初産とは?初産婦と経産婦は何が違うの?妊娠・出産時の注意点は?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

妊娠していることがわかると、新しい命がお腹のなかに宿っている喜びを感じる一方で、「無事に生まれてくるかな?」と不安な気持ちが入り交じる人も多いかもしれません。初めての出産であれば、なおさらではないでしょうか。

今回は、初めて出産を経験する「初産婦(しょさんぷ)」と、すでに出産の経験がある「経産婦(けいさんぷ)」ではどんな違いがあるのか、また初産の場合は妊娠中にどんなことに気をつけたらいいのかをご紹介します。

初産とは?平均年齢は?

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初産とは、読んで字のとおり「初めて子どもを産むこと」や「最初の出産」を意味します。

2022年の人口動態統計によると、同年の出生数77万747人のうち、第1子の数は35万5,523人で、約46%が初産の子どもという計算です(※1)。

また同統計によると、初産の女性の平均年齢は30.9歳です(※1)。

初産婦と経産婦は何が違うの?

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初産婦でも経産婦でも、妊娠経過については大きな違いはほとんどありません。しかし、分娩時間や後陣痛などに差異があるようです。

初産婦の方が分娩時間が長い

陣痛が規則的に10分間隔ぐらいになってから、子宮口が全開大になるまでの「分娩第Ⅰ期」は、経産婦が4~6時間であるのに対し、初産婦は10~12時間程度かかることが多いです(※2)。

また、子宮口が全開大になってから、赤ちゃんが生まれるまでの「分娩第Ⅱ期」に要する時間は、経産婦は30分~1.5時間ですが初産婦は1~3時間とされています(※2)。

分娩時間には個人差があるので、あくまでも目安ですが、一般的には経産婦よりも初産婦の方が長い時間がかかることが多いです。

経産婦の方が後陣痛を感じやすい

後陣痛とは、産後の「子宮復古」に伴う下腹部の痛みを指します。

「生理痛に似た鈍い痛み」「針でチクチク刺されるような痛み」など痛みの程度は人それぞれですが、経産婦はかなり強い痛みを感じることもあります(※2)。

これは、初産婦より経産婦の方が、子宮が回復するための収縮が一気に進むことが原因とされています。

「高年初産」とは?リスクはあるの?

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35歳を過ぎてからのはじめての妊娠・出産することを「高齢初産(高齢出産)」といいます(※3)。

個人差はありますが、高齢初産では母体への負担が増えるため、妊娠中に体調不良や病気になりやすいといわれています。

特に、35歳以上になると「妊娠糖尿病」、40歳以上になると「妊娠高血圧症候群」の発症のリスクが高くなります(※2)。

どちらもママと赤ちゃんの命に関わる恐れがあるので、健康的な生活や適切な体重増加を心がけることが大切です。

他にも、流産の原因にもなり得る子宮筋腫や、胎盤が子宮口を塞いでしまう前置胎盤などを発症する確率が上がるとされています(※4,5)。

また加齢による受精卵の染色体異常が起こる頻度が上がるため、流産のリスクも高くなります(※2)。

自然流産は全妊娠の約15%に起こりますが、年齢を重ねるにつれて発生頻度が高くなり、40歳以上では約半数が流産するというデータもあります(※6)。

初めての妊娠で気をつけるべきことは?

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妊娠中は初産・経産婦に問わず、無理は禁物です。ここでは、初めてのことばかりで戸惑うことが多い初産婦さんが妊娠中に気をつけたいポイントをいくつかご紹介します。

健康的な生活を送る

● 栄養バランスのよい食事を心がける
● 妊娠経過に問題がなければ適度に体を動かす
● 睡眠と休息をしっかりとる

無理をしない・ストレスを溜めない

● 家事の分担や日常生活のサポートをパートナーや家族、自治体のサービスなどに頼む
● 仕事をしている場合は、通勤時間をずらすなど無理のない働き方ができるように職場に相談する
● ストレスを溜めこまないよう、自分なりのリラックス方法を見つける

妊婦健診を必ず受ける

● 妊婦健診は必ず受け、医師や助産師の指示を守る
● お腹の痛みや出血など、いつもと違う症状がみられたら、次の妊婦健診を待たずに受診する

初産でも心配しすぎず健康的な妊婦生活を送ろう

初めての妊娠・出産は、わからないことだらけで不安も多いかもしれません。気になることがあったら、かかりつけの医師や助産師に相談したり、先輩ママの体験談を聞いたりしましょう。

健康に気をつけながら、初めてのマタニティライフを楽しめるといいですね。

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