「ハンコ注射」という名前で知っている人も多いBCGの予防接種。他の予防接種と違って、細い針が複数ついたハンコ型の注射を打つため、注射した後の対処について戸惑うこともあるかと思います。BCG接種後のお風呂も、その一つ。今回はBCGの予防接種を受けた日にお風呂に入ってもいいのか、入浴するときに気をつけるべきことはあるのかなどをご紹介します。
BCGとは?
BCGとは、結核菌の感染を予防するためのワクチンです。生後5〜12ヶ月未満に接種すれば、定期接種扱いになるので、基本的に費用はかかりません。
抵抗力が弱い乳幼児が結核菌に感染すると、全身感染である髄膜炎や粟粒結核などの重症になりやすく、日本小児科学会は生後5~8ヶ月の間に、BCGの予防接種を受けることを推奨しています(※1,2)。
BCGを接種する際は、腕にワクチンの液を垂らし、複数の針がついたハンコ型の注射を上腕に2つ押し付けます。その後、自然乾燥するまで待ちます。
乾かしている間、そして乾いた直後は、注射を押したところを揉んだり、強くこすったりするのは避けてください。
厚生労働省によると、乳幼児期にBCGを接種した場合、結核の発症を52~74%ほど、重篤な髄膜炎や全身性の結核を64~78%ほど予防することができます。そして、BCGを一度接種すれば、その効果は10~15年ほど持続するとされています(※3)。
BCGの予防接種後はお風呂に入れる?
痛々しい注射の跡を見て「お風呂に入れると、腫れがひどくなりそう」と心配になるかもしれませんが、発熱などの症状が出ていなければ、予防接種を受けた日にお風呂に入っても構いません。
生後5~8ヶ月頃の赤ちゃんはたくさん汗をかいて、体が汚れていることもあるので、お風呂に入って、体をきれいにしてあげてください。
BCG接種後にお風呂に入るときの注意点は?
BCG接種後にお風呂に入ることはできますが、入浴時や体を拭くときに、できるだけ注射跡を触らないように気をつけましょう。
注射跡がある肌の部分は傷ついているので、揉んだりこすったりすると、傷口が開いて痛みが強くなったり、腫れがひどくなったりする恐れがあります。
また、石鹸やシャンプーの泡が注射跡につくと、しみて痛みを感じるかもしれないので、基本的にはお湯で優しく流すだけにしましょう。注射跡を刺激してしまわないか不安であれば、汗をたくさんかいているところだけにシャワーをかけてください。
BCGの副反応が出たら、お風呂はどうする?
BCGは毒性を弱めた結核菌を体内に注入する生ワクチンなので、予防接種後に発熱や腫れなどの副反応が現れることがあります。
接種後10日〜1ヶ月の間に、注射跡が赤くなったり、膿ができたりするのがBCGの一般的な副反応です。1~2ヶ月後に、脇の下のリンパ節が腫れることもあります(※4)。
副反応によって体調が悪くなっているときや、熱が出ているときは、お風呂に入るのは控えましょう。
注射跡の化膿が2ヶ月経っても治まらない、膿がひどい、脇の下が2cm以上腫れているなどの場合は、病院を受診してください(※4)。また、上記の反応が3〜5日で見られる場合にも受診をおすすめします。
BCG接種後は様子を見ながらお風呂で体をきれいに
発熱などの副反応も現れていないのに、BCGの注射を打ったところを刺激するのが怖くて、赤ちゃんをしばらくお風呂に入れないようにしていると、肌に汚れが溜まり、あせもなどの肌トラブルを起こす可能性があります。
お風呂にきちんと入れることは、新陳代謝が活発な赤ちゃんの肌の健康を保つことにつながります。BCGの予防接種を受け日にお風呂に入れる際は、副反応に注意しながら、赤ちゃんの体をきれいにしてあげてください。