子供が貧血に!症状は?サプリメントや食事で鉄分を補える?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

貧血は身近すぎて軽視されがちな体調不良かもしれません。しかし、場合によっては子供の発達に悪影響が出ることがあるため注意が必要です。そこで今回は、子供が貧血になったときの症状や、サプリメントや食事が貧血の予防に効果的なのかどうかについてご説明します。

貧血とはどんな状態?

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貧血とは、酸素を全身に運ぶ役割を担ってい赤血球や、赤血球中の色素であるヘモグロビンが少なくなっている状態のことです。

私たちの体は酸素がなければ生きていけませんが、酸素を運ぶ能力は血液中のヘモグロビンの量に比例しています。そのため、貧血になると酸素を十分に運べなくなってしまい、体のあらゆる組織が酸素不足になって、いろいろな症状が現れます(※1)。

なお、子供にみられる貧血は、ヘモグロビンに必要な鉄が少ないことで起きる「鉄欠乏性貧血」が大部分のため、以降は鉄欠乏性貧血について説明をします(※2)。

子供の貧血の症状は?

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子供が鉄欠乏性貧血になると様々な症状が出ます。以下はその一例です。

● 顔色が青白くなる
● ささいなことで不機嫌になる
● 夜泣きがひどくなる
● 食欲不振
● 氷や土を強迫的に食べる
● 味覚の異常
● 舌炎
● 口角炎
● 発達・発育の障害
● 注意力の低下
● 学習障害

貧血というと顔が青白くなるイメージがありますが、子供の場合はそれ以外にも上記のような症状が出ることがあります。なかでも注意したいのは、成長に遅れがみられたり、注意力が低下したり、学習に支障が出るなど、心と体の発達にも影響が出るという点です(※3)。

子供の貧血の原因は?

牛乳

子供が鉄欠乏性貧血になるのは体内の鉄が不足するからですが、鉄が不足する原因はいくつかあります。以下でその一例をご紹介します(※3)。

鉄を摂取する量が少ない

特定の食品ばかり食べていたり、食物アレルギーの対策として行っている食物除去が不適切だったりすると、鉄を摂取する量が減ってしまい、鉄欠乏性貧血になることがあります。

特に子供では、牛乳の飲みすぎによる鉄の摂取不足が特徴的です。

牛乳はそもそも鉄の含有量が少ない上に、母乳よりも鉄を吸収しにくいため、牛乳を飲みすぎの子供は摂取する鉄の量が減ってしまいます。また、牛乳の飲みすぎで食事の量が減り、それに伴って鉄の摂取量も減って鉄欠乏性貧血になることもあります。

体が必要とする鉄の量が増えた

成長が著しい時期には体が必要とする鉄の量が増えるため、それまで摂取していた量では鉄が足りなくなってしまい、子供が鉄欠乏性貧血になることがあります。

体のどこかで出血している

下痢などによって気づかないうちに腸から出血していたり、アレルギー性鼻炎などで何度も鼻血を出していたりすると、血液が減って鉄欠乏性貧血になることがあります。特に年長児ではこの原因を疑う必要があります。

鉄を吸収しにくくなっている

下痢や腸の病気が原因で、摂取した鉄を腸から吸収しにくくなり、鉄欠乏性貧血になることがあります。

子供の貧血にはサプリメントや食事が効果的なの?

サプリメント

子供の貧血を予防するには、栄養バランスの取れた食事や鉄分、ビタミンの摂取などが効果的だと考えられます(※1)。

食事

毎食、ご飯やパンなどの主食、魚や肉などの主菜、野菜や海藻などの副菜、そして乳製品や果物などを組み合わせ、栄養バランスを考えた食事が大切です。

特に鉄はひじきやレバー、ほうれん草に多く含まれています。

タンパク質も、赤血球やヘモグロビンを作るのに欠かせません。一度にたくさんとっても体の中に貯めておくことができないため、毎食、主食から摂れるようにしたいですね。

特定の食べ物ばかり食べたり、1日2食や1食にせず、規則正しい食生活を心がけましょう。

サプリメント

鉄欠乏性貧血は鉄が不足することで起きるので、鉄のサプリメントを取ると効果的でしょう。また、ビタミンCは体の中で鉄を利用するためにはなくてはならない栄養素です。鉄と一緒に摂取することで、鉄の吸収効率を高めることができます。

さらに、ビタミンB12と葉酸は赤血球を作るために必要な栄養素なので、これらをサプリメントで摂取することも貧血の予防が期待できます。

ただし、子供にサプリメント与える場合は子供用のものを選んでください。

子供の貧血は予防が重要です

貧血はとても身近な体調不良の一つですが、それゆえに軽視されがちです。しかし、場合によっては子供の心や体の成長にまで支障をきたすこともあるため、注意しなくてはなりません。

とはいえ、日頃の食生活などで予防することができます。「栄養バランスに気をつけなさい」と言われると難しそうに感じるかもしれませんが、それほど深刻に考える必要はありません。

まずは「幅広くなんでも食べさせてあげる」くらいに考えて、日々の食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

子供が元気に成長していけるように、日々の体調変化に気を配るとともに、栄養の面からもサポートしてあげたいですね。

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