「月経は大人の女性になった証し」といわれますが、時として生まれたばかりの赤ちゃんにも生理のような現象が起こることがあるのをご存じでしょうか。深刻な症状ではありませんが、出血という状況だけにママとしては不安になりますよね。そこで今回は、新生児月経の原因や症状、対処法についてご説明します。
赤ちゃんにも生理がくる!?新生児月経とは?
新生児月経とは、生後3~5日目くらいの女の子の新生児の性器から、少量の出血が起こる現象を指します。しかし、すべての子に起こるわけではありません。
新生児月経の原因は?
ママのお腹の中にいる赤ちゃんは、へその緒を通じてママから栄養分をもらっています。このとき、ママの女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)が赤ちゃんの体内に多く入ると、その作用で赤ちゃんの子宮内膜が分厚くなります。
ところが、出生してへその緒を切ると、ママから受けていた女性ホルモンの影響がなくなり、赤ちゃんの血液中に含まれる女性ホルモンが急激に減ります(※1)。
その結果、子宮内膜がはがれて体外に排出されるという月経(消退出血)の仕組みと同じ状況が起こり、出血につながるのです。つまり、メカニズムとしては通常の月経と同じです。
新生児月経の症状は?
新生児月経の量はおむつに少しつく程度で、たいていは3~7日ほどで自然に治まります(※2)。ママからの女性ホルモンの作用でおりもの(帯下)がわずかに出ることもありますが、これもごく少量です。
ダラダラ流れ続けたり、貧血につながるようなレベルの出血は起こらず、PMS・生理痛のような痛みによる症状も起こらないので、特別な処置は必要ありません。また、基本的には経過を見るだけで良いでしょう。
新生児月経で対処は必要?
おむつに少量の血がつく程度であれば心配はいりませんが、以下のような症状がある場合は、新生児月経ではなく何らかの疾患にかかっている可能性があります。
● 出血量が多い
● 1週間以上出血がおさまらない
● 出血時に激しく泣く、もしくは機嫌が悪い
● 便に血が混じる、または黒っぽい便が出る
出血とともにこうした症状があったら、早めに小児科を受診しましょう。病院に行く際には血液や便のついたおむつを持っていくと、出血の量や状態からより正確な診断が受けられます。
新生児月経のほかに「魔乳」が見られることもあるの?
ママからもらう女性ホルモンの影響で起こる現象は、ほかにもあります。
新生児の乳首から母乳のように白い、もしくは半透明の液体が出ることがあります。これは、女性ホルモンの作用で赤ちゃんの乳腺が刺激されることで起こります。
この現象は、その昔ヨーロッパで「魔女が薬を作るために搾りにくる」と信じられていたことにちなんで「魔乳」と呼ばれます。
魔乳は女の子に起こりやすい現象ですが、新生児期の乳腺には性差がないため、男の子でも魔乳が出ることがあります。この魔乳も、新生児月経と同じく1週間程度で治まるものなので、無理に搾ったりせず、そのまま様子をみてあげてくださいね。
新生児月経は、焦らず落ち着いて様子を見ましょう
初めて見たときは「何が起こったの?」「赤ちゃんは大丈夫なの?」とママにとってはとても心配になってしまう新生児月経。しかしその仕組みを知ると、妊娠期間中に赤ちゃんとママがしっかりつながっていた証しと考えることもできますね。
その正体はちょっとした女性ホルモンのいたずらです。赤ちゃんが元気そうであれば特に治療の必要はないので、まずは落ち着いて様子を見ましょう。