赤ちゃんが受ける予防接種の中に「BCGワクチン」というものがあり、名前を聞いたことがある人も多いと思います。では、具体的にどんな病気から赤ちゃんを守るための予防接種なのでしょうか?今回はBCGワクチンについて、予防接種を受ける時期や間隔、副反応が現れるのかどうかなどをご説明します。
BCGワクチンとは?
BCGは、結核菌の感染を予防するためのワクチンです。結核菌に感染して重症化すると、全身に影響が出て、腎臓や骨、リンパ節などに悪影響を及ぼす恐れがあります(※1)。脳に影響が出ると、髄膜炎が引き起こされることもあります。
厚生労働省によると、乳幼児のときに予防接種を受けることで、その後の結核の発症を52~74%は抑えられ、重症化するリスクも64~78%は予防できると報告されています。
その効果は10~15年は続くと考えられているため、万が一に備えてできるだけ早めに予防接種を受けましょう。
BCGワクチンの予防接種を受ける時期は?
BCGワクチンの予防接種は、定期接種に指定されています。1回の接種のみですが、厚生労働省によると、定期接種として受けられる期間は1歳までで、生後5~8ヶ月未満の間に受けることを推奨しています(※2)。
ほかのワクチンと同時接種することもできるので、かかりつけの小児科医に相談のうえスケジュールを組みましょう。
生後5~8ヶ月未満の間に受けるのが基本ですが、結核の発生状況などにより、地域によっては生後5ヶ月より前に接種することもあります。その場合も定期接種として受けることができるので、自治体からの指示に従って受けるようにしましょう。
BCGワクチンの費用は?
先述したとおり、BCGワクチンは定期接種に含まれているため、定期接種の期間内に受ける場合は無料になります。
生後1歳を過ぎてからBCGワクチンの予防接種を受けると、免疫反応が過剰に引き起こされることがあるため、一般的には行われません。やむを得ず受ける場合も、任意接種となり、費用が自己負担となるので注意しましょう。
また、長期の入院などによって1歳までにBCGワクチンを接種できなかった場合は、1歳をすぎても定期接種として受けることができます。接種できない事情があったときは、自治体の保健センターなどに相談してみてください。
BCGワクチンの予防接種後に副反応は現れる?
BCGは毒性を弱めた結核菌を体内に直接入れ、免疫反応を起こす「生ワクチン」なので、接種後に副反応が現れることがあります。重度の副反応が現れることは稀で、一般的には接種部位が赤くなったり腫れたりすることがある程度です。
重度の副反応には骨炎や全身へのBCG感染症がありますが、厚生労働省によると、平成25年では90万人がBCGワクチンを接種して、骨炎が10件、全身の症状が2件報告されています。心配しすぎる必要はありませんが、接種後しばらくは、赤ちゃんの変化に注意してあげてくださいね。
また、よく見られる副反応として、接種後2週間ほど経ってから針の跡の部分がジュクジュクして膿のようなものが出てくることがあります。しかし、これは抗体をつけるための反応で1ヶ月くらいすればかさぶたになって自然に治まってきます(※1,3)。
ただし、ジュクジュクと膿んだ状態が数ヶ月以上続くようなとき、わきにリンパ節のような塊がある場合は、早めに接種した小児科や保健センターに相談してください。
BCGワクチンの予防接種の跡は残るの?
BCGはほかの予防接種とは違い、細い針が9本ついたスタンプのような注射を二の腕に2ヶ所押し付けて打つため、跡が残りやすいという特徴があります(※3)。ママやパパの二の腕にも注射跡が残っているかもしれません。
注射跡が残るかどうかについては個人差があり、成長過程でほとんど目立たなくなる人もいれば、うっすらと注射跡が残ってしまう人もいるので、注射跡を気にする人も多いと思います。
しかし、それを嫌って予防接種を躊躇すると結核のリスクが高まってしまいますし、接種する場所を変えると皮膚が過剰反応をおこしてケロイドを作るなど弊害があります。子供の健康を守るためにも、適切なタイミング・決められた場所へ予防接種を受けさせてあげてください。
BCGワクチンの予防接種をスケジュールに組み込もう
赤ちゃんが生まれてしばらくすると、予防接種が始まります。特に生後2〜3ヶ月頃から2歳になるまでの間は予防接種の種類も多く、スケジュールをやりくりするのも大変です。
しっかりと保健センターやかかりつけの小児科医とスケジュールを相談して、アプリなども利用しながら、無理なく接種できる予定を組んでおきましょう。
赤ちゃんの体調が悪くなり、予定を変更しなければいけないこともありますが、早めにスケジュールを組み直してあげてくださいね。