夏になると、プール熱やはやり目といった病気が幼稚園や保育園、小学校で流行することがあります。これらの感染症は、「アデノウイルス」と呼ばれるウイルスによって引き起こされます。それでは、アデノウイルスとは、一体どんなウイルスなのでしょうか?どうしたら感染を防げるのでしょうか?今回はアデノウイルスについて、感染したときの症状や治療法、予防法などをご紹介します。
アデノウイルスとは?
アデノウイルスとは、発熱や咽頭炎、結膜炎などの病気を引き起こすウイルスです。その型は約50種類あるので、感染する型によって症状が異なるのが特徴です(※1)。
アデノウイルスは、主に夏に流行しますが、1年を通して感染する可能性があります。
アデノウイルスの感染経路は?乳児も感染する?
アデノウイルスの感染経路は、感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染と、感染者の糞便に触れる糞口感染です(※3)。感染力は強く、保育園や幼稚園、小学校など集団生活をするところで感染が拡大することもあります。
感染しても、潜伏期間が5~7日ほどと長いので、感染したことに気づかないまま周囲の人にうつしてしまう危険性があります(※1)。
感染者がウイルスを家に持ち帰れば、乳児でも感染してしまいます。特に抵抗力が弱い乳児やお年寄りは重症化しやすいので、うつさないように注意する必要があります。
アデノウイルスに感染すると、どんな症状が現れる?
アデノウイルスは感染するウイルスの型や体の部位によって、発症する病気と症状が異なります。
プール熱(咽頭結膜熱)
プール熱は、アデノウイルス3型が主な原因で起こる病気です。発症すると、数日続く高熱、喉の痛み、結膜炎といった症状が現れます。
はやり目(流行性角結膜炎)
はやり目は、8型や19型、37型などのアデノウイルスに感染することで発症します。主な症状としては、目の充血や目やに、目の中のゴロゴロとした違和感が挙げられます。
胃腸炎
胃腸炎は、主に31型や40型、41型のアデノウイルスが原因で起こります。乳幼児が発症することが多く、発熱や腹痛、嘔吐、下痢といった症状が現れます(※1)。
出血性膀胱炎
出血性膀胱炎は、膀胱の粘膜が出血し、炎症を起こしている状態です。血尿や頻尿、排尿時の痛みが見られるのが特徴です。
肺炎
7型のアデノウイルスによって肺炎が引き起こされると、高熱や激しい咳などの症状が現れます。
扁桃炎
アデノウイルスが扁桃腺に感染し、扁桃炎を起こすことがあります。発症すると、発熱が3〜4日続いたり、扁桃腺が腫れ、表面に白い膿が出てきたりします。
アデノウイルスによる感染症の診断・治療方法は?
アデノウイルスによる感染症が疑われる場合、症状を見たうえで、喉の粘膜や結膜をぬぐった液、糞便にアデノウイルスがいるかどうかを調べて、診断が行われます(※2)。
アデノウイルス感染症には、特効薬はありません。対症療法を行うのが基本で、発熱や喉の痛みなど現れている症状を和らげる薬が処方されます。
家庭では安静にしながらこまめに水分補給を行い、しっかりと休養を取らせるようにしてください。
アデノウイルスに感染しないための予防法は?
アデノウイルスの感染を予防するためには、手洗い・うがいを徹底することが大切です。手を洗う際は、石鹼を使うようにしましょう。
家族内で感染者が出た場合は、感染を広げないためにも他の家族との接触やタオルの共有は、完治するまで控えます。飛沫感染を防ぐためにも、感染者はマスクを着用するようにしましょう。
また、アデノウイルスに感染している子供のお世話をした後は、必ず手を洗ってください。特に赤ちゃんの便を処理する際は、できるだけ便に触れないようにするなど、注意が必要です。
アデノウイルスから赤ちゃんを守ろう
前述の通り、抵抗力が低い赤ちゃんがアデノウイルスに感染してしまうと、発熱が長引き、症状が悪化する恐れがあるので、感染症にかからないための予防を心がけることが大切です。
通っている幼稚園や保育園で、アデノウイルスの感染症が流行していないかにも注意を払いながら、ママやパパが感染源にならないように、普段から手洗い・うがいをきちんと行ってくださいね。
一致団結して衛生意識を高め、家族を感染症から守っていきましょう。