「エストラジオール」という名前を聞いたことはありますか?女性ホルモンの一種で、女性の体にとって重要な役割を果たしています。婦人科系の病気が気になって、血液検査の数値を見て初めて知った、という人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、エストラジオールとはどんなホルモンなのか、基準値や検査方法、正常値から外れたときの影響についてご紹介します。
エストラジオールとは?
エストラジオールは、女性らしさにかかわる女性ホルモン「エストロゲン」を構成する主要成分の1つです。
エストロゲンには他に、エストロンとエストリオールという2つの主成分もありますが、エストラジオールの含有率がもっとも高く、中心的な役割を果たしています(※1)。
エストラジオールにはどんな作用があるの?
エストラジオールはエストロゲンの主要成分ですが、エストロゲン全体には、次のような働きがあります(※1)。
● 女性らしい丸みのある体をつくる
● 着床をしやすくするために子宮内膜を厚くする
● 頸管粘液の分泌を促して精子が入りやすくする
● 骨作りを促す
● 血管を拡張する
エストラジオールの分泌量を生理周期と共に検査すると、子宮内膜が厚みを増し、頸管粘液の量も増えているときには、エストラジオールも増加しています(※1)。エストラジオールは、エストロゲンの主成分として重要な作用を果たしているといえますね。
エストラジオールの値は血液検査でわかるの?
月経異常や不妊症での治療に臨む際には、卵巣が正常に機能しているのかを調べることも多く、卵巣の働きと関係のあるエストラジオールの値が重要になります。
一般的に血液検査が行われ、血液中に含まれるエストラジオールの数値が基準値にあるかどうかで、卵巣が正しく機能しているかを判断します(※2)。
エストラジオールの基準値は?
血中エストラジオールの基準値は、女性の年齢や体の状態によって変化します(※2)。多いときと少ないときではエストラジオールの基準値に20倍以上の開きがあるので、自分の体の状態に合わせた数値を目安にしてください。
生理後経過日数 | 正常値(pg/mL) |
0〜14日目 (卵胞期) |
13〜70 |
14日目前後 (排卵期) |
70〜240 |
14〜28日目 (黄体期) |
70〜160 |
生理なし (閉経期) |
10以下 |
エストラジオールが基準値から外れたときの影響は?
血中エストラジオールの数値が、基準値よりも高い、あるいは低いと、様々な体の変化が見られます。
排卵障害・着床障害
エスラジオールの値が低いと、妊娠しにくくなる可能性があります。エストラジオールには卵胞の成長を助ける働きがあり、必要量が分泌されていないと成熟した卵胞が育たず、排卵まで至らない可能性があります。
また、排卵後にエストラジオールが増加せず低いままだと、子宮内膜が厚くならず受精卵が着床しないという、不妊症の症状が現れることもあります(※1)。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
不妊治療を行う際に排卵誘発剤を使用するとエストロゲンの分泌が増えます。発生頻度は稀ですが、その副作用として卵巣が腫れ上がる「卵巣過剰刺激症候群」が起きることがあります(※3)。
卵巣過剰刺激症候群を早期に発見するポイントとして、血中エストラジオール濃度の急激な増加が挙げられます。
更年期障害
40代前半から50代後半にかけて、自律神経失調による汗や寒気、動機、疲れやすさ、めまいが起き、精神的にも不安定になり、食欲不振や頻尿といった症状が見られることがあります(※1)。
これは、多くの女性が経験する更年期障害の症状で、閉経が近づいてエストロゲン、つまりエストラジオールの値が低くなることで起こります。
エストラジオールを基準値に近づけるには生活改善から
血中のエストラジオールの値を基準値内に保てない原因には、ストレスが大きく関わっているといわれます。生活環境や家庭内の問題などが発生して悩みごとが増えると、エストラジオールの数値も左右されます。
また、妊娠できない焦りなどで心労がかさんでしまうのも体内環境を整える意味ではよくありません。
できるだけストレスをためないように、パートナーや周りの人を頼って、困ったことや悩みがあれば話を聞いてもらうようにしましょう。人に話をするだけでも気持ちがスッキリして、いいストレス発散になりますよ。