血栓性静脈炎とは?原因や治療法は?産褥期に起きやすいの?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。沖縄県立中部病院 総合周産期母子医療センターを経て、板橋中央総合病院に勤務。産婦人科専門医、周産期専門医として、一般的な産婦人科診療から、救急診療、分... 監修記事一覧へ

出産で変化したママの体は、時間をかけて妊娠前の状態に戻っていきます。体が回復するまでの期間を「産褥期」と呼び、この期間には、様々なマイナートラブルが発生することがあります。そのひとつが「血栓性静脈炎」です。予防もできるので、事前にしっかりと知っておきたいですね。今回は血栓性静脈炎の原因や症状、治療法、予防法などをご説明します。

血栓性静脈炎とは?

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血栓性静脈炎は、皮膚の表面に近い場所にある静脈に血栓(血のかたまり)ができ、炎症が起こることをいいます。足の静脈に発生しやすい病気ですが、鼠径部(そけいぶ)や腕に起こることもあります。

血栓性静脈炎の症状は?

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血栓性静脈炎になると、炎症が起きている静脈に沿うようにしこりができます。しこり部分は、赤くなり、痛みを伴います。

赤みや痛み以外にも、発熱や悪寒などの症状が見られることもあり、ひどくなると、足全体が腫れ上がることもあります。これらの症状は急に現れるのが特徴です。

また、血管がこぶのように膨らむ、「静脈瘤」を併発することもあります。静脈瘤になると、足のむくみやだるさ、かゆみなどの症状が現れます。

血栓性静脈炎の原因は?産褥期になるの?

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長期間のベッドでの安静や脱水など、様々な原因で静脈に血栓ができ、それに伴って炎症が起こることで、血栓性静脈炎になることがあります。特に、肥満の人や高齢の人は、血栓性静脈炎になるリスクが高くなります。

また産褥期は、体内の血液を固めようとする働きが強いうえ、大きくなった子宮が静脈を圧迫するため、静脈に血栓ができやすい時期です。そのため、血栓性静脈炎にもなりやすいとされています。

血栓ができる原因は様々ですが、なかには下記のような病気が潜んでいることがあります。

ベーチェット病

「ベーチェット病」とは、口・外陰部の潰瘍や、目・皮膚の炎症が特徴の全身性の病気です。なかでも、静脈に血栓ができるものを「血管ベーチェット」と呼び、早めの治療が大切です。

バージャー病

末梢血管まで塞がってしまう「バージャー病」は、手足が血液不足になり、最終的にただれたり、壊死したりすることもある病気です。タバコが原因とされており、女性より男性によく見られます。

悪性腫瘍(がん)

がんになると、血液が固まるように促す物質が放出されるため、血栓ができる可能性が高くなります。

膠原病

「膠原病」は免疫系の病気で、血管や皮膚、関節などに炎症が起こることで、全身に様々な症状が現れます。関節リウマチや皮膚筋炎などが代表的です。

膠原病になるといろいろな合併症を発症しますが、その合併症のひとつに、血栓性静脈炎があります。

血栓性静脈炎の治療方法は?

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血栓性静脈炎は、しこりや痛みが生じている部分に湿布をはり、安静にしていれば自然と治ることがほとんどです。痛みが強いときは、鎮痛剤を服用することもあります。

炎症自体は短期間で治りますが、痛みや腫れが完全になくなるまでは、数週間程度かかることもあります。症状がつらく、早く軽減したいときには、血栓を除去することもできます。

しかし、血栓性静脈炎のなかでも、「静脈血栓塞栓症」には注意が必要です。

血栓性静脈炎は血栓と炎症がセットで起こりますが、静脈血栓塞栓症は血栓ができるときに炎症が伴わないこともあります。足の腫れや痛みが主な症状です。

ひどくなると血栓が血管のなかを飛んでいき、肺動脈に血栓がつまることで呼吸困難を引き起こす「肺血栓塞栓症」になることもあります。

肺血栓塞栓症は、妊産婦の死亡原因の第3位にもなっている危険な病気で、急いで治療を行う必要があります(※1)。

血栓性静脈炎自体はそこまで危険な病気ではありませんが、症状だけでは静脈血栓塞栓症との違いを見分けられません。痛みや腫れなどの異常を感じたら、自己判断せず、必ず病院を受診してください。

産褥期の血栓性静脈炎は予防できる?

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産褥期に血栓性静脈炎を予防するためには、血栓ができないように心がけることが大切です。具体的には、下記のようなことに注意してみましょう。

妊娠中に体重をコントロールする

肥満になると、血液が滞り、血栓ができやすくなります。体重が増えすぎないように妊娠中から意識することで、産褥期の血栓性静脈炎の予防につながりますよ。

少しずつ動くようにする

産褥期は、疲れを取るためにあまり動かないこともあるかもしれませんが、安静にしすぎていると、筋肉が血液を送り出す機能が弱まり、血液が滞りやすくなります。

これによって血栓ができる可能性が高くなるので、産後は様子を見ながら少しずつ動くようにしましょう。最初は、寝ながら足を動かす産褥体操などがおすすめですよ。

産褥期は体調が変化するときなので、無理はせず、体調をみながら体を動かしていきましょう。また、帝王切開などで医師から安静にするように指示が出ている期間は、その指示に従いながら、足首などを動かすようにしてくださいね。

水分をしっかり摂る

体内に水分が足りなくなると、血栓ができやすくなります。出産後はこまめに水分補給を行うようにしましょう。

弾性ストッキングを着用する

足首からふくらはぎにかけて適度に着圧してくれる「弾性ストッキング」の使用も、血栓予防に効果的です。弾性ストッキングをはくことで、足の血液が流れやすくなり、血行の改善も期待できますよ。

産褥期は血栓性静脈炎に注意して

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ママは出産によって体調が変化するので、産褥期の過ごし方は、体の回復具合によって人それぞれ異なります。

そのため、無理をする必要はありませんが、血栓性静脈炎にならないように、ずっと安静にしているのではなく、運動や水分補給を大事にした生活を送りましょう。

また、血栓性静脈炎は産褥期以外にもかかる病気です。産褥期を超えても、足がむくむ、腫れているなどの異変を感じたら、速やかに病院を受診しましょう。

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