夏に流行する子供の感染症は?どんな症状が出る?予防法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

夏にプールやお祭りなど人が集まる場所に行くと、子供が感染症をもらってしまうことがあります。事前に感染症の知識を持っていれば、予防をして子供を感染症から守れますし、感染しても慌てずに対応できますよね。今回は夏に多い感染症の種類や症状、対処法、予防法などをご紹介します。

夏に子供の間で感染症が流行しやすい理由は?

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梅雨が明けてから暑さが本格化する日本の夏には、高温多湿の環境を好むウイルスや細菌が活発に活動するため、夏特有の感染症が流行する可能性が高まります。

また、暑苦しい気候で体力を消耗して免疫力が低下しやすいことも、夏に感染症が流行る原因のひとつだと考えられています。

夏に流行する感染症は?原因や対処法は?

手足口病 発疹 水疱

夏場に流行しやすい感染症としては、主に「手足口病」「咽頭結膜熱(プール熱)」「溶連菌感染症」「ヘルパンギーナ」があります。それぞれの原因と症状、対処法については以下の通りです。

手足口病

手足口病は、コクサッキーウイルスA6やエンテロウイルス71(EV71)などに感染することで引き起こされる感染症です。4歳くらいまでの子供がかかりやすく、感染者の半数は2歳以下の乳幼児です(※1)。

病名の通り、手のひらや足の裏、口の中に水疱性の発疹ができるのが特徴です。37~38度程度の熱が出ることもありますが、1~2日で熱は下がっていきます。

手足口病は基本的に1週間ほどで治まる病気なので、特別な治療は行わず、安静にして対処します。口の中にできた発疹が破れて、痛みが強い場合は、口内炎用の軟膏が処方されることがあります。

頭痛や嘔吐、高熱、ひきつけの症状が出ている場合は無菌性髄膜炎を併発している可能性があるので、早めに小児科を受診してください(※2)。

咽頭結膜熱(プール熱)

咽頭結膜熱は、プール熱とも呼ばれ、アデノウイルスに感染することで発症します。

感染者のくしゃみや咳を吸い込んだり、感染者とタオルを共用したりして感染が広がります。プールの消毒がきちんと行われていないと、プールの水が目や口に入って感染することもあります(※3)。

咽頭結膜熱にかかると、4〜5日続く39度以上の高熱、結膜炎、喉の腫れといった症状が現れます。咽頭結膜熱には特効薬がないため、対症療法で症状を和らげながら安静にします。

発汗や喉の腫れで脱水症状になりやすくなっているため、家では水分補給をしっかり行ってください。

溶連菌感染症

溶連菌感染症は、「A群β溶血性連鎖球菌」と呼ばれる細菌が原因で起こる病気です。多くは、感染者の咳やくしゃみを吸い込むことで感染します。

溶連菌感染症にかかると、主に発熱と喉の腫れが起きます。また、咳や頭痛、腹痛、イチゴのように舌にブツブツができるイチゴ舌、体に淡い紅斑が出現するなどの症状が現れることもあります。

一般的に、溶蓮菌感染症の治療には主にはペニシリン系が使用されます。抗菌薬を服用すると、熱は数日で下がり、喉の痛みは1週間以内に治まる傾向にあります。

医師に指示された服用期間を守らずに、途中で抗菌薬の服用を止めてしまうと、症状が再燃する可能性がありますので処方された分は必ず飲み切るようにしましょう。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナとは、夏風邪の一種で、主にエンテロウイルス属に属するウイルスに感染することで発症します。ヘルパンギーナの患者の90%以上が5歳以下で、割合的に最も多いのは1歳代の子供です(※4)。

ヘルパンギーナの主な症状は38度以上の高熱が出て、喉の奥の方に水疱ができます。喉の水疱ができると、飲み込むごとに痛みが生じるため、食欲不振になることがあります。

ヘルパンギーナの治療では、特効薬がないため、解熱剤を使って熱を下げるなどの対症療法を行います。発熱による発汗や食欲不振で脱水症状になる可能性があるので、家ではこまめに水分補給を行ってください。

夏の感染症はどう予防する?

手洗い 洗面所

夏の感染症は、感染者の咳やくしゃみを吸ったり、ウイルスや細菌がついたタオルやドアノブに触れたりして、感染が広がります。帰宅したら手洗い・うがいをするように習慣づけましょう。

また、プールや運動のあとに友達とタオルを共用すると感染する可能性があるので、タオルの貸し借りをしないように注意してあげてください。家族の誰かがかかったら、感染を拡大させないために、食器やタオルの共用はやめるようにしましょう。

夏の感染症にかからない体づくりも大切

流行しやすい感染症でも、ときには深刻な症状を引き起こすことがあります。日頃から感染症予防に努めると同時に、規則正しい生活や食事を通した十分な栄養摂取を心がけて、感染症に負けない体を作っておくことも大切です。

夏場は夏バテで食欲不振になったり元気がなくなったりすることもありますが、いつもと様子が違い感染症の疑いがあるなら、できるだけ早く病院を受診してください。その際、病院で別のウイルスをもらうことがあるので、マスクをしておくなどの対策もしておきましょう。

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