生まれてからしばらくの間、赤ちゃんは自分で動くことができないので、移動するときは基本的にママやパパと一緒です。寝返りやハイハイをする前は、目を離した隙に危険な目に遭うということは少ないのですが、ママやパパが抱っこやおんぶで動いたときに、頭をモノにぶつけてしまうことがあります。また、だっこやおんぶから滑り落ちて、地面に頭をぶつけてしまうことも。今回は赤ちゃんの頭をぶつけたときの対処法や、病院へ行く目安などについてご紹介します。
赤ちゃんは頭をぶつけやすい?新生児も注意!
新生児に限らず、赤ちゃんのうちは頭をぶつけやすいものです。赤ちゃんの体は4頭身と頭が大きくて、バランスを崩しやすいだけではなく、抱っこやおんぶから滑り落ちたときなどに受け身がとれず、頭をぶつけがちだからです。
特に新生児期から生後3〜4ヶ月頃までの赤ちゃんは、首がすわっておらず、カクカクとしてしまいます。首をしっかりと支えていないと、ふとしたときに頭をカクンとして、椅子の手すりや机の端に頭をぶつけてしまうことも。
ただ、発達途上である赤ちゃんの頭蓋骨や脳は柔らかく、頭をぶつけたときに、衝撃を吸収するようにできています(※1)。
頭をモノにぶつけた直後は元気にしていても、しばらくして症状が現れることもあるので、赤ちゃんが頭をぶつけたときは注意して対処しなければいけません。
赤ちゃんの頭をぶつけたときは病院へ行くべき?
頭をぶつけても、すぐに症状が出ないことがあるため、最低6~12時間は自宅で安静にして、様子を見ましょう。しばらく安静にして何も症状が現れなくても、頭をぶつけてから2日ほどは、普段と変わったところがないかを注意深く観察する必要があります(※2,3)。
すぐに救急医療病院を受診するべき症状としては、主に以下のようなものがあります(※3)。
・繰り返し嘔吐している
・手足の動きがおかしい
・左右の瞳の大きさが違う
・ぐったりとして意識が朦朧としている
・顔色が悪い
・哺乳が低下している
・呼吸を10秒以上止めている
意識がなかったり、けいれんを起こしたりしているときは、救急車を呼んでください(※4)。口や鼻に顔を近づけたり、胸の動きを観察したりして、万が一赤ちゃんの呼吸が止まり脈がふれない、顔色が悪いといった場合は、救急車が来るまでの間、心肺蘇生の一環として、口からの人工呼吸を行います。
救急車を呼ぶべきか分からないときは、小児救急電話相談(#8000)に連絡しましょう。
ぶつけたところから出血が起こっている場合は、清潔なタオルやガーゼで上から圧迫止血して、病院を受診してください。体が小さく、全体の血液量が少ない赤ちゃんにとって、少量に見える出血でも大きな負担になることがあるので、迅速な対処が肝心です。
また、赤ちゃんの頭のてっぺんには骨がない菱形の「大泉門」という部分があるのですが、ここが膨らんで硬くなっている場合、脳で何らかの異常が起きている可能性があるので、病院を受診する必要があります(※1)。
赤ちゃんの頭をぶつけたときの対処法は?
病院へ行くべき症状が見られず、赤ちゃんが大声で泣いたり、たんこぶができたりしているときは、以下の対処法を行ってください。
大声で泣いている場合
頭をぶつけて赤ちゃんが大声で泣いていたら、抱っこしたり、「大丈夫だよ」と優しく声をかけたりして、落ち着かせてあげましょう。
しかし、いくらあやしても赤ちゃんが泣き止まない場合、赤ちゃんの体に何らかの異変が起きている可能性があるので、病院を受診してください。
たんこぶができている場合
新生児が頭をぶつけて、たんこぶができている場合、たんこぶに外傷や出血がないことを確認し、冷たい濡れタオルなどで患部を冷やしましょう。
長い時間冷やし続けると、凍傷を起こす危険性もあるので、数分程度冷やしたら止めて、時間を置いてからまた冷やすというのを15分程度繰り返してください。
また、体を温めると血流が促進され、たんこぶが悪化することがあるので、その日は沐浴は控え、ぬるま湯で絞ったタオルやガーゼで体を拭くくらいにします。
新生児以降も赤ちゃんが頭をぶつけたときは冷静に対処しよう
新生児期を過ぎると、赤ちゃんは成長して少しずつ動き回るようになり、寝返りやハイハイ、そして歩き始める頃にも、転んだり、よろめいたりして、頭をぶつけることが増えていきます。
子供が元気に遊び回るのを見るのは嬉しいものですが、家具の角にクッションテープを貼ったり、ジョイントマットやラグの上で遊ばせたりするなどして、赤ちゃんが頭をぶつけないための対策を行っていきましょう。
どれだけ気をつけていても頭をぶつけてしまうことはありますが、そんなときは、慌てずに冷静な対処を心がけてください。