激して無理に出そうとすると、雑菌が入ってしまう危険性があります。自然に出てきたら拭くだけで問題ありませんよ。
新生児期を過ぎても魔乳が出ることがあるの?
赤ちゃんが新生児期を過ぎたあとに魔乳が出ることはありません。ただし乳幼児期には、やはりホルモンバランスによる変動で乳腺と乳房、場合により乳首の変化が見られることがあります。多くの場合が両方とも大きくなりますが、片側だけの場合もあります。
こちらも魔乳と同様、ほかに症状が見られなければ特に治療の必要はなく、数ヶ月ほどで自然にもとに戻ることが多いものです。3歳くらいまでの女の子に多く見られますが、男の子にも症例があります。
この原因は明らかではありませんが、女性ホルモンが一時的に多く分泌されることなどが考えられています。同様の症状は思春期の男の子にもみられますが、成長の一過程なので、深刻に考える必要はありません。
新生児には魔乳だけじゃなく、月経もあるの?
新生児期にママやパパをびっくりさせる現象は、魔乳のほかに「新生児月経」というものがあります。
新生児月経とは、生後3~5日目くらいの女の子の性器から、少量の出血が起こる現象のことです。
ママのお腹にいるとき、赤ちゃんはへその緒を通じて栄養分をもらい、ママの女性ホルモンの影響で赤ちゃんの子宮内膜は厚くなっています。
しかし、産まれた後にへその緒を切ってしまうと、ママからの女性ホルモンの供給が止まるため、血液中の女性ホルモンが急激に減り、子宮内膜がはがれて体外に排出されます。
つまり、大人の女性の月経と同じような症状が赤ちゃんにも起こるというわけです。
新生児月経はおむつに少し付くくらいの出血量で、1週間ほどで自然に治まります(※1)。特別な処置は必要なく、基本的には病院を受診する必要はありません。
ただし、出血量が多かったり、出血時に激しく泣く、便に血が混じるなどの症状があったら、早めに小児科を受診するようにしましょう。
魔乳が新生児から出ても慌てず様子を見よう
新生児月経と同様、魔乳は病気ではありません。赤ちゃんが元気で機嫌がよければ特に問題はないので、様子をみるようにしましょう。
自分で意思を表現できず、会話が成立しない赤ちゃんだけに、ママやパパにとっては不安なことが多いと思います。慌てずに情報を調べる、小児科医や助産師さんに相談するなどしてひとつひとつ対処していきましょう。
特に魔乳は、その原因を知ると、ママと赤ちゃんがつながっていたという証拠だということがわかり、より赤ちゃんとの絆を強く感じることができそうですよね。
ママ・パパになると心配なことも増えますが、嬉しいこともたくさん増えます。日々じっくり赤ちゃんと向き合って、子育てを楽しんでくださいね。