赤ちゃんを抱っこしているときに「抱き癖がつくよ」といわれて、不安になったことがあるママは多いのではないでしょうか。そうはいっても、泣いたまま放置するわけにもいかず、どう対応すればいいのか悩んでしまいますよね。今回は、赤ちゃんの抱き癖について、いつからはじまるのか、直す必要があるのか、そもそも「抱き癖」というものがあるのかなどをご紹介します。
赤ちゃんの抱き癖とは?
抱き癖とは、赤ちゃんがママに抱っこされないと、ぐずったり泣き止まなかったりする状態が続き、泣くたびに抱っこを求める癖のことをいいます。「泣けばママやパパが抱っこしてくれる」というのを覚え、抱っこされるために泣いてしまうことがあるともいわれています。
「抱き癖がつく」といわれていたのは、実は昔のこと。スーパーでお買い物をしているときやお出かけ中に、ぐずった赤ちゃんをすぐに抱っこすると、年配の方に「抱き癖がつくよ」といわれたことがある人もいるかもしれませんね。
赤ちゃんの抱き癖はいつから?新生児にもある?直す必要はあるの?
抱き癖がつくのは生後3ヶ月くらいからといわれています。この時期は視力が発達して周りに興味を示し始め、ママやパパを認識して抱っこを要求することが増えてくる頃です。特に1歳くらいまでは抱っこに執着する時期だとされていて、甘えたいときや眠たいときに抱っこを求めてきます。
かつては、抱っこをしないことで自立心を育てるという育児観が主流だったので、抱き癖がつくからなるべく抱っこしないことが推奨されていました。
こうした考えが広まったのは、この時期のママの負担を減らすためとも考えられています。頻繁に抱っこをすることで、ママが赤ちゃんのお世話以外のことができなくなってしまうという、大人の都合が理由の一つだったようです。
しかし現在は、抱っこをしてあげたほうが、赤ちゃんが「自分の欲求を受け入れてもらえた」と認識し、早く泣き止むことが増えるため、直す必要はないという考え方が一般的です。産科の医師や助産師さんからも、そうアドバイスをうけることがほとんどです。
赤ちゃんが泣くのは、何か意味があるからです。ママの愛情がもっと欲しいという意味や、甘える以外にも、転んだり喧嘩をしたりして精神的にショックを受けたときも抱っこを求めることがあります。
3歳くらいまでは抱っこをしてほしいと要求することがあるので、迷わず応えてあげましょう。
赤ちゃんの抱き癖はそもそもあるの?
そもそも、「抱き癖がつく」ということ自体も疑問視されています。抱き癖がついたからよく泣くようになるのではなく、もともとよく泣く子・あまり泣かない子など、個性によるところが大きいとも考えられています。
いずれにしても、抱っこが赤ちゃんにとって良い影響を与えることは、育児に関する研究が進むにつれて明確になってきました。抱っこすると「オキシトシン」という安心感や信頼感を得られるホルモンが分泌され、赤ちゃんはママやパパに愛されていると実感することができるといわれています。
かつての「抱き癖がつくから抱っこは良くない」という考えには根拠がありませんでしたが、現在の「抱っこしてあげたほうが良い影響がある」というという考えには医学的な根拠があります。だからこそ、現在の育児方針として主流になっているのです。
赤ちゃんの抱き癖を心配して抱っこしないとどうなる?
仮に、抱き癖がつくからと抱っこをしなかったとしたら、どうなるのでしょうか?
小児科医の柳澤慧氏は、著書『サイレントベビー』の中で、赤ちゃんの抱っこや声かけにママやパパが応じない状態がずっと続くと、赤ちゃんは「泣いても意味がない」と覚え、感情を表現しなくなる「サイレントベビー」になる可能性があると指摘しています。
「抱き癖が治って泣かなくなった」と、楽になったように感じますが、実はその後の発達に大きな悪影響を与えるきっかけになっているかもしれません。表情が乏しくなったり、発語が遅れたり、対人関係やコミュニケーション能力が伸びなかったりすることがあるともいわれています。
しかし、どうしても手が離せず、何度か抱っこができなかったからといって、すぐにサイレントベビーになるわけではありません。サイレントベビー自体も医学的に証明されたものではなく、病名でもないので、赤ちゃんが泣いているのに抱っこできなかったからといって、心配しすぎる必要はありませんよ。
普段からできるだけ欲求に応えるようにしていれば、赤ちゃんにもそれが伝わります。少し大変な時期ですが、パパや家族と協力して、赤ちゃんと向き合ってあげましょう。
赤ちゃんの抱き癖は気にせず、たくさん抱っこしてあげよう
赤ちゃんを抱きしめることは、心を豊かに育て、情緒を安定させる効果が期待できます。また、その過程で赤ちゃんはたくさんの表情をみせてくれます。同時に、ママやパパの赤ちゃんに対する愛情が育まれることにもつながるので、抱き癖を気にせず、たくさん抱っこしてあげましょう。
すぐに抱っこできないときは、赤ちゃんに何かしらの反応をしてあげることが大切です。「ママはここにいるよ」「今行くからね」と優しく声をかけてあげると良いですね。
赤ちゃんが成長してくると、お友達と遊んだり、外遊びが楽しくなったりと興味の対象が広がり、少しずつ抱っこへの執着がなくなっていきます。それまでの期間はとても短いもの。求められたときは、しっかりと抱きしめてあげてくださいね。